平成21年3月2日発表
気象庁地球環境・海洋部
診断(2008年)
・1980年代にしばしば発生した日本東方海域における親潮の顕著な南下は、1986年を最後に発生していません。
・2008年の日本東方海域における親潮の面積は、7月〜11月にかけて、平年よりも大きい状態となりました。
赤線が平均南端位置(右軸=北緯(度))、青色部が平均面積 (左軸=104km2)を示します。
(1971年1月〜2008年12月)
(1971年1月〜2008年12月)
解説
例年親潮は春に大きく張り出し、夏から秋にかけてゆっくり後退します。日本東方海域における親潮の沿岸寄りの分枝の顕著な南下*は1981年、1984年、1986年と1980年代にしばしば発生しましたが、このような事例は1986年を最後に発生していません。2008年の春季(3〜5月)は、平均面積が過去48年間で第20位、平均南端位置が第23位で、平均的な広がりとなりました。2007年の11月以降、親潮の面積は1997年12月以来の最小規模となっていましたが、2008年1月中旬以降急速に拡大し、1月下旬には平年より大きくなりました。春季(3〜5月)は、時折、三陸沖に切離した5℃以下の冷水域が見られましたが、親潮の面積は平年並の状態でした。また、7月〜11月にかけて、沿岸の分枝も沖合いの分枝も平年に比べてゆっくり後退したため、親潮の面積は平年より大きい状態となりました。
*顕著な南下:春季(3〜5月)の平均南端位置が北緯38度を越え、かつ、春季の平均面積が1961年以降の上位10位以内であるような場合を、主観的に、顕著な南下としています。1978年、1981年、1984年及び1986年が該当します。