インド洋ダイポールモード現象発生時の日本の天候の特徴(調査方法について)

天候の特徴を示す気象要素

天候の特徴を示す気象要素として、平均気温、降水量、日照時間を取り上げました。インド洋ダイポールモード指数※1の3か月移動平均が+0.4℃以上の状態が3か月持続したときを正のインド洋ダイポールモード現象としました。1948年~2021年の74年間について、エルニーニョ現象が発生していない場合における、正のインド洋ダイポールモード現象が発生しているときの各気象要素の階級出現率を示します(気温は「低い」、「並」、「高い」、その他の要素は「少ない」、「並」、「多い」)。 また、3か月平均の特徴においては、中央月(6~8月なら7月)が現象の発生条件を満たしている場合としました。

  ※1  インド洋熱帯域西部(WIN:東経50~70度、南緯10度~北緯10度)において領域平均した海面水温の基準値との差から、南東部(EIN:東経90~110度、南緯10度~赤道)において領域平均した海面水温の基準値との差を引いた値をインド洋ダイポールモード指数と定義しています。基準値は、各海域の月別の海面水温の前年までの30年間の海面水温の長期変化傾向(トレンド)を直線で近似し、その直線を1年延長して得られた値です。

天候の特徴を記述する基準

天候の特徴を記述するために、検定※2を行いました。例えば、気温では「高い(低い)」階級が出現する割合が有意に大きい場合「高い(低い)傾向がある」としました。また、「低い(高い)」階級が出現する割合が有意に小さく、かつ「並」の階級が出現する割合が有意に大きいとはならない場合、「並か高い(低い)傾向がある」としました。気温以外の要素についても同様の処理を行いました。
図中の検定で有意な地域名に赤い帯をかけ、有意な階級を黒太枠で囲いました。

  ※2  2項検定を用い、母比率は33%としました。

長期的な変化傾向(トレンド)の除去

日本の天候にはインド洋ダイポールモード現象の影響のほか、十年から数十年程度の時間スケールの自然変動や地球温暖化による気温の上昇傾向などの長期的な変化傾向(トレンド)が反映されています。インド洋ダイポールモード現象それ自体の影響を考える場合、こうしたトレンドを除くことが有効です。
天候の特徴を示す気象要素は、各地点の平年値(1991~2020年)との差(比)を地域で平均した値をもとに、1948年~2021年の74年間の出現率が等しくなるよう階級を区分しましたが、トレンドが明瞭な気温については以下の方法によりトレンドの影響を除いています。
1)1948年~2021年の地域平均値を直線で近似しました。
2)その直線を基準とし、その差をもとに1948年~2021年の74年間の出現率が等しくなるよう階級を区分しました。

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