オゾン層・紫外線

用語解説

用語名 解説
オゾン全量 ある地点の上空に存在するオゾンの総量を表す。大気の上端から下端までの全層に存在するオゾンを全て仮に地表付近に集め、これを0℃、1気圧にしたときの厚さをいう。cm単位での数値を1000倍してm atm-cm(ミリアトムセンチメートル)という単位で表す。この単位はドブソンユニット(DU)ともいう。300m atm-cmは、0℃、1気圧で厚さが3mmとなる。
オゾン分圧 ある高さでの大気の圧力(気圧)は、各種気体成分の圧力(分圧)の総和で表される。これらの圧力のうち、オゾンが占める圧力をオゾン分圧という。
オゾンホール 南極上空のオゾン量が極端に少なくなる現象で、オゾン層に穴のあいたような状態であることから名づけられた。南半球の冬季から春季にあたる8月から10月ごろに発生・発達し、11月から12月ごろに消滅するという季節変化をしている。
オゾンホールの規模 オゾンホールの規模を定量的に表現するための世界的に統一された尺度はないため、気象庁では解説の便を考慮して、南極オゾンホールの状況を表す指標として、南緯45度以南における次の要素を定義し、人工衛星による観測資料を用いてこれらを算出し、公表している。
オゾンホールの面積:オゾン全量が220 m atm-cm以下の領域の面積(単位:km2)。オゾンホール発生以前には広範囲に観測されなかったとされるオゾン全量が220 m atm-cm以下の領域の面積であり、オゾンホールの広がりの目安を与える量。
オゾン欠損量(破壊量):南緯45度以南のオゾン全量を300 m atm-cm(オゾン全量の全球平均値)に回復させるために必要なオゾンの質量(単位:万トン)。オゾンホール内で破壊されたオゾンの総量の目安を与える量。
領域最低オゾン全量:南緯45度以南の領域におけるオゾン全量の最低値(単位:m atm-cm)。オゾンホールの深まりの目安を与える量。
極域成層圏雲(PSCs) PSCsは Polar Stratospheric Clouds の略で、極域上空の成層圏気温が-78 ℃以下に低下した際に、硝酸や水蒸気から生成される雲である。通常、クロロフルオロカーボン類から解離した塩素の大部分は、下部成層圏では反応性が低くオゾン層を破壊する作用の小さい塩素化合物(塩酸や硝酸塩素等)の形で存在しているが、極域成層圏雲の表面での特殊な化学反応(不均一反応)によって、より反応性が高く塩素原子を遊離しやすい塩素化合物(塩素ガスや次亜塩素酸等)が生成される。この反応性が高い塩素化合物に太陽光線が射すと、活性な塩素原子が放出され、オゾンの破壊が急激に進行する。オゾンホールの生成などには、この極域成層圏雲の発生が大きく影響する。「オゾン層とは」を参照のこと。
極渦(極夜渦) 北極及び南極上空にできる、大規模な気流の渦のこと。極域上空の成層圏では、太陽光が射さない冬季(極夜)の間に、極点を中心として非常に気温の低い大気の渦が発達し、これを極渦あるいは極夜渦という。
紅斑(こうはん)紫外線量 太陽光に含まれる紫外線を継続的に浴びると、皮膚が赤くなる(紅斑)などの変化が起きる。これが長年にわたって繰り返されると、皮膚ガンや白内障の発症率の増加など健康に悪影響を与えることが知られている。紅斑紫外線量は、人体に及ぼす影響を示すために、波長によって異なる影響度を考慮して算出した紫外線量である。 詳細は、「UVインデックスを求めるには」を参照のこと。
参照値 オゾン・紫外線の変動を表すための基準として用いる一定期間の累年平均値。地上気温などほかの気象要素が1991~2020年の30年間平均を「平年値」としていることに対し、オゾン・紫外線は期間や年数が通常の「平年値」と異なることから「参照値」と称している。参照値の期間は各コンテンツ内に掲載しているが、主な考え方は以下のとおり。
世界平均のオゾン量の減少傾向が止まり、オゾン量が少ない状態で安定していた1994~2008年の平均をオゾン量の参照値としている。紫外線量の参照値についても、オゾン量の変動と比較しやすいようにオゾン量と同じ期間とした。なお、1994~2008年の期間でデータの一部が存在しない要素については、参照値期間が短くなっている。
成層圏準2年周期振動(QBO) 英語ではQuasi-Biennial Oscillation(QBO)。赤道付近の成層圏で、東風と西風が約2年の周期で交互に出現する現象。赤道付近や南北緯度25度付近の成層圏の気温やオゾン量にも準2年周期振動があることが知られている。QBOとオゾン全量の変動の関係については、「オゾン量の経年変化に影響を及ぼす自然変動」でより詳細に解説している。
対流圏界面 対流圏と成層圏の境界のこと。対流圏界面が高い場合、オゾンの多い成層圏の厚さが薄く、オゾン全量が少ない。逆に対流圏界面が低い場合は成層圏が厚く、オゾン全量は多い。
不均一反応 気体分子が固体又は液体の表面で起こす反応など、異なる相の間で起こる化学反応。極域では極域成層圏雲の、また中緯度帯においては成層圏の硫酸エーロゾルの表面で起きる不均一反応が、下部成層圏でのオゾン層破壊に重要な役割を果たしている。「南極でオゾンホールが発生するメカニズム」も参照のこと。
偏差(%) 偏差に(%)を付けて表現している場合、偏差(基準値からの差)を基準値で割った大きさを百分率で示している。
UVインデックス 紫外線が人体に及ぼす影響度をわかりやすく示すために紅斑紫外線量を指標化したもの。現在、世界保健機関(WHO)などでは、UVインデックスを用いた紫外線対策を行うよう奨めている。国内でも環境省からUVインデックスが3以上の場合はできるだけ日差しを避け、8以上の場合はできるだけ外出を控えたほうがよいといった具体的な対処方法が示されている。
(参考)紫外線による健康被害の予防
UVインデックス(解析値) 上空のオゾンの量や日照時間などのデータを用いて解析した値。
UV-B量 紫外線は波長により、A領域(UV-A;波長315~400 nm(ナノメートル))、B領域(UV-B;波長280~315 nm)、C領域(UV-C;波長100~280 nm)に分けられる。UV-B量は、B領域の波長範囲の紫外線強度を積算して求めた量。ただし、地上での290 nm以下の紫外線は実質的に0と見なせるので、気象庁では290~315 nmにわたる波長積分で求めている。

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