海面水温の長期変化傾向(全球平均)

平成24年2月10日発表

診断(2011年)

  • 平成23(2011)年の年平均海面水温(全球平均)の平年差は+0.04℃で、統計を開始した1891年以降では11番目に高い値となりました。
  • 年平均海面水温(全球平均)は、数年から数十年の時間スケールの海洋・大気の変動や地球温暖化等の影響が重なり合って変化しています。長期的な傾向は100年あたり0.51℃の上昇となっています。なお、1990年代後半からは長期的な傾向を上回って高温となる年が頻出しています。
  • 年平均海面水温(全球平均)の平年差の推移

    凡例

    年平均海面水温(全球平均)の平年差の推移

    各年の値を黒い実線、5年移動平均値を青い実線、長期変化傾向を赤い実線で示します。
    平年値は1981〜2010年の30年平均値です。

    解説

    2011年の年平均海面水温(全球平均)の平年差は+0.04℃で、統計を開始した1891年以降では11番目に高い値でした。近年は高温傾向が明瞭で、特に2001年以降の平年差は、2007年と2008年の値がやや小さかったほかは、概ね+0.1℃前後(+0.09〜+0.13℃)で推移しています。2011年の年平均海面水温は近年と比較すると低くなりました。その要因の一つとして、春までラニーニャ現象が発生していたこと、及び秋以降もラニーニャ現象の傾向にあったことが考えられます。
    海面水温の数年規模の変動(図の青い曲線)では、1910年頃に極小、1940年代初頭に極大となっています。それ以降、しばらく横ばい傾向でしたが、1970年代半ば以降、再び上昇傾向に転じました。年平均で見ても、特に1990年代後半以降は、長期的な傾向(図の赤い直線)を上回って高温となる年が頻出しています。
    こうした海面水温の変動は、陸域における地上気温の変動と概ね同じ傾向を見せています。ただし、長期的な上昇率は、海面水温が+0.51℃/100年で、陸上気温の+0.82℃/100年よりも小さくなっています(海面水温の上昇率は、1891年から2011年までの統計データを基に算出しています)。
    気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書(2007年)では、大気中の二酸化炭素濃度の増加などの人為起源の影響を考慮することによってのみ、上記のような海面水温・陸上気温の上昇傾向が地球温暖化予測モデルによるシミュレーションで再現されること等の事実から、人為起源による地球温暖化が生じている可能性が非常に高いことを指摘しています。

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