気候系監視速報 ~気候系の診断情報~

 気象庁では、世界各地で起こった異常気象、それをもたらしたと考えられる大気大循環、海洋の状態等気候系を監視しています。これらの監視結果に基づき、月々の気候系の特徴をとりまとめた「気候系監視速報」を作成しています。
 なお、年間の異常気象・天候や気候系の特徴に関する総合的な情報は「気候変動監視レポート」をご覧ください。
※「気候系監視速報」は、利便性向上のため、2025年5月号(2025年6月発表)より、従来のPDF形式からウェブサイト形式に変更して掲載しています。

気候系の特徴(2026年9月)

  • 海面水温は(図7)、太平洋熱帯域では、日付変更線以東で顕著な正偏差となり、NINO.3は+4.0と年を通して最も高くなった(図8)。日付変更線以西は海洋大陸にかけて負偏差が広がった。北太平洋は、亜熱帯域が正偏差、30°N帯が負偏差、35~50°N帯が顕著な正偏差という分布だった。インド洋と大西洋熱帯域は、広く顕著な正偏差となった。
  • 熱帯の対流活動は(図9)、平年と比べて、太平洋中部~東部の赤道~熱帯収束帯付近で顕著に活発だった一方、南米~大西洋~アフリカ~インド洋~太平洋西部の広い範囲で不活発となり、インド洋~太平洋西部では顕著に不活発だった。アジアモンスーンに伴う対流活動は全般には不活発だったが、インドシナ半島やマリアナ諸島南部など一部で平年程度に活発だった。
  • 熱帯域の対流圏の循環は、対流活動に対応した波数1の偏差分布が明瞭に見られた。上層では(図11)、太平洋で南北両半球対の高気圧性循環偏差、南米~大西洋~インド洋で南北両半球対の低気圧性循環偏差となり、下層では(図12)、太平洋で南北両半球対の顕著な低気圧性循環偏差、インド洋で南北両半球対の顕著な高気圧性循環偏差だった。中緯度までつながる優勢な高気圧に覆われたダーウィンの気圧は記録的に高く、南方振動指数は-2.1と9月としての最も低い値となった。
  • 北半球の偏西風は(図14)、帯状平均した亜熱帯ジェット気流の位置はほぼ平年の位置で、軸付近でやや強い一方、30°N付近で弱かった。寒帯前線ジェットは80°N帯で強かった。
  • 500hPa高度は(図13)、北極海と北大西洋北部で負偏差のほかは正偏差で、西シベリア、欧州西部、北米中部は顕著な正偏差だった。40°N以南は、北米東部を除き概ね顕著な正偏差で、中国は標準偏差の3倍前後の顕著な正偏差だった。
  • 海面気圧は(図15)、高緯度では、中央シベリア付近を除いて概ね負偏差で、北極海は顕著な負偏差となり、正の北極振動が卓越した。中央シベリア~東アジアや地中海周辺では顕著な正偏差だった。一方、日本の南海上は負偏差だった。
  • 日本の天候は(図1)、気温は、西日本と沖縄・奄美で高温、北日本と東日本で平年並だった。日本の月平均気温偏差は+0.49℃だった。降水量は、東日本太平洋側で1946年以降9月として最も多く、東日本日本海側と西日本太平洋側も多かった。一方、北日本日本海側では少なかった。日照時間は、東日本と西日本太平洋側でかなり少なく、東日本太平洋側は1946年以降9月として最も少なかった。また、西日本日本海側も少なかった。一方、北日本日本海側では多かった。

日本の天候(図1、図2、図3、図4、日本の地域平均気候表)

  • 日本の月平均気温偏差は+0.49℃であった。9月の日本の平均気温は、上昇傾向が続いており、長期的な上昇率は約1.50℃/100年である。
  • 平均気温:西日本と沖縄・奄美で高かった。
  • 降水量:東日本太平洋側でかなり多かった。
  • 日照時間:東日本日本海側と東・西日本太平洋側でかなり少なかった。
  • 天候経過:
  • 9月後半に暖かい空気に覆われやすかったため、月平均気温は西日本と沖縄・奄美で高かった。台風や湿った空気、停滞前線の影響を受けやすかったため、月降水量は東日本太平洋側でかなり多く、月間日照時間は東日本日本海側と東・西日本太平洋側でかなり少なかった。東日本太平洋側では1946年の統計開始以降、9月として1位の多雨、1位の寡照となった。

