世界気象機関(WMO) 全球大気監視(GAW)

アジア・南西太平洋地区

品質保証科学センター(QA/SAC)

アジア・南西太平洋地区のGAW観測所との技術協力

気象庁は、QA/SACを始めとする日本におけるGAW関連活動に関して科学的・技術的な助言を行う専門家委員会を1999年に設立しました。委員会は、国内の大学、研究機関及び気象庁の専門家で構成され、温室効果ガス及びオゾン層観測に関する観測技術と品質評価、データの解析手法、GAW関連活動に関する情報の交換など様々な事項について検討が行われています。

気象庁は、上記専門家委員会や他のセンターとも密接に協力しながら、アジア・南西太平洋地区のQA/SAC活動を行っています。これまでの主な活動として、

があります。これらの活動の概要及び成果を以下にまとめて紹介します。

1. 温室効果ガス及びオゾン層に関する国際セミナー開催

第2回「アジア・太平洋地域における温室効果ガス監視国際セミナー」

1999年2月8日から12日まで気象庁は、運輸省及びWMOの協力を得て、第2回「アジア・太平洋地域における温室効果ガス監視国際セミナー」を東京で開催しました。セミナーには、中国、インドネシア、日本、フィリピン、ベトナム及びWMOの専門家が出席し、地域内の温室効果ガス観測の強化に向けて活発な議論が行われました。セミナーの終わりには、地域内の温室効果ガス(二酸化炭素、メタンなど)の現状及び将来に関する報告がとりまとめられました。

2. 地域内のGAW観測所との技術協力

中国・瓦里関山観測所

1999年10月31日から11月11日まで、気象庁の専門家が中国青海省の瓦里関山(Mt. Waliguan)にある中国大気本底基準観象台、及び北京にある中国気象科学研究院(CAMS)を訪問しました。この際に中国気象局の専門家と、温室効果ガスの観測データ品質管理、WMO温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)へのデータ報告などについての検討とともに、温室効果ガス観測分野における中国と日本との間の今後の協力について意見交換が行われました。

2001年2月19日から3月3日まで、中国気象局からTang Jie氏が気象庁及び気象研究所(茨城県つくば市)を訪問しました。その際、温室効果ガス観測及び解析などについて検討がなされました。

中国・北京オゾン観測所

2002年3月11日から16日まで、中国・北京オゾン観測所を運営する中国科学院(CAS)のZhao Yanliang、Wang Xiaobaiの両氏が気象庁及び高層気象台(茨城県つくば市)にて共同研究を実施しました。この中で、オゾン全量観測及び観測データ品質管理及び将来の測器の相互比較/較正などについて検討を行いました。

香港・天文台

2009年10月22日から27日まで、香港天文台のDr. Tsui Kit Chi、Mr. Tam Kwong Hungが気象庁及びGAW観測所(岩手県綾里)を訪問しました。その際、気象庁、気象研究所の専門家と意見交換及び温室効果ガスのGAW観測に関する技術協力について検討がなされました。

韓国・気象庁等

1999年11月15日から20日まで、気象庁の専門家が韓国気象庁(KMA)及び同国の安眠島(Anmyondo)にある新しいGAW観測所を訪問しました。この際に、韓国と日本の専門家は、温室効果ガス観測データの管理を始めとするGAW観測についての今後の協力関係の強化について意見が一致しました。

2000年6月20日から26日まで、韓国気象庁からShin Do-shik、Chung Sung-Raeの両氏が気象庁及びGAW観測所(岩手県綾里)を訪問しました。その際、温室効果ガス、オゾン及びエーロゾルなど様々なGAW観測に関する技術協力について検討がなされました。

2003年10月6日から10日まで、韓国気象庁からKim Seong-Kyoun、Kim Joeng-Sik、Choi Jae-Cheonの3氏が気象庁及びGAW観測所(岩手県綾里)を訪問しました。その際、両国の温室効果ガス、オゾン及びエーロゾルなど様々なGAW観測の現状に関する情報交換を行うとともに技術協力について検討がなされました。

2004年10月4日から8日まで、韓国気象庁からChoi Jae-Cheon、Cha Joo-Wan、Park Ki-Junの3氏が気象庁及びGAW観測所(岩手県綾里)を訪問しました。その際、温室効果ガスの標準ガスに関する情報交換を行うとともに、オゾン及びエーロゾルなど様々なGAW観測に関する技術協力について検討がなされました。

2007年7月16日から20日まで、韓国気象庁からMs. Kim Myoung-SooとDr. Kim Sang-Baekが気象庁及びGAW観測所(岩手県綾里)を訪問しました。その際、気象庁、気象研究所の専門家と意見交換及び温室効果ガスなど様々なGAW観測に関する技術協力について検討がなされました。

