日本沿岸の月平均潮位の変動
2013年9月20日発表
気象庁地球環境・海洋部
平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震で観測機器の破損や地盤の変動が大きかった東北地方の地点(青森県八戸~福島県小名浜)については、診断での利用を休止しています。
また、それ以外の地点においても、潮位観測値に地盤の変動の影響が含まれている可能性があります。
下関は、所管機関が国土交通省港湾局へ変更になり、名称が弟子待検潮所となりましたが、観測は同一地点で続けており、診断への利用を継続しています。
診断(2013年8月)
2013年8月の月平均潮位は、最近5年間の同月の平均と比べ、北海道、東北北部、三宅島、東海地方、北陸地方から山陰にかけて及び種子島の沿岸でやや~かなり高い状態でした。一方、近畿地方から九州地方にかけての太平洋側と瀬戸内海の沿岸ではやや~かなり低く、特に四国地方太平洋側の一部沿岸で甚だ低い状態でした。また、父島と南西諸島の一部の沿岸でやや~かなり低い状態でした。
その他の地方の沿岸は、ほぼ例年並でした。
2013年8月 月平均潮位偏差分布
月平均潮位偏差とは、最近5年間の月平均値からの差で、正(負)の値は最近5年間の月平均値より高い(低い)ことを示しています。偏差は、図の下方にあるスケールと同じ色で分類されています。
平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の影響により、▲で示した地点は診断での利用を休止しています。
偏差をΔHとすると、ΔHの分類は以下のとおりです。
甚だ高い | +20 ≤ | ΔH |
かなり高い | +10 ≤ | ΔH < | +20 |
やや高い | +5 ≤ | ΔH < | +10 |
例年並 | -5 ≤ | ΔH < | +5 |
やや低い | -10 ≤ | ΔH < | -5 |
かなり低い | -20 ≤ | ΔH < | -10 |
甚だ低い | | ΔH < | -20 |
解説
2013年8月の月平均潮位は、最近5年間の同月の平均と比べ、北海道、東北北部、三宅島、東海地方、北陸地方から山陰にかけて及び種子島の沿岸でやや~かなり高い状態でした。一方、近畿地方から九州地方にかけての太平洋側と瀬戸内海の沿岸ではやや~かなり低く、特に四国地方太平洋側の一部沿岸で甚だ低い状態でした。また、父島と南西諸島の一部の沿岸でやや~かなり低い状態でした。
北海道、東北北部の沿岸では、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ1~4℃程度高い状態でした。また、北海道、東北北部では月平均海面気圧が最近5年間の同月の平均に比べ5hPa程度低い状態でした。このため、これらの地域では月平均潮位がやや~かなり高くなったものと考えられます。
黒潮が三宅島付近を流れたため、三宅島の沿岸では月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ2℃程度高い状態でした。このため、この地域では月平均潮位がかなり高くなったものと考えられます。
東海地方の沿岸では、黒潮の一部が流れ込んだ影響で、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ1℃程度高い状態でした。このため、この地域では月平均潮位がやや高くなったものと考えられます。
北陸地方から山陰にかけては、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ1~2℃程度高い状態でした。それに加え、日本海では西から南西の風が持続的に吹いたため、これらの地域では月平均潮位がやや~かなり高くなったものと考えられます。
種子島沿岸では、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ1℃程度高い状態でした。このため、この地域では月平均潮位がやや高くなったものと考えられます。
近畿地方から九州地方にかけての太平洋側では、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ1~1.5℃程度低い状態でした。このため、これらの地域では月平均潮位がやや~甚だ低くなったものと考えられます。また、瀬戸内海の海水の出入り口にあたる豊後水道および紀伊水道の潮位が例年より低くなったことに伴い、瀬戸内海の月平均潮位もやや~かなり低くなったものと考えられます。
父島、南西諸島の一部の沿岸では、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ1~2℃程度低い状態でした。このため、これらの地域では月平均潮位がやや~かなり低くなったものと考えられます。
(参考情報:月平均表層水温の偏差、月平均海面気圧の偏差、関東・東海・北陸周辺海域の深さ50mの海流分布図(8月19日)、
日本近海の海流(月概況)
)
なお、このページにおける偏差は、潮位、水温、海面気圧ともに最近5年間(2008~2012年)のデータの平均値からの差としています。
また、月平均潮位偏差の各地点の値は潮汐概況に掲載しています。
(参考情報:潮汐概況)
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