オホーツク海の海氷分布(年概況)

令和6年7月1日 気象庁発表
令和6年10月18日 記載を一部訂正
(次回発表予定 令和7年6月30日)

診断概要(2023/2024年)

トピック

オホーツク海の最大海氷域面積は平年より大きくなりました。
4月後半から5月中旬にかけて海氷域面積は過去最小水準で経過しました。

2023/2024年海氷期の概要

シーズン前半のオホーツク海は寒気の影響を受けやすく、また、西風の吹く日が多い時期もあったため、オホーツク海全域の海氷域面積は、12月末から1月中旬にかけてと2月中旬から3月前半にかけて平年より大きく経過しました。4月以降はオホーツク海全域で気温が高く経過し、海氷の融解が急速に進みました。海氷域面積は平年より小さく、特に4月後半から5月中旬にかけて過去最小水準で経過しました(図1)。
当シーズンのオホーツク海の最大海氷域面積は、2月25日に記録した120.68万平方キロメートルで、平年より大きくなりました。
オホーツク海南部では、12月から1月にかけて、海氷は平年より早いペースで南下しました。北海道オホーツク海沿岸への流氷の到来は、網走で流氷初日が平年並、流氷接岸初日が平年より早くなりました。稚内と釧路では流氷は観測されませんでした。釧路では7年連続で流氷は観測されていません。 北海道周辺の海氷は3月下旬まで枝幸町から知床半島にかけての海岸の所々で接岸していましたが、4月中旬にはすべて融解し、4月下旬には海氷域の南端は北緯49度付近まで後退しました。
なお、海氷分布状況の詳細については、オホーツク海の海氷分布図(2023年11月~2024年7月)を参照して下さい。

【訂正のお知らせ】概要について、下線部のとおり「中旬」と訂正しました(令和6年10月18日)
オホーツク海の海氷域面積(2023年11月~2024年5月)
年別経過図の凡例

図1 オホーツク海の海氷域面積(2023年11月~2024年7月)


表1 流氷に関する現象の初日一覧表(2023年12月~2024年5月)
地点 流氷初日 流氷接岸初日
稚内 --- ---
網走 1.19 (-3) 1.22 (-13)
釧路 --- ---
( +n )
平年(1991~2020年の平均値)との差。平年よりも n 日遅い
( –n )
平年(1991~2020年の平均値)との差。平年よりも n 日早い
  –––
現象が発生しなかった

1. オホーツク海の海氷状況

2023年10月

10月下旬にシェリホフ湾で、結氷が始まりました。

2023年11月

11月上旬にオホーツク海北岸、シャンタル諸島付近、間宮海峡、11月下旬にサハリン東岸でそれぞれ結氷が始まりました。

2023年12月

12月中旬にテルペニヤ湾で、結氷が始まりました。
12月のオホーツク海は全域で海氷域の拡大が進み、オホーツク海全域の海氷域面積はおおむね平年並で経過しました。

2024年1月

オホーツク海では、1月上旬・中旬は北部・中部を中心に寒気の影響を受け気温が平年より低く経過したため、海氷域の拡大が進み、オホーツク海全域の海氷域面積は平年より大きく経過しました。1月下旬には発達した低気圧がオホーツク海南部を通過した影響でサハリンの東の海氷が岸に吹き寄せられたことにより、海氷域面積は一時的に減少し、その後、1月末にかけて平年並で経過しました。

2024年2月

オホーツク海では、2月中旬までは北部・中部を中心に、2月下旬は全域で寒気の影響を受け、気温が平年より低く経過し、また、2月中旬以降は低気圧通過の影響で西風の吹く日が多くなりました。このため、オホーツク海北部・中部を中心に海氷域の拡大が進み、オホーツク海全域の海氷域面積は、上旬は平年並、中旬以降は平年より大きく経過しました。
今シーズンのオホーツク海の最大海氷域面積は、2月25日に記録した120.68万平方キロメートルで、最大海氷域面積としては平年より大きくなりました。

