診断(2014年)
・1980年代にしばしば発生した日本東方海域における親潮の顕著な南下は、1986年を最後に発生していません。
・2014年の日本東方海域における親潮の春季の面積は、1982年以降の過去33年間で、3番目に大きい状態でした。
赤線が平均南限位置(右軸=北緯(度))、青色部が平均面積(左軸=104km2)を示します。1982年以降は、海洋大循環モデルを用いて求めています。詳しくは、解説の「親潮の解析にあたって」をご参照ください。
1982年以降は、海洋大循環モデルを用いて求めています。詳しくは、解説の「親潮の解析にあたって」をご参照ください。
解説
例年、親潮は春に大きく張り出し、夏から秋にかけてゆっくり後退します。日本東方海域における親潮の沿岸寄りの分枝の顕著な南下は1981年、1984年、1986年と1980年代にしばしば発生しましたが、このような事例は1986年を最後に発生していません。
2014年の親潮の面積は、3月から5月にかけて平年より大きく、4月は平年よりかなり大きい状態でした。7月、8月、および11月から12月にかけて平年より小さくなりましたが、その他の月は、概ね平年並でした。 2014年の親潮の南限位置は、2月から5月にかけて北緯39度以南にあり、5月には沿岸寄りの分枝が北緯37.5度付近まで南下しました。その他の月は概ね北緯39度より北にありました。
春季(3〜5月)の平均面積は、海洋大循環モデルを用いた総合的な評価を行えるようになった1982年以降の過去33年間で3番目に大きい状態でした。春季の平均南限位置は、過去33年間で南から数えて第14位でした。
親潮の解析にあたって
親潮面積は、日本東方海域(北緯43度以南、東経148度以西)の深さ100mにおける水温5゚C以下の領域を親潮と定義して求めています。1971年から1981年までは海洋大循環モデルを用いずに求めていますが、1982年以降は海洋大循環モデルを用いて求めることができるようになり、解析の品質が向上しています。また、親潮の南限位置は、深さ100mの水温資料、衛星の海面水温画像等から、親潮の沿岸寄りの分枝に相当する冷水の張り出しを総合的に判断して決定しています。
(※注)2013年の診断までは1985年以降の解析を海洋大循環モデルを用いて行いましたが、2014年の診断では1982年以降のデータを利用して海洋大循環モデルによる解析を再度行い親潮面積を求めています。このため、本診断の1982年以降の親潮面積の値は2013年の診断までの値と異なりますのでご注意ください。顕著な南下とは
春季(3〜5月)の平均南限位置が北緯38度を越え、かつ、春季の平均面積がある程度の広がりと持続性をもつ場合について総合的に判断し、顕著な南下としています。1978年、1981年、1984年及び1986年が該当します。