気候系監視速報 ~気候系の診断情報~
気象庁では、世界各地で起こった異常気象、それをもたらしたと考えられる大気大循環、海洋の状態等気候系を監視しています。これらの監視結果に基づき、月々の気候系の特徴をとりまとめた「気候系監視速報」を作成しています。 なお、年間の異常気象・天候や気候系の特徴に関する総合的な情報は「気候変動監視レポート」をご覧ください。 ※「気候系監視速報」は、利便性向上のため、2025年5月号(2025年6月発表)より、従来のPDF形式からウェブサイト形式に変更して掲載しています。
気候系の特徴(2026年8月)
- 海面水温は(図7)、太平洋熱帯域では、日付変更線以東は顕著な正偏差、以西は平年並~弱い負偏差となり、NINO.3は+3.4℃と8月としては最も高くなった(図8)。北太平洋の西部~中部では、35~50°N帯で顕著な正偏差となる一方、25~35°N帯は負偏差だった。インド洋熱帯域は、広く正偏差で、顕著な所も多かった。北大西洋も概ね正偏差で、亜熱帯域やヨーロッパの西では顕著な正偏差だった。
- 熱帯の対流活動は(図9)、平年と比べて、太平洋中~東部の赤道~熱帯収束帯付近で顕著に活発だった一方、南米~大西洋~アフリカ~インド洋~海洋大陸の広い範囲で顕著に不活発だった。アジアモンスーンに伴う対流活動は全般には不活発だったが、ベンガル湾~フィリピンの東の20°N帯の対流活動は活発で、北西太平洋モンスーンはやや活発だった。
- 熱帯域の対流圏の循環は、上層では(図11)、インド洋東部~太平洋中部は南北両半球対の高気圧性循環偏差、南米~大西洋~インド洋西部では南北両半球対の低気圧性循環偏差だった。下層では(図12)、太平洋は南北両半球対の顕著な低気圧性循環偏差、南米~アフリカでは南北両半球対の顕著な高気圧性循環偏差だった。また、北西太平洋亜熱帯域も帯状に顕著な低気圧性循環偏差となった。南方振動指数は-1.4だった(図8)。
- 北半球の偏西風は(図14)、亜熱帯ジェット気流は、全般にやや北偏する一方、太平洋では分流も明瞭で、20~30°N帯も西風偏差だった。寒帯前線ジェットは80°N帯で強かった。
- 500hPa高度は(図13)、高緯度では北極海と北欧を除いて正偏差で、中緯度も概ね正偏差でユーラシアの30~40°Nは顕著な正偏差だった。一方、太平洋の30~40°N帯と北米~大西洋の40°N帯は平年並で、日本の南の亜熱帯域は負偏差だった。
- 海面気圧は(図15)、50N以北では、北極海と北欧付近で負偏差となった他は正偏差だった。極東域では、中央シベリア~北海道付近で顕著な正偏差、華南~日本の南東海上では顕著な負偏差となった。
- 日本の天候は(図1)、気温は、西日本で1946年の統計開始以来第2位の高温となり、北日本でも高かった。東日本と沖縄・奄美では平年並だった。日本の月平均気温偏差は+0.95℃で、1898年の統計開始以降、8月として7番目に高かった。降水量は、沖縄・奄美でかなり多く、東日本では平年並だった。一方、北・西日本では少なく、北日本日本海側ではかなり少なかった。日照時間は、北・西日本で多く、北日本日本海側ではかなり多かった。一方、東日本では平年並で、沖縄・奄美では少なかった。
日本の天候(図1、図2、図3、図4、日本の地域平均気候表)
- 平均気温:西日本でかなり高かった。日本の月平均気温偏差は+0.95℃で、1898年の統計開始以降、8月として7番目に高い値となった。8月の日本の平均気温は、上昇傾向が続いており、長期的な上昇率は約1.35℃/100年である。
- 降水量:北日本日本海側でかなり少なかった一方、沖縄・奄美でかなり多かった。
- 日照時間:北日本日本海側でかなり多かった。
- 天候経過:
- 日本付近では偏西風が平年より北に偏って流れやすかったため、西日本を中心に暖かい空気に覆われ、西日本では月平均気温はかなり高かった。北・西日本では高気圧に覆われて晴れた日が多かった一方、東日本では前線や湿った空気の影響で記録的な大雨となった所があった。沖縄・奄美では高気圧に覆われて晴れた日もあったが、台風や湿った空気の影響でかなりの多雨となった。
世界の天候
- 世界の月平均気温偏差は+0.71℃(速報値)で、1891年の統計開始以降、2023年を上回り8月として最も高い値となった。8月の世界の平均気温は、上昇傾向が続いており、長期的な上昇率は約0.78℃/100年(速報値)である(図5)。
