発震機構解と断層面
地震時にはたらく力
地震(すなわち断層運動)は、押す力(圧力)と引く力(張力)の二組の直交する力によって引き起こされることが分かっています。 これらの力の方向は、初動発震機構解で示される二つの節面(片方は断層面)と45度(注)をなす方向になります。 下図はその関係を模式的に示したものです。
図1 二つの節面と力の関係の図
震源球上に示された二つの節面と45度をなす方向に二つの直線があります。この直線が力の向きを表しています。 図で赤色で示された力は、P波の初動が"押し”になる領域に位置していて、引く力に対応します。 青色で示された力は、P波の初動が"引き”になる領域に位置していて、押す力に対応しています。 これらの力の向きをそれぞれ主張力軸(T軸)、主圧力軸(P軸)といいます。また、主張力軸と主圧力軸に直交する方向(下図では画面に垂直な方向)を中立軸(N軸)と呼びます。 (「初動発震機構とは何か」の項参照)
注)この角度は厳密には45度ではないことが分かっていますが、地震の発震機構解を示す場合には便宜上45度として扱う場合がほとんどです。
地震のタイプ(断層の動き方)と発震機構解
地震は、断層の動き方によって、大きく三つ(横ずれを二つに分ければ四つ)の型に分けられます。
- 正断層
- 断層面を境にして、上盤(上側の岩盤)が下盤(下側の岩盤)に対して、ずり下がる。
- 逆断層
- 断層面を境にして、上盤が下盤に対して、のし上がる。
- 横ずれ断層
- 断層面を境にして、水平方向にずれる。
- 「右横ずれ断層」=断層に向かって相手側のブロックが右に動いた場合
- 「左横ずれ断層」=断層に向かって相手側のブロックが左に動いた場合
それぞれのタイプにおける、発震機構解の形と働く力の向きの典型的な例を以下に示します。
※発震機構解からは「異なる2つの断層面」を求めることはできますが、どちらが本当の断層面か知ることはできません。
どちらが断層面なのかを知るためには、余震の分布や地殻変動等の調査が必要となります。(初動発震機構解の決め方参照)
図2 発震機構解と働く力の向き、断層の動きの図
断層パラメータ
地下で断層がどのようになっているかは、断層の走向、傾斜角、すべり角という三つの数値で表現されます。これを 断層パラメータと言い、それぞれ次のようなことを示しています。
- 走向 :断層が水平方向でどの方向に伸びているかを示します。
- 傾斜角 :断層面が水平面からどれだけ傾いているかを示します。
- すべり角:断層がどの方向に動いたかを示します。
図3 断層パラメータ