オホーツク海の海氷分布(月概況)

平成18年2月5日発表

気象庁地球環境・海洋部

診断(2006年1月)

 2006年(平成18年)1月のオホーツク海の海氷域面積は、1971年の統計開始以来最小レベルの小ささで経過しました。1月31日時点の海氷面積(速報値)は51.34万平方kmで、1997年の56.56万平方kmを更新し過去最小の状態となりました。
 しかし、北海道周辺については海氷域面積はほぼ平年並となっており、北海道のオホーツク海沿岸で流氷が最初に観測される「流氷初日」は、紋別で平年より10日早い1月12日、網走で平年より3日遅い1月23日となりました。また、北海道周辺の海氷の分布が平年より東に偏ったため、海氷の根室海峡への流入が1月下旬、国後水道から太平洋への流出が2月初めといずれも平年より早く始まりました。
オホーツク海海氷解析図

オホーツク海海氷分布図(速報値)(2006年1月31日)
白い領域が海氷域であり、赤い線は平年(1月31日)の海氷縁です。

解説

海氷が少ない原因
 オホーツク海の海氷域面積が1月末まで少ない状態で経過しているのは、初冬の気温・水温が高く、初期の結氷、海氷域の拡大が遅れたことが大きな原因と考えられますが、1月に入っても海氷域の拡大は平年よりも緩やかなものとなりました。これは以下の2点が原因と考えられます。
  • オホーツク海中・北部(北緯50度以北)で東よりの風が吹きやすい気圧配置となることが多く、海氷が沖合いに広がるのが抑制された。
  • オホーツク海北部沿岸地方で気温が平年より高く(寒気の吹き出しが平年より弱く)海氷の生成量が少なかった。
 このため、オホーツク海の海氷域面積は中・北部では平年の約半分と小さくなっています。
 しかし、流氷の北海道周辺への南下はサハリンの東岸を流れる東樺太海流の影響を大きく受けるため、流氷の南下は平年並となりました。北海道周辺では強い冬型の気圧配置となることが多く、平年より低温で季節風も強く吹いたこともあり、北海道周辺の海氷域面積は平年並となっています。

北海道周辺の流氷の動き
 1月末現在、北海道周辺の海氷域面積はほぼ平年並みですが、流氷をオホーツク海沿岸に寄せる東よりの風となる日(低気圧が北海道の南を通過する日)が少なかったこと、冬型で北西の風が強い日が多かったことなどにより、北海道周辺の海氷分布はやや東よりに偏っており、根室海峡への流入、国後水道から太平洋への流出は平年より早く始まりました。
 紋別では、冬型が一時的に強まった1月12日に流氷の細く伸びた先端部が接近したため平年より早い流氷初日となりましたが、その流氷帯は数日で融解し、網走の流氷初日は流氷本体の接近した1月23日(平年並)となりました。
 向こう1か月間の予想では、北海道周辺の気温は平年並(2月3日発表「北海道地方1か月予報」)、水温は平年より低い見込み(1月20日発表「海面水温・海流月予報」)で、北海道のオホーツク海沿岸では2月上旬に流氷が接岸する見込みです。また、流氷の太平洋側への流出の規模は平年並の見込みです。

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