災害をもたらした気象事例

昭和63年夏の低温、長雨、多雨と日照不足
昭和63年(1988年) 5月~11月
春以来の低温・日照不足傾向
災害概要
農作物被害3,654億円
算出期間:6月下旬~12月
被害地域:東北地方、関東地方と北海道
(農林水産省統計部資料)
概要
 5月~11月、低温や大雨、長雨、寡照に見舞われることが多かった。5月は上旬と下旬に強い寒気が南下し、凍霜害、降ひょう害が発生した。6月は下旬に梅雨前線の活動が活発化し、西日本を中心にかなりの降水があり、月間日照時間が平年を下回った地域が多かった。7月は中・下旬を中心にオホーツク海高気圧の勢力が強く、北海道~関東地方の太平洋側を中心に低温が持続した。この期間は梅雨前線の活動が活発で山陰地方、九州地方、関東地方~東北地方の太平洋側などで大雨に見舞われ、東北地方~中国・四国地方の大部分の地域で寡照になった。中国・四国地方以北の各地方は30~31日頃に梅雨が明けた。8月は中・下旬、伊豆諸島近海から東シナ海にかけての30°N帯が低圧部になることが多く、この低圧部を取り巻く帯状雲域、この低圧部で発生した熱帯低気圧や台風と前線の影響により、北海道~近畿地方の太平洋側を中心に、多雨・寡照になった。9月には日本付近に前線が停滞しやすく、東北地方南部~関東地方を中心に曇雨天が続いた。これら7月の低温、7~9月の日照不足等のため、関東甲信地方から北海道にかけて、水陸稲、工芸農作物、野菜、飼肥料作物、雑穀・豆類、ばれいしょ、果樹などに被害が発生した。水稲の作柄は作況指数の全国平均は97の「やや不良」であったが、東北地方太平洋側の青森、岩手、宮城、福島の各県では「著しい不良」になった。
 また、10・11月には強い寒気が南下し、果樹に積雪害、落果、凍害が、野菜に積雪害が発生した。
経過図(水戸) 夏季平均気温平年差図
期間内での観測値
気象官署での観測値
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