- 主な異常天候発生地域は次のとおり(図6)。
- 西日本~中国東北部、東南アジア、東アジア北西部~中央アジア~中東南部、ヨーロッパ西部~地中海周辺、西アフリカ西部、北米南部~南米北部~チリ北部、ブラジル南東部で異常高温となった。
- トルコ東部及びその周辺、ロシア北西部及びその周辺、米国北東部及びその周辺、アルゼンチン北部及びその周辺、オーストラリア南部で異常多雨、東南アジア、ヨーロッパ東部~中部、米国南部~メキシコ東部で異常少雨となった。
海況
- 海面水温は、太平洋熱帯域では、日付変更線以東で顕著な正偏差となり、NINO.3海域の月平均海面水温偏差は+3.5℃、基準値との差は+3.4℃となった。西部では、ニューギニアの北など一部で正偏差だったほかは、負偏差となった。
- 北太平洋では、150ºE以東の亜熱帯域と、北米沿岸を除いた35~50ºN帯で顕著な正偏差となる一方、25~35ºN帯では負偏差のところが多かった。
- 南太平洋では、中部の亜熱帯域で負偏差となったほかは概ね正偏差で、東部やニュージーランド周辺は顕著な正偏差だった。
- インド洋では、広く正偏差で、顕著な正偏差のところもみられた。
- 北大西洋では、概ね正偏差で、亜熱帯域やヨーロッパの西では顕著な正偏差だった。
- 南大西洋では、概ね正偏差で、顕著な正偏差のところが多かった。
熱帯の対流活動と循環
- 対流活動は、平年と比べて、太平洋中部~東部の赤道~熱帯収束帯付近で顕著に活発な一方、南米~大西洋~アフリカ~インド洋~海洋大陸の広い範囲で顕著に不活発となり、この対流活動分布に対応して上層の大規模発散は波数1の分布が明瞭だった(図9)。アジアモンスーンに伴う対流活動は全般には不活発だったが、ベンガル湾~フィリピンの東の20°N帯の対流活動は活発で、北西太平洋モンスーンはやや活発だった。赤道季節内振動に伴う対流活発な位相は不明瞭だった(図10)。
- 対流圏上層では、インド洋東部~太平洋中部で南北両半球対の高気圧性循環偏差の一方、南米~大西洋~インド洋西部で南北両半球対の低気圧性循環偏差となった(図11)。
- 対流圏下層では、太平洋で南北両半球対の顕著な低気圧性循環偏差となった一方、南米~アフリカでは、南北両半球対で顕著な高気圧性循環偏差となった(図12)。また、北西太平洋亜熱帯域も帯状に顕著な低気圧性循環偏差となった。
- 海面気圧は、50N以北では、北極海と北欧付近で負偏差の他は正偏差となった。極東域では、中央シベリア~北海道付近で顕著な正偏差、華南~日本の南東海上では顕著な負偏差となった。南方振動指数は-1.4だった(図8)。
北半球の循環
- 500hPa高度(図13)は、高緯度は北極海と北欧で負偏差となったほかは正偏差となった。中緯度は、ロシア西部や日本の南の亜熱帯域などで負偏差となったほかは概ね正偏差で、ユーラシアの30~40°N帯は顕著な正偏差となった。
- 200hPa風速(図14)より、亜熱帯ジェット気流は、ユーラシア~太平洋でやや北偏し、太平洋では分流して40~50°N帯で弱かった。寒帯前線ジェット気流は、80°N帯で強かった。
- 海面気圧(図15)は、高緯度は北極海と北欧で負偏差となった。中緯度は、40°N以南は負偏差で、華南~日本の南東海上は顕著な負偏差となった。東アジア~太平洋の40~60°N帯は正偏差となった。
- 850hPa気温(図16)は、500hPa高度とほぼ同じ偏差分布で、太平洋の30~40°N帯は帯状に弱い負偏差となった。
帯状平均場
- 帯状平均した対流圏の東西風より、北半球では亜熱帯ジェット気流は、やや北偏した一方で、20~30°N帯でも西風偏差となった。寒帯前線ジェット気流は80°N帯で強かった。
- 帯状平均した対流圏の気温は、北半球では広い範囲で高温偏差となり、40°Nと70~80°N帯は顕著な正偏差となった。
その他の情報
- 南半球の循環
- 北半球の積雪
- 北極海の海氷(米国雪氷データセンターへのリンク)
![]() 図1 月平均気温、月降水量、月間日照時間の平年差(比)(2026年8月) 平年値は1991〜2020年の平均値。 |
![]() 図2 旬降水量及び旬間日照時間地域平均平年比の時系列(2026年6月〜2026年8月) それぞれの上側が降水量(%)、下側が日照時間(%)。平年値は1991〜2020年の平均値。 |

