日本沿岸の月平均潮位の変動
2012年10月22日発表
気象庁地球環境・海洋部
平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震で観測機器の破損や地盤の変動が大きかった東北地方の地点(青森県八戸~福島県小名浜)については、診断での利用を休止しています。
また、それ以外の地点においても、潮位観測値に地盤の変動の影響が含まれている可能性があります。
下関は、所管機関が国土交通省港湾局へ変更になり、名称が弟子待検潮所となりましたが、観測は同一地点で続けており、診断への利用を継続しています。
診断(2012年9月)
2012年9月の月平均潮位は、最近5年間の同月の平均と比べ、伊豆諸島の沿岸ではやや~甚だ高く、大東島地方の沿岸ではかなり高く、東海地方から四国地方にかけての沿岸、北陸地方から九州北部地方にかけての沿岸及び瀬戸内海の沿岸の一部ではやや~かなり高い状態でした。一方、北海道オホーツク海側及び太平洋側の沿岸の一部や、与那国島地方の沿岸ではやや低い状態でした。
その他の地方の沿岸は、ほぼ例年並でした。
2012年9月 月平均潮位偏差分布
月平均潮位偏差とは、最近5年間の月平均値からの差で、正(負)の値は最近5年間の月平均値より高い(低い)ことを示しています。偏差は、図の下方にあるスケールと同じ色で分類されています。
平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の影響により、▲で示した地点は診断での利用を休止しています。
偏差をΔHとすると、ΔHの分類は以下のとおりです。
甚だ高い | +20 ≤ | ΔH |
かなり高い | +10 ≤ | ΔH < | +20 |
やや高い | +5 ≤ | ΔH < | +10 |
例年並 | -5 ≤ | ΔH < | +5 |
やや低い | -10 ≤ | ΔH < | -5 |
かなり低い | -20 ≤ | ΔH < | -10 |
甚だ低い | | ΔH < | -20 |
解説
2012年9月の月平均潮位は、最近5年間の同月の平均と比べ、伊豆諸島の沿岸ではやや~甚だ高く、大東島地方の沿岸ではかなり高く、東海地方から四国地方にかけての沿岸、北陸地方から九州北部地方にかけての沿岸及び瀬戸内海の沿岸の一部ではやや~かなり高い状態でした。一方、北海道オホーツク海側及び太平洋側の沿岸の一部や、与那国島地方の沿岸ではやや低い状態でした。
伊豆諸島の沿岸では、黒潮が9月上旬から中旬にかけて三宅島付近を、下旬は三宅島の北を通過した影響で、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ0.5~4℃程度高い状態でした。このため、この地域では月平均潮位がやや~甚だ高くなったものと考えられます。
大東島地方の沿岸では、暖水渦が通過した影響で、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ0.5℃程度高い状態でした。このため、この地域では月平均潮位がかなり高くなったものと考えられます。
東海地方から四国地方にかけての沿岸や北陸地方から九州北部地方にかけての沿岸の一部では、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ0.5~1℃程度高い状態でした。東海地方においては、9月下旬に黒潮を起源とする暖水の一部が駿河湾中心に流れ込んでいた影響もあって、月平均表層水温が高い状態でした。このため、これらの地域では月平均潮位がやや~かなり高くなったものと考えられます。また、瀬戸内海の海水の出入り口にあたる紀伊水道付近の潮位が例年より高くなったことに伴い、瀬戸内海の沿岸の月平均潮位もやや~かなり高くなったものと考えられます。
北海道オホーツク海側及び太平洋側の沿岸の一部や、与那国島地方の沿岸では、月平均海面気圧が最近5年間の同月の平均に比べ2~4hPa程度高い状態でした。このため、これらの地域では月平均潮位がやや低くなったものと考えられます。
(参考情報:月平均海面気圧の偏差、月平均表層水温の偏差)
なお、このページにおける偏差は、潮位、水温、海面気圧ともに最近5年間(2007~2011年)のデータの平均値からの差としています。
また、月平均潮位偏差の各地点の値は潮汐概況に掲載しています。
(参考情報:潮汐概況)
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