海面水温の長期変化傾向(全球平均)
平成22年2月10日発表
平成22年2月10日発表
平成21(2009)年の年平均海面水温の全球平均の平年差は+0.23℃で、統計を開始した1891年以降では2番目に高い値となりました。 年平均海面水温の全球平均は、数年から数十年の時間スケールの海洋・大気の変動や地球温暖化等の影響が重なり合って変化しています。長期的な傾向は100年あたり0.50℃の上昇となっています。なお、1990年代後半からは長期的な傾向を上回って高温となる年が頻出しています。
2009年の年平均海面水温(全球平均)の平年差は+0.23℃で、統計を開始した1891年以降では2番目に高い値(一番高かったのは1998年で平年差は+0.24℃)でした。2009年の年平均海面水温が高かった要因の一つとして、夏以降はエルニーニョ現象が発生していたことが考えられます(「エルニーニョ/ラニーニャ現象と全球平均海面水温の変動について」)。近年は高温傾向が明瞭で、特に2001年以降の平年差は、2007年と2008年の値がやや小さかったほかは、概ね+0.2℃前後で推移しています(「全球年平均海面水温」(図)および「各海域の海面水温の長期変化傾向」)。
海面水温の数年規模の変動(図の赤い曲線)では、1910年頃に極小、1940年代初頭に極大となっています。それ以降、しばらく横ばい傾向でしたが、1970年代半ば以降、再び上昇傾向に転じました。年平均で見ても、特に1990年代後半以降は、長期的な傾向(図の緑の直線)を上回って高温となる年が頻出しています。
こうした海面水温の変動は、陸域における地上気温の変動と概ね同じ傾向を見せています。ただし、長期的な上昇率は、海面水温が+0.50℃/100年で、陸上気温の+0.80℃/100年(世界の年平均気温(陸上のみ)の経年変化)よりも小さくなっています(海面水温の上昇率は、1891年から2009年までの統計データを基に算出しています)。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書(2007年)では、大気中の二酸化炭素濃度の増加などの人為起源の影響を考慮することによってのみ、上記のような海面水温・陸上気温の上昇傾向が地球温暖化予測モデルによるシミュレーションで再現されること等の事実から、人為起源により地球温暖化が生じている可能性が非常に高いことを指摘しています(IPCC第4次評価報告書(2007年))。