日本沿岸の月平均潮位の変動

平成23年8月22日発表
気象庁地球環境・海洋部

平成23年東北地方太平洋沖地震で観測機器の破損や地盤の変動が大きかった北日本及び東日本の地点(青森県八戸~千葉県銚子漁港)については、診断を行っておりません。
また、それ以外の地点においても、潮位観測値に地盤の変動の影響が含まれている可能性があります。

診断(2011年7月)

2011年7月の月平均潮位は、最近5年間の同月の平均と比べ、伊豆諸島南部、小笠原諸島の沿岸、西日本の太平洋沿岸から九州地方北部の沿岸ではやや高い状態でした。また、佐渡ではやや低い状態でした。
その他の地方の沿岸は、ほぼ例年並でした。
月平均潮位偏差分布

2011年7月 月平均潮位偏差分布


月平均潮位偏差とは、最近5年間の月平均値からの差で、正(負)の値は最近5年間の月平均値より高い(低い)ことを示しています。偏差は、図の下方にあるスケールと同じ色で分類されています。

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の影響により、▲で示した地点では診断を行っておりません。


偏差をΔHとすると、ΔHの分類は以下のとおりです。


甚だ高い +20 ≤ ΔH
かなり高い +10 ≤ ΔH < +20
やや高い +5 ≤ ΔH < +10
例年並 -5 ≤ ΔH < +5
やや低い -10 ≤ ΔH < -5
かなり低い -20 ≤ ΔH < -10
甚だ低い ΔH < -20

解説

2011年7月の月平均潮位は、最近5年間の同月の平均と比べ、伊豆諸島南部、小笠原諸島の沿岸、西日本の太平洋沿岸から九州地方北部の沿岸ではやや高い状態でした。

黒潮が三宅島と八丈島の間を流れることが多かったため、伊豆諸島南部の海域では月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ1~3℃程度高い状態でした。このため、この地域の沿岸では月平均潮位がやや高くなったものと考えられます。
西日本の太平洋沿岸では黒潮が接岸することが多かったため、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ0.5~2℃程度高い状態でした。また、台風第6号による影響(吸い上げ効果や吹き寄せ効果)も加わったことから、この地域の沿岸では月平均潮位がやや高くなったものと考えられます。
九州地方北部及び小笠原諸島の沿岸では、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ0.5~1℃程度高い状態でした。このため、これらの地域の沿岸では月平均潮位がやや高くなったものと考えられます。

(参考情報:月平均表層水温の偏差海面水温・海流の月概況(関東沖海域)海面水温・海流の月概況(日本南方海域)

なお、このページにおける偏差は、潮位、水温、海面気圧ともに最近5年間(2006~2010年)のデータの平均値からの差としています。 また、月平均潮位偏差の各地点の値は潮汐概況に掲載しています。

(参考情報:潮汐概況

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