日本沿岸の月平均潮位の変動

2017年3月21日発表
気象庁地球環境・海洋部

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震で観測機器の破損や地盤の変動が大きかった東北地方の地点(青森県八戸~福島県小名浜)については、診断での利用を終了または休止しています。
また、それ以外の地点においても、潮位観測値に地盤の変動の影響が含まれている可能性があります。

下関は、所管機関が国土交通省港湾局へ変更になり、名称が弟子待検潮所となりましたが、観測は同一地点で続けており、診断への利用を継続しています。

診断(2017年2月)

2017年2月の月平均潮位は、最近5年間の同月の平均に比べ、北日本、北陸地方から九州北部地方にかけての日本海側、関東地方、東海地方の一部、瀬戸内海の一部、種子島から八重山諸島にかけての沿岸で、かなり~やや高い状態でした。一方、三宅島ではかなり低い状態でした。
その他の地方の沿岸は、ほぼ例年並でした。
月平均潮位偏差分布

2017年2月 月平均潮位偏差分布


月平均潮位偏差とは、最近5年間の月平均値からの差で、正(負)の値は最近5年間の月平均値より高い(低い)ことを示しています。偏差は、図の下方にあるスケールと同じ色で分類されています。

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の影響により、▲で示した地点は診断での利用を終了または休止しています。

偏差をΔHとすると、ΔHの分類は以下のとおりです。


甚だ高い +20 ≤ ΔH  
かなり高い +10 ≤ ΔH < +20
やや高い +5 ≤ ΔH < +10
例年並 -5 ≤ ΔH < +5
やや低い -10 ≤ ΔH < -5
かなり低い -20 ≤ ΔH < -10
甚だ低い ΔH < -20

解説

2017年2月の月平均海面気圧は、最近5年間の同月の平均に比べ、北日本及び東日本、山陰では、一部で-4hPa程度となるなど低い状態でしたが、その他の地域では±2hPa以内でした。

東北地方から九州北部地方にかけての日本海側では、たびたび低気圧が接近・通過しました。また、この地方の沿岸では、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ高い状態でした。
種子島から八重山諸島にかけての沿岸では、奄美群島の南東や八重山諸島の南東にそれぞれ暖水渦が見られたことに加え、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均と比べ高い状態でした。
三宅島は黒潮の北側の海面水位が低いところに位置し、また地盤が隆起している状態でした。

これらのことから、月平均潮位が北日本、北陸地方から九州北部地方にかけての日本海側、関東地方、東海地方の一部、瀬戸内海の一部、種子島から八重山諸島にかけての沿岸でかなり~やや高い状態になった一方、三宅島でかなり低い状態になったものと考えられます。

(参考情報:月平均海面気圧の偏差月平均表層水温の偏差海面水温・海流(沖縄周辺海域)(2月下旬)関東・東海・北陸周辺海域の深さ50mの海流分布図(2月19日)地盤上下変動量

なお、このページにおける偏差は、潮位、水温、海面気圧、地盤上下変動量(検潮所周辺の国土地理院のGPS観測データをもとに気象庁で計算した推定値)と最近5年間(2012~2016年)のデータの平均値との差としています。 また、月平均潮位偏差の各地点の値は潮汐概況に掲載しています。

(参考情報:潮汐概況

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