世界の天候

  • 世界の月平均気温偏差は+0.79℃(速報値)で、1891年の統計開始以降、2023年を上回り9月として最も高い値となった。9月の世界の平均気温は、上昇傾向が続いており、長期的な上昇率は約0.76℃/100年(速報値)である(図5)。
  • 主な異常天候発生地域は次のとおり(図6)。
    • 東南アジア、インド南部及びその周辺、西シベリア~ロシア西部、中央アジア東部~中東南西部、ヨーロッパ西部~地中海西部周辺、西アフリカ南西部、米国東部~中米~南米北部、オーストラリア南部で異常高温となった。
    • 米国北部~南西部で異常多雨、中国南部~インド北東部、ヨーロッパ東部~西部、米国南東部、オーストラリア南東部で異常少雨となった。

海況

  • 海面水温は、太平洋熱帯域では、日付変更線以東で顕著な正偏差となり(図7)、NINO.3海域の月平均海面水温偏差および基準値との差は+4.0℃だった(図8)。海洋大陸~太平洋西部熱帯域では、顕著な負偏差となった。
  • 北太平洋では、北米沿岸を除いた35~55ºN帯で顕著な正偏差となった。一方、中~東部の25~35ºN帯では負偏差のところが多くなった。
  • 南太平洋では、西~中部の亜熱帯域で負偏差となったほかは概ね正偏差となり、東部やニュージーランド周辺は顕著な正偏差となった。
  • インド洋では、全般に正偏差で、広く顕著な正偏差となった。
  • 北大西洋では、一部海域を除き全般に正偏差で、20~30ºN帯で顕著な正偏差となった。
  • 南大西洋では、西部の30~60ºS帯を除き正偏差となった。

熱帯の対流活動と循環

  • 対流活動は、平年と比べて、太平洋中部~東部の赤道域から熱帯収束帯付近で顕著に活発な一方、インド洋~太平洋西部で顕著に不活発となり、この対流活動分布に対応して上層の大規模発散は波数1の分布が明瞭だった(図9)。アジアモンスーンに伴う対流活動は不活発だった。赤道季節内振動に伴う対流活発な位相は不明瞭だった(図10)。
  • 対流圏上層では、太平洋中部~東部で南北両半球対の高気圧性循環偏差の一方、南米~インド洋~海洋大陸で南北両半球対の低気圧性循環偏差となった(図11)。
  • 対流圏下層では、太平洋で南北両半球対の顕著な低気圧性循環偏差となった一方、インド洋では、南北両半球対で顕著な高気圧性循環偏差となった(図12)。
  • 海面気圧は、インド洋~太平洋西部で顕著な正偏差となる一方、太平洋中部~東部では顕著な負偏差となった。南方振動指数は-2.1だった(図8)。

北半球の循環

  • 500hPa高度(図13)は、極渦は北極海にあり、高緯度は、北極海と北大西洋北部で負偏差となったほかは正偏差で、西シベリア、欧州西部、北米中部では顕著な正偏差となった。
  • 200hPa風速(図14)より、亜熱帯ジェット気流は、ユーラシア~太平洋では、ほぼ平年の位置で強かった。
  • 海面気圧(図15)は、高緯度では、北極海と北大西洋北部で顕著な負偏差で、カナダ北西部や東シベリアも負偏差、一方、中央シベリア~東アジアや地中海周辺では顕著な正偏差となり、正の北極振動が卓越した。
  • 850hPa気温(図16)は、500hPa高度とほぼ同じ偏差分布だが、中緯度の正偏差は弱く、地中海東部などで弱い負偏差だった。

帯状平均場

  • 帯状平均した対流圏の東西風より、北半球では亜熱帯ジェットは、ほぼ平年の位置で強かった。寒帯前線ジェットは80N帯で平年に比べて強かった。
  • 帯状平均した対流圏の気温は、北半球では広い範囲で正偏差となり、50~70N帯は顕著な正偏差となった。

