海洋気象観測船による観測(令和7年5月31日~6月1日)
令和7年6月11日 気象庁発表
観測結果
気象庁の海洋気象観測船「凌風丸」は、5月31日~6月1日にかけて、東経135度に沿って黒潮の観測を実施しました。海上保安庁の測量船「平洋」、「光洋」も同時期に東経136度及び東経137度に沿った黒潮の観測を実施しています(図1)。
図1の黒い矢印は、観測船および測量船が観測した海流の速さと向きを表しています。黒潮は、潮岬沖でおおむね東向き、東海沖で南東向きに流れています。黒潮の強い流れは、A点(北緯33.1度、東経135.2度、3.1ノット)、B点(北緯33.1度、東経136.0度、2.5ノット)、およびC点(北緯32.6度、東経137.0度、3.5ノット)で観測されました。
図2(a)、(b)および(c)は航路上の東経135度 、東経136度および東経137度に沿った観測ラインの海洋内部の水温を示します。強い流れが観測されたA点(北緯33.1度)、B点(北緯33.1度)、およびC点(北緯32.6度)付近では水温の水平勾配が大きくなっています。
また、図2(a)のD点(北緯30度)付近および図2(b)のE点(北緯30度)付近では、水温が周囲よりも低く、等温線が上に凸の水温構造がみられます。これは、黒潮大蛇行から切離した冷水渦(図3参照)を観測により捉えたものであると考えられます。
図1 海洋気象観測船「凌風丸」、海上保安庁測量船「平洋」、「光洋」が観測した海流(令和7年5月31日~6月1日)
橙色の実線は「凌風丸」(東経135度線)の航路、青色の実線は海上保安庁測量船「平洋」(東経136度線)および「光洋」(東経137度線)の航路、黒い矢印は海流の速さと向きを表します。
凌風丸は水深36m、平洋は水深51m、光洋は水深27mの海流の速さと向きを示しています。
青い太破線は気象庁の数値モデル等による解析結果をもとにした6月1日頃の黒潮および黒潮から切離した冷水渦の位置を示します。
図2 水温の深さ方向の分布
(a)凌風丸による東経135度線、(b)平洋による東経136度線、(c)光洋による東経137度線
令和7年5月31日~6月1日の観測結果を示します。図中のA~Eの記号は図1に対応します。 なお、(b)、(c)は海上保安庁の観測データを基に気象庁にて描画しています。
図3 黒潮域の深さ400mの水温分布図(令和7年6月1日)
日別表層水温(海洋の健康診断表)による水温分布図に加筆
https://www.data.jma.go.jp/kaiyou/data/db/kaikyo/daily/t100_HQ.html
海洋大循環モデルとデータ同化による算出結果を示します。
図中の青実線は図2(a)、青破線は図2(b)、(c)で示した分布図の位置を示します。
図中の記号は図1に対応します。