日本沿岸の月平均潮位の変動
平成23年12月20日発表
気象庁地球環境・海洋部
平成23年東北地方太平洋沖地震で観測機器の破損や地盤の変動が大きかった北日本及び東日本の地点(青森県八戸~千葉県銚子漁港)については、診断を行っておりません。
また、それ以外の地点においても、潮位観測値に地盤の変動の影響が含まれている可能性があります。
診断(2011年11月)
2011年11月の月平均潮位は、最近5年間の同月の平均と比べ、三宅島ではかなり高く、小笠原諸島、東海地方東部の沿岸、瀬戸内海の一部沿岸および四国地方から九州地方の太平洋側の一部沿岸では、やや高い状態でした。また、南西諸島の一部では、やや低い状態でした。
その他の地方の沿岸は、ほぼ例年並でした。
2011年11月 月平均潮位偏差分布
月平均潮位偏差とは、最近5年間の月平均値からの差で、正(負)の値は最近5年間の月平均値より高い(低い)ことを示しています。偏差は、図の下方にあるスケールと同じ色で分類されています。
平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の影響により、▲で示した地点では診断を行っておりません。
偏差をΔHとすると、ΔHの分類は以下のとおりです。
甚だ高い | +20 ≤ | ΔH |
かなり高い | +10 ≤ | ΔH < | +20 |
やや高い | +5 ≤ | ΔH < | +10 |
例年並 | -5 ≤ | ΔH < | +5 |
やや低い | -10 ≤ | ΔH < | -5 |
かなり低い | -20 ≤ | ΔH < | -10 |
甚だ低い | | ΔH < | -20 |
解説
2011年11月の月平均潮位は、最近5年間の同月の平均と比べ、三宅島ではかなり高く、小笠原諸島、東海地方東部の沿岸、瀬戸内海の一部沿岸および四国地方から九州地方の太平洋側の一部沿岸では、やや高い状態でした。また、南西諸島の一部では、やや低い状態でした。
三宅島では、上旬から中旬に黒潮が三宅島付近を流れた影響で、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ2~4℃程度高い状態でした。このため、この地域では月平均潮位がかなり高くなったものと考えられます。
小笠原諸島および東海地方東部では、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ0.5~2℃程度高い状態でした。このため、これらの地域では月平均潮位がやや高くなったものと考えられます。
四国地方から九州地方の太平洋沿岸では、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ0.5~2℃高い状態でした。このため、この地域では一部の沿岸で月平均潮位がやや高くなったものと考えられます。また、この地域の月平均表層水温が高くなったことで、瀬戸内海の出入り口にあたる豊後水道、紀伊水道では上旬から中旬に潮位が例年より高くなり、それに伴って瀬戸内海では月平均潮位がやや高くなったものと考えられます。
南西諸島の一部では、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ1~2℃程度低い状態でした。このため、これらの地域では月平均潮位がやや低くなったものと考えられます。
(参考情報:月平均表層水温の偏差、
海面水温・海流の月概況(関東沖海域)、
海面水温・海流の月概況(日本南方海域)
)
なお、このページにおける偏差は、潮位、水温、海面気圧ともに最近5年間(2006~2010年)のデータの平均値からの差としています。
また、月平均潮位偏差の各地点の値は潮汐概況に掲載しています。
(参考情報:潮汐概況)
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