日本近海の海面水温(月概況)

令和3年11月22日 気象庁発表

診断 (2021年10月)

  • オホーツク海南部では、広い範囲で海面水温が平年より高くなっていました(図中A)。
  • 日本海、東シナ海では、広い範囲で海面水温が平年よりかなり高くなっていました(図中B)。
  • 北海道南東方、本州東方では、海面水温が平年より高い海域がみられました(図中C)。
  • 関東南東方、沖縄の東の東経135度以東では、広い範囲で海面水温が平年より低くなっていました(図中D)。
  • 四国・東海沖では、海面水温が平年よりかなり高い海域がみられました(図中E)。
  • 沖縄の南では、海面水温が平年より高く、平年よりかなり高い海域もみられました(図中F)。
  • 父島近海、南鳥島近海では、海面水温が平年より高い海域がみられ、平年よりかなり高い海域もみられました(図中G)。

日本近海の月平均海面水温平年差分布図(2021年10月)
日本近海の月平均海面水温平年差分布図(2021年10月)

海面水温の平年値(1991〜2020年の30年間の平均値)からの差を示しています。 平年差は、図の右にある0.5℃ごとのスケールと同じ色で色分けされています。 内湾域等は、薄い灰色で示しています。また、海氷のために海面水温のデータがない海域は、灰色の網掛けで示しています。

この図の海面水温平年差は速報値です。日本近海のデータの図は、診断の発表後も、後から入手した観測値によって更新されることがあります。

解説

日本近海の海面水温

オホーツク海南部では、上旬、下旬に平年より風が弱かった影響により、広い範囲で海面水温が平年より高くなっていました(図中A)。

日本海、東シナ海では、広い範囲で海面水温が平年よりかなり高くなっていました(図中B)。これらの海域では、9月下旬には海面水温が平年より高く、特に日本海北部と東シナ海南部では、広い範囲で平年よりかなり高くなっていました。10月上旬には、日本付近は高気圧に覆われることが多く、東シナ海、日本海南部では、高気圧の縁辺に沿って暖かく湿った空気が流れ込んだこと、東シナ海では平年より風が弱く、日射量も多かったことから、海面水温が平年よりかなり高くなりました。10月後半以降は、寒気の影響により、海面水温が平年よりかなり高い海域が縮小しましたが、広い範囲で平年より高くなっていました。日本海、東シナ海の海面水温は、解析値のある1982年以降で10月として最も高くなりました(臨時診断表「日本海、東シナ海で10月として記録的に高い海面水温」)。

北海道南東方、本州東方では、上旬の暖かく湿った空気の影響により、海面水温が平年より高い海域がみられました(図中C)。釧路沖、三陸沖、常磐沖では、暖水渦や黒潮系暖水の影響もあり、海面水温が平年よりかなり高い海域がみられました。

関東南東方、沖縄の東の東経135度以東では、広い範囲で海面水温が平年より低くなっていました(図中D)。これらの海域では、上旬は台風第16号や平年より風が強かった影響により、広い範囲で海面水温が平年より低く、平年よりかなり低い海域もみられました。その後、中旬に平年より日射量が多かった影響に加え、平年より風が弱く、暖かく湿った空気の影響もあり、下旬には海面水温が平年より低い海域が縮小しました。

四国・東海沖では、海面水温が平年よりかなり高い海域がみられました(図中E)。この海域では、上旬、中旬に平年より日射量が多く、風が弱かった影響により、中旬には海面水温が平年よりかなり高い海域が拡大しました。伊豆諸島北部から熊野灘にかけては、黒潮や黒潮から分かれた暖水の影響により、海面水温が平年よりかなり高くなっていました。

沖縄の南では、海面水温が平年より高く、平年よりかなり高い海域もみられました(図中F)。この海域では、9月下旬に引き続き、10月上旬は広い範囲で海面水温が平年よりかなり高くなっていました。中旬には台風第18号の影響、下旬には寒気や平年より日射量が少なかった影響により、海面水温が平年よりかなり高い海域が縮小しました。

父島近海、南鳥島近海では、海面水温が平年より高い海域がみられ、平年よりかなり高い海域もみられました(図中G)。これらの海域では、9月下旬には海面水温が平年より高く、平年よりかなり高い海域もみられましたが、10月上旬、中旬は平年より風が強く、日射量が少なかった影響により、海面水温が平年より高い海域が縮小しました。下旬には南鳥島近海では平年より風が弱く、日射量が多かった影響により、海面水温が平年より高い海域が拡大し、平年よりかなり高い海域もみられるようになりました。


海面水温の診断にあたって

  • 1991〜2020年の30年間に出現した海面水温の上位1/3以上を「平年より高い」、下位1/3以下を「平年より低い」とし、それらを除いた中央1/3の範囲を「平年並」としています。また、上位(下位)1/10以上(以下)を「平年よりかなり高い(低い)」としています。

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