2024年3月

3月上旬のオホーツク海は寒気の影響を受けて気温が平年より低く経過し、また、カムチャツカ半島東の低気圧の影響でオホーツク海中部では西風の吹く日が多かったため、海氷域の拡大が進み、オホーツク海全域の海氷域面積は平年より大きく経過しました。しかし、3月中旬は、北部を中心に気温が平年より高く経過し、特にオホーツク海北東部で海氷の融解が急速に進んだことによりオホーツク海全域の海氷域面積は減少に転じ、平年並となりました。3月下旬は、オホーツク海全域で南から暖気が流入したため、海氷の融解がオホーツク海全域で進みましたが、平年並の範囲で推移しました。

2024年4月

4月のオホーツク海は南からの暖気の流入により全域で気温が平年より高く経過し、海氷の融解が急速に進みました。オホーツク海全域の海氷域面積は4月はじめは平年並でしたが、その後は平年より小さく、4月後半は過去最小水準で経過しました。

2024年5月

オホーツク海では4月に引き続き海氷の融解が進み、オホーツク海全域の海氷域面積は5月中旬まで過去最小水準で経過しました。

2024年6・7月(8月13日追記)

6月上旬にサハリン東海上の海氷、7月上旬にシャンタル諸島付近の海氷は、すべて融解しました。


2. 北海道オホーツク海沿岸の海氷状況

2023年12月

サハリン東岸の海氷域の南下は12月前半まで平年並でしたが、その後は低気圧の影響を受けて南下が進み、12月31日時点の海氷域の南端は平年より南の北緯45.5度付近となりました。

2024年1月

オホーツク海南部では、1月は低気圧の通過が多かったことや一時的な冬型の気圧配置の強まりにより、海氷は平年より早いペースで南下しました。海氷は中旬には北海道オホーツク海沿岸に接近し、下旬には広い範囲で接岸しました。網走では平年より3日早い1月19日に流氷初日、平年より13日早い1月22日に流氷接岸初日となりました。1月末には海氷の一部が根室海峡に流入しました。
宗谷海峡では、1月中旬以降小規模な海氷の流入が続きましたが、日本海への流出は一時的でした。

2024年2月

2月上旬には北海道オホーツク海側の沿岸の広い範囲で海氷は接岸しましたが、2月中旬は低気圧通過の影響で南風や西風の吹く日が多かったため、海氷は知床半島付近を除き海岸から大きく離れました。2月下旬は北風の吹く日が多かったため、海氷は再び海岸に近づき、2月末には北海道オホーツク海側の沿岸の広い範囲で再び接岸しました。
海氷の一部は、2月上旬以降根室海峡と国後水道から太平洋へ流出しました。また、宗谷海峡には断続的に海氷が流入し、2月上旬と2月下旬には海氷の一部が一時的に日本海へ流出しました。

2024年3月

3月上旬は、西風により海氷は北海道オホーツク海側の海岸から離れるところが多くなりました。3月中旬は、低気圧や冬型の気圧配置による北風の影響で、北海道オホーツク海側の海岸に再び接近し所々で接岸しました。3月下旬は、西または南風の日が多く、海氷は次第に融解しながら東へ移動し、3月末には北海道オホーツク海側の海岸から離れました。
海氷の一部は、断続的に根室海峡と国後水道から太平洋へ流出しました。また、宗谷海峡には3月中旬まで断続的に海氷が流入し、3月初めに一時的に日本海へ流出しました。

2024年4月

北海道オホーツク海沿岸の海氷は4月はじめは知床半島の一部と国後島、択捉島で接岸し、国後水道から太平洋への流出がみられましたが、その後、海氷の融解が急速に進み、太平洋への流出は4月中旬に終息しました。
北海道周辺の海氷は4月中旬にすべて融解し、下旬には海氷域の南端は北緯49度付近まで後退しました。

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