平年値は1991〜2020年の平均値。

細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均値、直線(赤):長期変化傾向。基準値は1991〜2020年の平均値。

細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均値、直線(赤):長期変化傾向。基準値は1991〜2020年の平均値。


等値線の間隔は0.5°C毎、灰色陰影は海氷域を表す。平年値は1991〜2020年の平均値。

細線は月平均値、太線は5か月移動平均値を示す(海面水温の基準値はその年の前年までの30年間の各月の平均値、南方振動指数の平年値は1991〜2020年の平均値)。赤色の陰影はエルニーニョ現象の発生期間を、青色の陰影はラニーニャ現象の発生期間を示している。

陰影の間隔は10W/m2毎。平年値は1991〜2020年の平均値。米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)より提供されたBlended OLRを用いて作成。
等値線の間隔は、4x106m2/s毎(左)、2m/s毎(右)。平年値は1991〜2020年の平均値。

等値線の間隔は10x106m2/s毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。

等値線の間隔は2.5x106m2/s毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。
![]() 等値線の間隔は60m毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。 |
![]() 等値線の間隔は10m/s毎。平年の20m/s毎の等値線を茶色で表す。平年値は1991〜2020年の平均値。 |
![]() 等値線の間隔は4hPa毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。 |
![]() 等値線の間隔は3°C毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。 |
季節の気候系の特徴(2026年6月〜2026年8月)
- 海面水温は(図S3)、太平洋熱帯域では、日付変更線以東で顕著な正偏差となる一方、西部は平年並だった。エルニーニョ現象が強まり、8月のNINO.3は+3.4℃と8月として過去最高の値となった。北太平洋では150°W以東を除き30°N帯に弱い負偏差が見られた他は顕著な正偏差だった。インド洋も広く正偏差で顕著な所も多かった。北大西洋では、亜熱帯域とヨーロッパ周辺で顕著な正偏差だった。
- 熱帯の対流活動(図S4)は、太平洋の165°E以東の赤道付近で顕著に活発だった一方、南米北部~アフリカ~海洋大陸で顕著に不活発だった。北西太平洋も不活発だったが、南シナ海の20°N付近は平年並だった。
- 熱帯の循環は、上層では、太平洋で南北両半球対の高気圧性循環偏差、南米北部~アフリカ~インド洋西部で南北両半球対の低気圧性循環偏差だった(図S5)。下層では、太平洋で南北両半球対の顕著な低気圧性循環偏差で北半球側は中緯度まで一体となった大きな低気圧性循環偏差だった。一方、大西洋~インド洋西部は南北両半球対の弱い高気圧性循環偏差だった(図S6)。
- 北半球の亜熱帯ジェット気流は(図S8)、全般に弱く、分流傾向が見られ、特に太平洋では分流が明瞭だった。一方で、寒帯前線ジェットは80°N帯で顕著に強かった。
- 500hPa高度(図S7)では、極渦が位置した北極海で負偏差の他は概ね正偏差で、中央シベリア、カナダ北東部、地中海周辺、中央アジアでは標準偏差の3倍以上、西日本付近は2倍以上の顕著な正偏差だった。一方、日本の東海上は弱い負偏差だった。
- 海面気圧(図S9)は、北極海は顕著な負偏差で、正の北極振動(AO)が卓越した。中央シベリア~アリューシャンにかけて顕著な正偏差となり、華南から太平洋の亜熱帯域では顕著な負偏差だった。太平洋高気圧の日本の南海上への張り出しは弱い一方、オホーツク海高気圧は平年程度に出現した。
- 日本の天候は(図S1)は、気温は、沖縄・奄美で平年並の他は高く、北・西日本でかなり高かった。日本の夏平均気温偏差は+1.02℃で、1898年の統計開始以降、第5位の高温だった。降水量は、東日本太平洋側でかなり多く、沖縄・奄美で多い一方、東・西日本日本海側で少なかった。日照時間は、東日本太平洋側と沖縄・奄美で平年並だったほかは多く、北・西日本日本海側はかなり多かった。

