臨時診断表 日本海、東シナ海で10月として記録的に高い海面水温

令和3年11月1日 気象庁発表

診断

   10月の日本海、東シナ海の海面水温は、平年よりかなり高くなり、解析値のある1982年以降で10月としては最も高くなりました。

図1 10月の月平均海面水温分布図(左)、同平年差分布図(右)

図1 10月の月平均海面水温分布図(左)、同平年差分布図(右)

左図の緑枠、水色枠、黄色枠、青枠が、それぞれ日本海北部、日本海南部、東シナ海北部、東シナ海南部の領域を示しています。平年差は海面水温の平年値(1991~2020年の30年間の平均値)からの差を示しています。この図の海面水温は速報値で、後から入手した観測値によって更新されることがあります。

解説

海面水温の状況

   10月の日本海、東シナ海の海面水温は、平年よりかなり高くなりました(図1)。これらの海域では、9月下旬には海面水温が平年より高く、特に日本海北部と東シナ海南部では、広い範囲で平年よりかなり高くなっていました。10月上旬は、平年では海面水温が低下する時期ですが、日本付近は高気圧に覆われることが多く、東シナ海、日本海南部では、高気圧の縁辺に沿って暖かく湿った空気が流れ込んだこと、東シナ海では平年より風が弱く、日射量も多かったことから、海面水温が低下しにくかったため、平年よりかなり高くなりました。10月後半以降は、日本付近は寒気の影響を受け、これらの海域でも海面水温が低下しましたが、平年より高い状態が続きました。また、日本海北部では、月を通じて海面水温が平年よりかなり高い状態が続きました。
   10月の月平均海面水温は、日本海北部では18.1℃(平年差+2.1℃)、日本海南部では22.2℃(平年差+1.4℃)、東シナ海北部では24.9℃(平年差+2.0℃)、東シナ海南部では27.5℃(平年差+1.4℃)(いずれも速報値)となっており、解析値のある1982年以降の10月の海面水温としては最も高くなりました(図2)。

今後の見通し

   日本海北部では、今後も11月下旬にかけて、海面水温が平年よりかなり高い状態が、日本海南部では平年より高いか、かなり高い状態が続く見込みです。東シナ海では、平年並か平年より高い見込みです(図3)。今後の水産業等への影響に留意してください。

その他

   最新の状況や今後の見通しについて、日本近海の海面水温、海面水温・海流1か月予報をご覧ください。

参考資料

図2 日本海北部・南部、東シナ海北部・南部の10月の月平均海面水温の推移

図2 日本海北部・南部、東シナ海北部・南部の10月の月平均海面水温の推移(紫線は平年値(統計期間:1991年〜2020年))

図3 日本海北部・南部、東シナ海北部・南部の海面水温の実況と予測の推移

図3 日本海北部・南部、東シナ海北部・南部の海面水温の実況と予測の推移

青点線が過去の水温、赤太線が今後の予測、赤細線が平年値を示し、桃色の縦線が10月28日を示しています。

表:日本海北部・南部、東シナ海北部・南部の10月の月平均海面水温が高かった年

順位日本海北部
(平年値16.0℃)
日本海南部
(平年値20.8℃)
東シナ海北部
(平年値22.9℃)
東シナ海南部
(平年値26.1℃)
12021年18.1℃2021年22.2℃2021年24.9℃2021年27.5℃
22012年17.2℃2010年22.2℃1998年23.7℃2017年27.1℃
31998年17.2℃1998年21.9℃2007年23.6℃2016年27.1℃

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データ

リンク

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