日本沿岸の月平均潮位の変動

2014年11月20日発表
気象庁地球環境・海洋部

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震で観測機器の破損や地盤の変動が大きかった東北地方の地点(青森県八戸~福島県小名浜)については、診断での利用を終了または休止しています。
また、それ以外の地点においても、潮位観測値に地盤の変動の影響が含まれている可能性があります。

下関は、所管機関が国土交通省港湾局へ変更になり、名称が弟子待検潮所となりましたが、観測は同一地点で続けており、診断への利用を継続しています。

診断(2014年10月)

2014年10月の月平均潮位は、最近5年間の同月の平均と比べ、四国太平洋側東部、石垣島の沿岸でやや高い状態でした。台風の影響により、九州南部から奄美諸島の沿岸でやや高くなりました。一方、三宅島、父島、南大東島の沿岸でかなり低く、北海道日本海側から山陰の沿岸でやや~かなり低く、関東南部、東海の一部沿岸でやや低い状態でした。
その他の地方の沿岸は、ほぼ例年並でした。
月平均潮位偏差分布

2014年10月 月平均潮位偏差分布


月平均潮位偏差とは、最近5年間の月平均値からの差で、正(負)の値は最近5年間の月平均値より高い(低い)ことを示しています。偏差は、図の下方にあるスケールと同じ色で分類されています。

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の影響により、▲で示した地点は診断での利用を終了または休止しています。

偏差をΔHとすると、ΔHの分類は以下のとおりです。


甚だ高い +20 ≤ ΔH  
かなり高い +10 ≤ ΔH < +20
やや高い +5 ≤ ΔH < +10
例年並 -5 ≤ ΔH < +5
やや低い -10 ≤ ΔH < -5
かなり低い -20 ≤ ΔH < -10
甚だ低い ΔH < -20

解説

2014年10月の月平均潮位は、最近5年間の同月の平均と比べ、四国太平洋側東部、石垣島の沿岸でやや高い状態でした。台風の影響により、九州南部から奄美諸島の沿岸でやや高くなりました。 一方、三宅島、父島、南大東島の沿岸でかなり低く、北海道日本海側から山陰の沿岸でやや~かなり低く、関東南部、東海の一部沿岸でやや低い状態でした。

四国太平洋側東部の沿岸では、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ0.5~1℃程度高い状態でした。このため、これらの地域では月平均潮位がやや高くなったものと考えられます。
石垣島の周辺に暖水域があり、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ0.5~1℃程度高い状態でした。このため、これらの地域では月平均潮位がやや高くなったものと考えられます。
九州南部、奄美諸島の沿岸では、一部沿岸で月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ0.5~1℃程度高くなったことに加え、強い勢力を維持したまま、2~3日かけてこれらの沿岸を進んだ台風第18号及び台風第19号(吸い上げ効果、吹き寄せ効果、波浪効果)の影響により潮位が上昇したため、月平均潮位がやや高くなったものと考えられます。
三宅島が黒潮の北側の水位が低いところに位置したため、この地域では月平均潮位がかなり低くなったものと考えられます。
父島、南大東島の周辺に冷水域があり、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ1~2℃程度低い状態でした。このため、これらの地域では月平均潮位がかなり低くなったものと考えられます。
北海道日本海側から山陰の沿岸では、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ0.5~1℃程度低い状態でした。また、月平均海面気圧が最近5年間の同月の平均に比べ1~2hPa程度高い状態でした。このため、これらの地域では月平均潮位がやや~かなり低くなったものと考えられます。
関東南部から東海地方の周辺に冷水域があり、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ0.5~1℃程度低い状態でした。また、月平均海面気圧が最近5年間の同月の平均に比べ1~2hPa程度高い状態でした。このため、これらの地域の一部では月平均潮位がやや低くなったものと考えられます。
(参考情報:月平均表層水温の偏差関東・東海・北陸周辺海域の深さ50mの海流分布図(10月19日)月平均海面気圧の偏差波浪効果による潮位上昇(Wave Setup)

なお、このページにおける偏差は、潮位、水温、海面気圧ともに最近5年間(2009~2013年)のデータの平均値からの差としています。 また、月平均潮位偏差の各地点の値は潮汐概況に掲載しています。

(参考情報:潮汐概況

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