その他の情報


図1 月平均気温、月降水量、月間日照時間の平年差(比)(2026年9月)
平年値は1991〜2020年の平均値。

図2 旬降水量及び旬間日照時間地域平均平年比の時系列(2026年7月〜2026年9月)
それぞれの上側が降水量(%)、下側が日照時間(%)。平年値は1991〜2020年の平均値。


図3 地域平均気温平年差の5日移動平均時系列(2026年7月〜2026年9月)
平年値は1991〜2020年の平均値。


図4 9月の日本の月平均気温偏差の経年変化(1898〜2026年)
細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均値、直線(赤):長期変化傾向。基準値は1991〜2020年の平均値。


図5 9月の世界の月平均気温偏差の経年変化(1891〜2026年:速報値)
細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均値、直線(赤):長期変化傾向。基準値は1991〜2020年の平均値。


図6 異常天候発生地点分布図(2026年9月)


図7 月平均海面水温平年差(2026年9月)
等値線の間隔は0.5°C毎、灰色陰影は海氷域を表す。平年値は1991〜2020年の平均値。


図8 エルニーニョ監視海域の月平均海面水温の基準値との差(°C)(上)と南方振動指数(下)の推移
細線は月平均値、太線は5か月移動平均値を示す(海面水温の基準値はその年の前年までの30年間の各月の平均値、南方振動指数の平年値は1991〜2020年の平均値)。赤色の陰影はエルニーニョ現象の発生期間を、青色の陰影はラニーニャ現象の発生期間を示している。


図9 月平均外向き長波放射量(OLR)平年差(2026年9月)
陰影の間隔は10W/m2毎。平年値は1991〜2020年の平均値。米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)より提供されたBlended OLRを用いて作成。

図10 赤道付近(5°N~5°S)の5日移動平均200hPa速度ポテンシャル平年差(左)、850hPa東西風平年差(右)の時間・経度断面図(2026年4月〜2026年9月)
等値線の間隔は、4x106m2/s毎(左)、2m/s毎(右)。平年値は1991〜2020年の平均値。


図11 月平均200hPa流線関数・平年差(2026年9月)
等値線の間隔は10x106m2/s毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。


図12 月平均850hPa流線関数・平年差(2026年9月)
等値線の間隔は2.5x106m2/s毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。

図13 北半球月平均500hPa高度・平年差(2026年9月)
等値線の間隔は60m毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。
図14 北半球月平均200hPa風速・風ベクトル(2026年9月)
等値線の間隔は10m/s毎。平年の20m/s毎の等値線を茶色で表す。平年値は1991〜2020年の平均値。
図15 北半球月平均海面気圧・平年差(2026年9月)
等値線の間隔は4hPa毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。
図16 北半球月平均850hPa気温・平年差(2026年9月)
等値線の間隔は3°C毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。

過去の気候系監視速報(2007年3月~2026年8月)

2011年5月号から2021年4月号までは、平年の期間を1981~2010年として記述しています。
2011年4月号までは、平年の期間を1979~2004年として記述しています。
2014年1月号まではJRA-25/JCDASによる大気循環場データに基づいて記述しています。
2014年2月号から2023年4月号まではJRA-55による大気循環場データに基づいて記述しています。
2023年5月号からは気象庁第3次長期再解析(JRA-3Q)による大気循環場データに基づいて記述しています。

項目別の詳細情報

大気の循環・雪氷・海況図表類

2024年3月18日 「大気の循環・雪氷・海況図表類」について、気象庁第3次長期再解析(JRA-3Q)を用いた図表を、熱帯低気圧解析の品質が改善されたデータに基づくものに更新しました。外向き長波放射量(OLR)に基づく1991年以降のすべての図を、米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)より提供されたBlended OLRを用いたものに更新しました。
※外向き長波放射量(OLR)関連の図表や指数の値は、米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)によるデータの提供状況によっては、更新が遅れる場合や灰色で塗られた欠損表示となる場合があります。

関連情報

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