図S1 3か月平均気温、3か月降水量、3か月間日照時間の平年差(比)(2026年6月〜2026年8月)
平年値は1991〜2020年の平均値。

図S2 異常天候発生地点分布図(2026年6月~2026年8月)

等値線の間隔は0.5°C毎、灰色陰影は海氷域を表す。平年値は1991〜2020年の平均値。

陰影の間隔は10W/m2毎。平年値は1991〜2020年の平均値。米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)より提供されたBlended OLRを用いて作成。

等値線の間隔は10x106m2/s毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。

等値線の間隔は2.5x106m2/s毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。
![]() 等値線の間隔は60m毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。 |
![]() 等値線の間隔は10m/s毎。平年の20m/s毎の等値線を茶色で表す。平年値は1991〜2020年の平均値。 |
![]() 等値線の間隔は4hPa毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。 |
![]() 等値線の間隔は3°C毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。 |
季節の情報
過去の気候系監視速報(2007年3月~2026年7月)
2011年5月号から2021年4月号までは、平年の期間を1981~2010年として記述しています。2011年4月号までは、平年の期間を1979~2004年として記述しています。
2014年1月号まではJRA-25/JCDASによる大気循環場データに基づいて記述しています。
2014年2月号から2023年4月号まではJRA-55による大気循環場データに基づいて記述しています。
2023年5月号からは気象庁第3次長期再解析(JRA-3Q)による大気循環場データに基づいて記述しています。
項目別の詳細情報
大気の循環・雪氷・海況図表類
2024年3月18日 「大気の循環・雪氷・海況図表類」について、気象庁第3次長期再解析(JRA-3Q)を用いた図表を、熱帯低気圧解析の品質が改善されたデータに基づくものに更新しました。外向き長波放射量(OLR)に基づく1991年以降のすべての図を、米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)より提供されたBlended OLRを用いたものに更新しました。※外向き長波放射量(OLR)関連の図表や指数の値は、米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)によるデータの提供状況によっては、更新が遅れる場合や灰色で塗られた欠損表示となる場合があります。
関連情報
- 気候変動監視レポート 世界及び日本の気候変動を中心に、気候変動に影響を与える温室効果ガス、さらにオゾン層等の状況について、毎年、最新の情報を公表しています。2017年版より、年間の異常気象・天候や気候系(大気、海況、雪氷)の特徴に関する記述を充実させました。
- 気候系監視年報(2011~2016年) 年間の異常気象・天候や気候系(大気、海況、雪氷)の特徴をまとめた総合的な監視・解析情報です。2017年以降については、内容を気候変動監視レポートに統合しましたのでそちらをご覧ください。
- 日本の異常気象 社会的に大きな影響をもたらした日本の異常気象の特徴と要因に関する情報です。
- 世界の異常気象 社会的に大きな影響をもたらした世界の異常気象の特徴と要因に関する情報です。
- 異常気象分析検討会
- 気候系監視関連情報の解説










