5・6月は前線が本州南岸付近に停滞しやすく、九州地方を中心に西日本では曇雨天が多かった。九州地方~関東甲信地方では平年より9~17日程度早く梅雨に入った。7月は1日から19日頃まで前線が本州南岸ないし本州上に停滞した。このため5月から7月中旬まで九州・四国・中国地方では長雨、寡照が続いた。7月中旬にはオホーツク海高気圧の影響により関東地方以北で低温になった。21日頃、梅雨前線は東北地方まで北上した。19日頃には九州地方北部と四国地方で、21日頃には中国・近畿・東海地方で、23日頃には関東甲信地方で、27日頃には東北地方南部で梅雨が明けた。梅雨前線は7月下旬初めに東北地方まで北上したものの、8月初めには本州南岸まで南下、12日頃まで停滞した。13日頃には前線の活動が弱まり、14日頃、北陸地方、東北地方北部で梅雨が明けた。このため上・中旬を中心に北海道~九州地方で気温が低い状態が続いた。また、前線や台風の影響により九州地方~東北地方で曇雨天が多かった。
9月中旬~10月には秋雨前線が本州南岸に停滞し、近畿地方~東北地方で曇雨天が続いた。特に関東地方では平年の3~4倍の降水量となり、野菜に根ぐされなどの湿害や病害が発生した。
この低温、長雨、寡照により北海道、東北地方および北陸地方などで水陸稲、野菜、麦、雑穀・豆類、果樹などの農作物に大きな被害が発生した。一方、南西諸島では5~8月、高温・少雨が持続した。このため水不足が深刻化、給水制限が行われ、さとうきびなどに被害が出た。また、8月後半~10月に8個の台風が日本に接近し、繰り返し大雨に見舞われた。これらの台風のため果樹を筆頭に水陸稲、野菜等の農作物に、落果、塩風、冠水、倒伏、折損等による甚大な被害が発生し、その範囲は全国に及んだ。
水稲の作柄は作況指数の全国平均が95の「やや不良」であったが、東北地方北部(青森、秋田、岩手の各県)と九州地方北部(福岡、佐賀、長崎、大分、熊本の各県)および山口県が「著しい不良」であった。
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