一酸化二窒素

 一酸化二窒素は大きな温室効果を持つ気体であり、大気中の寿命(一時的な濃度増加の影響が小さくなるまでの時間)が109年と長い気体です。
 海洋や土壌から、あるいは窒素肥料の使用や工業活動に伴って放出され、成層圏で主に太陽紫外線により分解されて消滅します。

温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)の解析による2022年の大気中一酸化二窒素の世界平均濃度は、前年と比べて1.4ppb※1増えて335.8ppbとなっています。工業化以前(1750年)の平均的な値とされる約270ppb※2に比べ、24%増加しています。
※1 ppbは大気中の分子10億個中にある対象物質の個数を表す単位です。
※2 気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)第6次評価報告書第1部作業部会報告書(2021年)第2章 2.2.3 Well-mixed Greenhouse Gases (WMGHGs) (p.298 – 304)を参照。

気象庁の観測点における大気中一酸化二窒素濃度の経年変化

気象庁の観測点における大気中一酸化二窒素濃度の経年変化

一部は速報値です。ppbは大気中の分子10億個中にある対象物質の個数を表す単位です。

 気象庁の観測地点である綾里における大気中一酸化二窒素の月平均濃度の経年変化を示します。はっきりとした季節変動は見られませんが、緩やかな経年増加がみられます。なお、2004年のはじめに観測装置を更新したため観測精度が向上し、観測値の変動が小さくなっています。

大気中一酸化二窒素の世界平均濃度の経年変化

大気中一酸化二窒素の世界平均濃度の経年変化

青色は月平均濃度。赤色は季節変動を除去した濃度。

温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)が世界各地の観測データを収集し、それをもとに解析した大気中一酸化二窒素の世界平均濃度の経年変化を示します。
 世界平均濃度で見ても、濃度が上昇していることがわかります。

緯度帯ごとに平均した大気中一酸化二窒素濃度の変動

緯度帯ごとに平均した大気中一酸化二窒素濃度の変動

 WDCGGが収集したデータをもとに、緯度帯別に平均した大気中一酸化二窒素の月平均濃度の経年変化を示します。
 どの緯度帯も、季節変化を繰り返しながら年々上昇している様子がうかがえます。

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