オホーツク海の海氷分布(月概況)
平成18年3月5日発表
気象庁地球環境・海洋部
診断(2006年2月)
2006年(平成18年)2月のオホーツク海の海氷域面積は、中旬までは順調に拡大しましたが、下旬になってから拡大のペースが鈍り、海氷域面積は平年よりかなり小さく経過しました。2月28日現在の海氷域面積(速報値)は82.04万平方kmで、1971年の統計開始以来、3番目の小ささとなりました。
北海道沿岸各地では2月上旬に「流氷接岸初日」が、2月中旬に「海明け」が観測され、流氷の接岸は非常に短い期間となりました。なお、網走・紋別より早く根室が接岸初日となったのは1959年の観測開始以来初めてのことです。また、網走、紋別の「海明け」は、ともに、1956年の統計開始以来2番目の早さとなりました。
オホーツク海海氷分布図(速報値)(2006年2月28日)
白い領域が海氷域であり、赤い線は平年(2月28日)の海氷縁です。
解説
1月末時点では1971年の統計開始以来の過去最小であったオホーツク海の海氷域面積は、2月に入って急速に面積を増し、10日には過去5位程度の小ささになりましたが、下旬になって面積の増加が止まり、月末には過去3位の小ささとなりました。これは、2月に入り気温・水温が低下し、オホーツク海周辺の気温・水温が平年より高い状態も解消されたため、中旬までは海氷域面積が増加したものの、下旬になって低気圧がオホーツク海中部で発達したため、北・中部では風による沿岸方向への吹き寄せで増加が鈍り、南部では暖気流入による海氷の融解で減少し、海氷域面積がほとんど増えなかったのが原因です。
北海道周辺の流氷の動き
「流氷接岸初日」は根室で平年より13日早い2月5日、網走で平年より5日遅い2月6日、紋別で平年より3日遅い2月8日となりました。網走・紋別より早く根室が接岸初日となったのは1959年の観測開始以来初めてのことです。これは、1月末から2月初めにかけて、流氷をオホーツク海沿岸に寄せる東よりの風となる日(低気圧が北海道の南を通過する日)が少なかったこと、冬型で北西の風が強い日が多かったことなどにより北海道周辺の海氷分布が東よりに偏り、根室海峡への流入が平年より早く始まったためです。国後水道、珸瑣瑟(ごようまい)水道から太平洋への流出も平年より早く始まりましたが、規模は小さく、釧路方面まで流れてくることはありませんでした。
2月中旬以降北海道周辺の気温が平年より高く経過したため、流氷は沖合いに後退し、北海道の沿岸での流氷接岸期間は非常に短いものとなりました。「海明け」は網走で平年より37日早い2月15日、紋別で平年より27日早い2月17日で、ともに、1956年の統計開始以来2番目の早さです。(根室では「海明け」は観測していません。)2月末現在の流氷の南端は平年の4月初め並の位置となっています。
向こう1か月間の予想では、北海道周辺の気温は平年並か高く(3月3日発表「北海道地方1か月予報」)、水温は平年より低い見込み(2月20日発表「海面水温・海流月予報」)です。北海道周辺の海氷は融解と後退が進むでしょう。また、太平洋・日本海への流出の規模は小さく、釧路と稚内で流氷が観測される可能性は低いでしょう。