親潮の数か月から十年規模の変動

平成24年2月29日発表

気象庁地球環境・海洋部

診断(2011年)

・1980年代にしばしば発生した日本東方海域における親潮の顕著な南下は、1986年を最後に発生していません。
・2011年の日本東方海域における親潮の春季の面積は、1985年以降の過去27年間で、5番目に大きい状態でした。
日本東方海域(北緯43度以南、東経148度以西)の親潮の春季(3〜5月)の平均南限位置及び平均面積の年々変化

日本東方海域の親潮の春季(3〜5月)の平均南限位置及び平均面積の年々変化(1971年から2011年まで)

赤線が平均南限位置(右軸=北緯(度))、青色部が平均面積(左軸=104km2)を示します。1985年以降は、海洋大循環モデルを用いて求めています。詳しくは、解説の「親潮の解析にあたって」をご参照ください。



日本東方海域(北緯43度以南、東経148度以西)における月毎の親潮の面積の経年変動

日本東方海域(北緯43度以南、東経148度以西)における月毎の親潮の面積の経年変動(1971年1月〜2011年12月)

1985年以降は、海洋大循環モデルを用いて求めています。詳しくは、解説の「親潮の解析にあたって」をご参照ください。



日本東方海域(北緯43度以南、東経148度以西)における月毎の親潮の南限位置の経年変動

日本東方海域(北緯43度以南、東経148度以西)における月毎の親潮の南限位置の経年変動(1971年1月〜2011年12月)



※データは前回(平成23年2月)までの診断に使用していたデータ(全期間にわたって海洋大循環モデルを用いずに求めたもの)と異なりますのでご注意ください。今回使用したデータの詳細は、解説の「親潮の解析にあたって」をご参照ください。

解説

 例年、親潮は春に大きく張り出し、夏から秋にかけてゆっくり後退します。日本東方海域における親潮の沿岸寄りの分枝の顕著な南下は1981年、1984年、1986年と1980年代にしばしば発生しましたが、このような事例は1986年を最後に発生していません。

 2011年の親潮の面積は、1月〜4月にかけて平年より大きい状態でした。7月以降は、おおむね平年より小さい状態でした。2011年の親潮の南限位置は、年を通して北緯38度より北にありました。
 春季(3〜5月)の平均面積は、海洋大循環モデルを用いた総合的な評価を行えるようになった1985年以降の過去27年間で5番目に大きい状態でした。春季の平均南限位置は、同様に過去27年間で第21位でした。


親潮の解析にあたって

 親潮面積は、日本東方海域(北緯43度以南、東経148度以西)の深さ100mにおける水温5゚C以下の領域を親潮と定義して求めています。1971年から1984年までは海洋大循環モデルを用いずに求めていますが、1985年以降は海洋大循環モデルを用いて求めることができるようになり、解析の品質が向上しています。また、親潮の南限位置は、深さ100mの水温資料、衛星の海面水温画像等から、親潮の沿岸寄りの分枝に相当する冷水の張り出しを総合的に判断して決定しています。

顕著な南下とは

 春季(3〜5月)の平均南限位置が北緯38度を越え、かつ、春季の平均面積がある程度の広がりと持続性をもつ場合について総合的に判断し、顕著な南下としています。1978年、1981年、1984年及び1986年が該当します。

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