平成23年2月28日発表
気象庁地球環境・海洋部
診断(2010年)
・1980年代にしばしば発生した日本東方海域における親潮の顕著な南下は、1986年を最後に発生していません。
・2010年の日本東方海域における親潮の春季の面積は、過去50年間で、5番目に大きい状態でした。
赤線が平均南限位置(右軸=北緯(度))、青色部が平均面積 (左軸=104km2)を示します。
(1971年1月〜2010年12月)
(1971年1月〜2010年12月)
解説
例年、親潮は春に大きく張り出し、夏から秋にかけてゆっくり後退します。日本東方海域における親潮の沿岸寄りの分枝の顕著な南下*は1981年、1984年、1986年と1980年代にしばしば発生しましたが、このような事例は1986年を最後に発生していません。2010年の親潮の面積は、9月を除いておおむね平年より大きい状態でした。2010年の親潮の南限位置は3月には北緯37度付近に達しました。一方、4月から5月にかけては、暖水渦が三陸沖に移動してきた影響で南限位置は北上して北緯39度付近となり、この状態が8月まで続いていました。
春季(3〜5月)の平均面積は、過去50年間で5番目に大きい状態となりました。春季の平均南限位置は、過去50年間で第4位でした。
*顕著な南下:春季(3〜5月)の平均南限位置が北緯38度を越え、かつ、春季の平均面積が1961年以降の上位10位以内である場合について総合的に判断し、顕著な南下としています。1978年、1981年、1984年及び1986年が該当します。