2009年5月12日から14日まで、韓国気象庁からDr. Kim Sang-BaekとDr. Goo Tae Young が気象庁及びGAW観測所(岩手県綾里)を訪問しました。その際、気象庁、気象研究所の専門家と意見交換及び温室効果ガスなど様々なGAW観測に関する技術協力について検討がなされました。

2010年5月24日から28日まで、韓国気象庁からDr. Kim Seong-Joong、Dr. Park Il-HwanとDr. Lee Young Hoが、韓国標準科学研究院からDr. Lee Jeong-soonが、気象庁及びGAW観測所(岩手県綾里)を訪問しました。その際、気象庁、気象研究所の専門家と意見交換及び温室効果ガスなど様々なGAW観測に関する技術協力について検討がなされました。

2014年12月8日から11日まで、韓国気象庁韓国全球大気監視センター(KGAWC:アンミョンド)からDr. Bokhaeng Heo所長、Dr. Chulkyu Lee副所長らが、気象庁及びGAW観測所(岩手県綾里)を訪問しました。その際、気象庁、気象研究所の専門家と意見交換及び温室効果ガスなど様々なGAW観測に関する技術協力について検討がなされました。(訪問の様子)

韓国・ソウルオゾン観測所

2004年11月1日から11月14日まで、韓国気象庁(KMA)の協力を得て、気象庁の専門家が韓国のソウル(Seoul)オゾン観測所が設置されている延世大学を訪問しました。この際に、同観測所のドブソン分光光度計の較正を行うとともに、韓国側の専門家に対して、オゾン観測と測器メンテナンス技術の指導を行いました。

2006年7月24日から8月5日まで、高層気象台専門家が韓国のソウル(Seoul)オゾン観測所が設置されている延世大学を訪問しました。この際に、同観測所のドブソン分光光度計の自動化のために必要な技術指導を行いました。

キルギス・イシククル観測所

2000年1月19日から2月9日まで、キルギス・イシククル観測所のValery P. Sinyakov所長が気象庁にて共同研究を実施しました。この中で、温室効果ガスの観測及び観測データ品質管理、データ品質の改善及び将来の協力活動などについて検討が行われました。

オーストラリア・ケープグリム観測所

2001年1月14日から1月20日まで、気象庁の専門家がオーストラリア・タスマニア州にあるグリム岬(Cape Grim)ベースライン大気汚染観測所、及びメルボルンにあるオーストラリア気象局、アスペンデールにある連邦科学産業研究機関(CSIRO)を訪問しました。この際にオーストラリア気象局及びCSIROの専門家と、温室効果ガスの観測データ品質管理、WMO温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)へのデータ報告などについての検討とともに、温室効果ガス観測分野におけるオーストラリアと日本との間の今後の協力について意見交換が行われました。

インドネシア・ブキトコトタバン観測所

2002年1月10日から1月18日まで、気象庁の専門家がインドネシア・西スマトラ州にあるブキトコトタバン(Bukit Kototabang)GAW全球観測所、及びジャカルタにあるインドネシア気象地球物理局(BMG)を訪問しました。この際にBMGの専門家と、温室効果ガスの観測データ品質管理、WMO温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)へのデータ報告などについての検討とともに、温室効果ガス観測分野におけるインドネシアと日本との間の今後の協力について意見交換が行われました。

マレーシア・ダヌムバレー観測所

2003年2月12日から2月17日まで、気象庁の専門家がマレーシア・ボルネオ島サバ州にあるダヌムバレー(Danum Valley)GAW地域観測所の建設予定地、及びクアラルンプールにあるマレーシア気象局を訪問しました。この際にマレーシア気象局の専門家と温室効果ガス観測を開始するにあたっての技術支援と今後の協力についての検討を行いました。

2005年11月7日から18日まで、マレーシア気象局環境研究課長Mr. Lim Sze Fookが気象庁、気象研究所(茨城県つくば市)及びGAW観測所(岩手県綾里)を訪問しました。この際、気象庁、気象研究所の専門家と意見交換を行い、温室効果ガス観測についての技術支援と今後の協力についての検討を行いました。

フィリピン・マニラオゾン観測所

2004年3月22日から3月30日まで、気象庁の専門家がフィリピンのマニラ(Manila)オゾン観測所を訪問しました。この際にフィリピン気象局の専門家に対して、オゾン観測及び測器メンテナンスの技術指導を行うとともに、品質管理などに関する意見交換を行いました。

2010年4月10日から26日まで、気象庁の専門家がフィリピンのマニラ(Manila)オゾン観測所を訪問しました。この際に同観測所のドブソン分光光度計の較正を行うとともに、フィリピン側の専門家に対して、オゾン観測と測器メンテナンス技術の指導を行いました。


更新日: 2020.11.10 QA/SAC Home