6月は上旬~下旬前半、太平洋高気圧の北への張り出しが弱く、梅雨前線は30°N以南に位置することが多かったため、月降水量が平年を下回った地域が多かった。移動性高気圧やオホーツク海高気圧の影響で、日本付近に寒気が南下しやすかった。6月下旬後半には梅雨前線が本州南岸に停滞したが、7月上旬前半に梅雨前線の活動は弱まり、日本付近は太平洋高気圧に広く覆われた。このため各地とも平年よりも一週間程度早く梅雨が明けた。梅雨期間の降水量は全国的に少なかった。関東地方~九州地方では上旬中頃から、関東地方以北は中旬前半頃から広く太平洋高気圧に覆われることが多く、高温・少雨が持続した。このため北海道、東北地方、山陰地方、四国地方の瀬戸内海側を中心に水不足が深刻になった。7月末に低気圧と前線の影響で北海道、東北地方北部、九州地方北部で大雨となり、これらの地域で干ばつはほぼ解消した。その後、8月上・中旬は全国的に高温・少雨が続いた。8月下旬に低気圧と前線の影響により北海道と東北地方北部でたびたび雨が降り、少雨は解消、多雨に転じた。9月4~7日と12~14日には秋雨前線と低気圧の影響により九州地方~東北地方などで大雨になり、干ばつは解消された。
台風の発生数、上陸数とも平年に比べて少なく、接近した台風は3個(7月に第3号、第6号、8月に第10号)で、第6号が上陸した。これらの台風は地域的には大雨を降らせたが、全国的な干ばつ傾向を解消するのには至らなかった。
この干ばつによる農作物被害は野菜を筆頭に水陸稲、果樹、工芸農作物、飼料作物などに及んだ。水稲は一部で干害が発生したが、作柄は作況指数106の「良」であった。陸稲は作付面積の多い関東地方および東北地方で干害が発生し作柄が「不良」であったため、全国の作柄は「不良」になった。ムギの作柄は全般に「やや不良」であった。
広島県の日本鋼管福山製鉄所は水不足のため設備を保安する最少規模の操業しか続けられず、神奈川県川崎から船で水を運んだ。高松では県の内場ダムが干上がり、市内の一部では終日断水に追い込まれた。宇和島では炎天続きで水温が異常に上がり、養殖ハマチが80万匹も熱死した。東北地方では仙台以南で干ばつが続き、山形県の上郷発電所をはじめ13発電所が止まり、東北電力の出力が低落した。また、福島県ではリンゴの落果が多かった。
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