日本沿岸の月平均潮位の変動

2014年7月22日発表
気象庁地球環境・海洋部

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震で観測機器の破損や地盤の変動が大きかった東北地方の地点(青森県八戸~福島県小名浜)については、診断での利用を終了または休止しています。
また、それ以外の地点においても、潮位観測値に地盤の変動の影響が含まれている可能性があります。

下関は、所管機関が国土交通省港湾局へ変更になり、名称が弟子待検潮所となりましたが、観測は同一地点で続けており、診断への利用を継続しています。

診断(2014年6月)

2014年6月の月平均潮位は、最近5年間の同月の平均と比べ、南大東島の沿岸ではかなり高く、四国太平洋側から九州南部の一部沿岸でやや高い状態でした。一方、三宅島と石垣島の沿岸ではやや低い状態でした。
その他の地方の沿岸は、ほぼ例年並でした。
月平均潮位偏差分布

2014年6月 月平均潮位偏差分布


月平均潮位偏差とは、最近5年間の月平均値からの差で、正(負)の値は最近5年間の月平均値より高い(低い)ことを示しています。偏差は、図の下方にあるスケールと同じ色で分類されています。

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の影響により、▲で示した地点は診断での利用を終了または休止しています。

偏差をΔHとすると、ΔHの分類は以下のとおりです。


甚だ高い +20 ≤ ΔH  
かなり高い +10 ≤ ΔH < +20
やや高い +5 ≤ ΔH < +10
例年並 -5 ≤ ΔH < +5
やや低い -10 ≤ ΔH < -5
かなり低い -20 ≤ ΔH < -10
甚だ低い ΔH < -20

解説

2014年6月の月平均潮位は、最近5年間の同月の平均と比べ、南大東島の沿岸ではかなり高く、四国太平洋側から九州南部の一部沿岸でやや高い状態でした。一方、三宅島と石垣島の沿岸ではやや低い状態でした。

南大東島の沿岸では、平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ0.5~1℃程度高くなったため、月平均潮位がかなり高くなったものと考えられます。
四国太平洋側から九州南部の一部沿岸では、月平均海面気圧が最近5年間の同月の平均に比べ2~3hPa程度低い状態でした。このため、これらの地域では月平均潮位がやや高くなったものと考えられます。
黒潮が三宅島の南を流れたため、三宅島の沿岸では月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ0.5℃程度低い状態でした。このため、この地域では月平均潮位がやや低くなったものと考えられます。
先島諸島の南にある冷水渦の影響で、石垣島地方の沿岸では、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ0.5~1 ℃程度低い状態でした。このため、石垣島地方の沿岸では月平均潮位がやや低くなったものと考えられます。
(参考情報:月平均表層水温の偏差、、月平均海面気圧の偏差関東・東海・北陸周辺海域の深さ50mの海流分布図(6月19日)

なお、このページにおける偏差は、潮位、水温、海面気圧ともに最近5年間(2009~2013年)のデータの平均値からの差としています。 また、月平均潮位偏差の各地点の値は潮汐概況に掲載しています。

(参考情報:潮汐概況

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