気候系監視関連情報の解説
気候系とは
地球上で起こる様々な大気現象は、太陽放射を源としています。太陽放射により地球が受け取ったエネルギーは、大気圏だけではなく、様々な形態を取りながら、海洋・陸地・雪氷・生物圏の間で相互にやりとりされて、最終的には赤外放射として宇宙空間に戻され、ほぼ安定した地球のエネルギー収支が維持されています。このようなエネルギーの流れに関与する地球の全システムを気候系と呼び、また大気の平均状態を気候と呼びます(図A)。気候は様々な要因により、様々な時間スケールで変動しています。
気候系監視の目的
気候系の監視は、異常気象をはじめとした天候の偏りの背景となっている大気循環や海洋などの状態を解析、診断し、その結果を迅速に国内外の関係機関および広く一般に提供することを目的としています。実況の監視は、過去のデータを使った調査、解析と組み合わせ、異常気象をもたらす要因の解明、大気の内部変動(低気圧の活動が偏西風の流れを変えるなど海洋や雪氷などの影響を受けない大気内部での変動)や大気と海洋などの相互作用(エルニーニョ現象に代表されるような大気と海洋などのエネルギーのやりとり)に関する知見を向上させることができます。また、これらの知見は、季節予報やエルニーニョ現象等の予測を行う際にも、数値予報による力学的予報とともに、利用されています。
上記の目的のため、気候系のうち、日本の天候や世界の天候(気温・降水量等)、地球をとりまく全球的な大気の流れ(大気循環)および海洋、陸地の雪や海氷等を対象とした監視結果をとりまとめています。時間スケールとしては、主に5日から季節(3か月)の平均的な大気の流れを対象に、対流圏から成層圏までを監視しています。また、長期的な地上の気温や降水量の変動も監視しています。
気候系監視に関する情報
上記の気候系監視に関する情報は、主に、気象庁ホームページの地球環境の診断(大気の総合情報)にある日本の天候、世界の天候、大気の循環・雪氷・海況、エルニーニョ/ラニーニャ現象、地球温暖化の各項目に掲載しています。
また、これらの情報の要点を、月ごとにコンパクトに速報的にとりまとめたのを「気候系監視速報」として発表しており、毎月15日頃に掲載しています。この監視速報には各詳細情報へのリンクが張ってあり、容易にそれぞれの詳細な情報をたどることができます。
さらに、年間の異常気象・天候や気候系(大気、海況、雪氷)の特徴をまとめた総合的な監視・解析情報については「気候変動監視レポート」に掲載しています(2011年から2016年までの年間のまとめについては「気候系監視年報」もご覧ください。)。
異常気象の特徴と要因に関する情報について
平成15年の冷夏、翌年の暑夏、平成18年豪雪や翌年の記録的暖冬など、近年、北日本を中心に、冬と夏の平均気温の年々変動が大きくなっています。このような異常気象は、日本の社会経済に大きな影響をおよぼし、地球温暖化の進行とともに増加が懸念されていることから、異常気象の発生要因や今後の見通しについての関心が高まっています。このような要請に応えるために、気象庁では社会的に大きな影響のある異常気象について、その要因に関する分析をし、速報的に情報を作成しています。「日本の異常気象」「世界の異常気象」には、主にこの情報をまとめて掲載しています。