エルニーニョ/ラニーニャ現象等発生時の日本の天候の特徴（調査方法について）

天候の特徴を示す気象要素として、平均気温、降水量、日照時間を取り上げ、季節現象として、梅雨入り・明けの時期を取り上げました。エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の５か月移動平均が＋0.5℃以上（−0.5℃以下）の状態が６か月継続したときをエルニーニョ現象（ラニーニャ現象）としました。また、西太平洋熱帯域およびインド洋熱帯域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が6か月以上続けて＋0.15℃以上（−0.15℃以下）となった場合を高温（低温）であるとしました。図には、これらの現象が発生しているときの各気象要素・季節現象の階級出現率を示しています（気温は「低い」、「並」、「高い」、梅雨入り・明けの時期は「早い」、「並」、「遅い」、その他の要素は「少ない」、「並」、「多い」）。 梅雨入り・明けの時期を「特定できない」場合は、これらのどの階級にも属さないとして別に示しています。なお、梅雨の時期は沖縄・奄美では5・6月を、その他の地域では6・7月としました。また、３か月平均の特徴においては、中央月（1～3月なら2月）が各海域の現象発生条件を満たしている場合とし、梅雨の時期においては、対象となる２か月のいずれかの月が条件を満たしている場合としました。

1948年～2021年（冬は1947/48年～2020/21年）の74年間としています。ただし、梅雨入り・明けの時期は1951～2021年の71年間としています。

天候の特徴を記述するために、検定^※を行いました。例えば、気温では「高い（低い）」階級が出現する割合が有意に大きい場合「高い（低い）傾向がある」としました。また、「低い（高い）」階級が出現する割合が有意に小さく、かつ「並」の階級が出現する割合が有意に大きいとはならない場合、「並か高い（低い)傾向がある」としました。気温以外の要素についても同様の処理を行い、梅雨の入り・明けについては「特定できない」の事例を除いて検定を行いました。
図中の検定で有意な地域名に赤い帯をかけ、有意な階級を黒太枠で囲いました。

  ※ ２項検定を用い、母比率は33％としました。

日本の天候にはエルニーニョ／ラニーニャ現象等熱帯域の海面水温の影響のほか、十年から数十年程度の時間スケールの自然変動や地球温暖化による気温の上昇傾向などの長期的な変化傾向（トレンド）が反映されています。エルニーニョ／ラニーニャ現象等熱帯域の海面水温それ自体の影響を考える場合、こうしたトレンドを除くことが有効です。
天候の特徴を示す気象要素は、各地点の平年値(1991～2020年)との差（比）を地域で平均した値をもとに、1948年～2021年の74年間の出現率が等しくなるよう階級を区分しましたが、トレンドが明瞭な気温については以下の方法によりトレンドの影響を除いています。
１）1948年～2021年の地域平均値を直線で近似しました。
２）その直線を基準とし、その差をもとに1948年～2021年の74年間の出現率が等しくなるよう階級を区分しました。