南極オゾンホールの経年変化
診断
南極域上空のオゾン層・オゾンホール
南極オゾンホールの規模(オゾンホールの年最大面積(図(a))
、オゾン欠損量の年最大値(図(b))、
及び領域最低オゾン全量の年極値(図(c)))は、1980年代から1990年代半ばにかけて急激に拡大したのち、2000年以降は縮小傾向にありました。
オゾンホールの規模は、長期的には、成層圏のオゾン層破壊物質の濃度に伴って変化します。オゾン層破壊物質の濃度は、1990年代以降ピークを過ぎ緩やかに減少しています(「フロン類濃度の経年変化」参照)。
また、南極オゾンホールの規模は南極上空の成層圏の気象状況によっても変動します。年々の変動や、2020年以降の比較的大きなオゾンホールは気象要因によるものと考えられます。
南極オゾンホールの規模を評価するため年ごとの最盛期の指標だけではなく、その年の出現期間全体で評価する指標として、日別のオゾンホール面積の年積算値を定義し、その経年変化を図(d)に示しています。また、オゾンホールの縮小に関する年ごとの遅速の指標として、オゾンホールの消滅日(オゾン全量が220 m atm-cm以下の領域がなくなった日)の経年変化を図(e)に示しています。これらの指標においても年最大面積と同様の経年変化がみられますが、オゾンホール面積の年積算値は年々変動が大きくなっています。これは、年積算値がオゾンホールの出現期間全体での評価であり、最盛期以外の極渦の持続状況や下部成層圏気温の変動等の気象要因の影響を受けやすいためと考えられます。また、オゾンホールの消滅日についても、オゾンホールの消滅する11月や12月の極渦の状況が影響していると考えられ、2020年は1999年、2008年と並び最も遅くなりました。
「WMO/UNEPオゾン層破壊の科学アセスメント:2022」によると、南極オゾンホールは回復傾向にあると評価されています。
また、今後も毎春オゾンホールは発生するが、次第に縮小すること、
南極域の春季のオゾン全量は、今世紀半ば以降に1980年(オゾン層破壊が顕著になる前の指標となる年)の水準まで回復することが予測されています。
(b)オゾン欠損量の年最大値 |
(c)領域最低オゾン全量の年極値 |
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(d)日別のオゾンホール面積の年積算値 |
(e)オゾンホールの消滅日 |
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オゾンホールの規模の経年変化
1979~2023年の(a)オゾンホールの年最大面積、(b)オゾン欠損量の年最大値、(c)領域最低オゾン全量の年極値、(d)日別のオゾンホール面積の年積算値、(e)オゾンホールの消滅日の経年変化。
図は米国航空宇宙局(NASA)提供の衛星観測データをもとに気象庁で作成した。
(a)緑破線は南極大陸の面積、(c)緑破線はオゾンホールの目安である220m atm-cmを表す。
(d)年積算値の1993~1996年はデータが十分得られていないため、値を求めていない。
(e)1997~1998年は消滅時のデータが欠測であるため欠測期間をエラーバーで記している。
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