日本沿岸の月平均潮位の変動

2015年8月20日発表
気象庁地球環境・海洋部

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震で観測機器の破損や地盤の変動が大きかった東北地方の地点(青森県八戸~福島県小名浜)については、診断での利用を終了または休止しています。
また、それ以外の地点においても、潮位観測値に地盤の変動の影響が含まれている可能性があります。

下関は、所管機関が国土交通省港湾局へ変更になり、名称が弟子待検潮所となりましたが、観測は同一地点で続けており、診断への利用を継続しています。

診断(2015年7月)

2015年7月の月平均潮位は、最近5年間の同月の平均と比べ、父島、奄美大島、沖縄本島及び石垣島でかなり高く、四国地方太平洋側の一部沿岸及び与那国島でやや高い状態でした。 また、南大東島でかなり低く、東北地方から山陰にかけての日本海沿岸及び伊豆大島でやや低い状態でした。
その他の地方の沿岸は、ほぼ例年並でした。
月平均潮位偏差分布

2015年7月 月平均潮位偏差分布


月平均潮位偏差とは、最近5年間の月平均値からの差で、正(負)の値は最近5年間の月平均値より高い(低い)ことを示しています。偏差は、図の下方にあるスケールと同じ色で分類されています。

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の影響により、▲で示した地点は診断での利用を終了または休止しています。

偏差をΔHとすると、ΔHの分類は以下のとおりです。


甚だ高い +20 ≤ ΔH  
かなり高い +10 ≤ ΔH < +20
やや高い +5 ≤ ΔH < +10
例年並 -5 ≤ ΔH < +5
やや低い -10 ≤ ΔH < -5
かなり低い -20 ≤ ΔH < -10
甚だ低い ΔH < -20

解説

2015年7月の月平均潮位は、最近5年間の同月の平均と比べ、父島、奄美大島、沖縄本島及び石垣島でかなり高く、四国地方太平洋側の一部沿岸及び与那国島でやや高い状態でした。 また、南大東島でかなり低く、東北地方から山陰にかけての日本海沿岸及び伊豆大島でやや低い状態でした。

父島、奄美大島、沖縄本島、石垣島及び与那国島では、それぞれ周辺に暖水域があったため、月平均潮位がやや~かなり高くなったものと考えられます。
四国地方太平洋側の一部沿岸では、7月後半に海流の影響で潮位が高くなり、月平均潮位もやや高くなったものと考えられます。
南大東島では、周辺に冷水域があったため、月平均潮位がかなり低くなったものと考えられます。
東北地方から山陰にかけての日本海沿岸及び伊豆大島では、それぞれ周辺に冷水域がありました。また、一部の検潮所では、地盤が最近5年間の同月の平均に比べ2~4cm程度高い状態でした。このため月平均潮位がやや低くなったものと考えられます。
(参考情報:月平均表層水温の偏差近畿・中国・四国周辺海域の深さ50mの海流分布図(7月30日)地盤上下変動量

なお、このページにおける偏差は、潮位、水温、海面気圧、地盤上下変動量(検潮所周辺の国土地理院のGPS観測データをもとに気象庁で計算した推定値)と最近5年間(2010~2014年)のデータの平均値との差としています。 また、月平均潮位偏差の各地点の値は潮汐概況に掲載しています。

(参考情報:潮汐概況

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