日本沿岸の月平均潮位の変動

2017年8月21日発表
気象庁地球環境・海洋部

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震で観測機器の破損や地盤の変動が大きかった東北地方の地点(青森県八戸~福島県小名浜)については、診断での利用を終了または休止しています。
また、それ以外の地点においても、潮位観測値に地盤の変動の影響が含まれている可能性があります。

下関は、所管機関が国土交通省港湾局へ変更になり、名称が弟子待検潮所となりましたが、観測は同一地点で続けており、診断への利用を継続しています。

診断(2017年7月)

2017年7月の月平均潮位は、父島で甚だ高く、西日本の沿岸でかなり~やや高い状態でした。また、北海道地方、北陸地方、東海地方の一部沿岸、伊豆大島及び南大東島でやや高い状態でした。一方、沖縄本島地方、八重山地方でかなり~やや低く、三宅島、奄美地方でやや低い状態でした。
その他の地方の沿岸は、ほぼ例年並でした。
月平均潮位偏差分布

2017年7月 月平均潮位偏差分布


月平均潮位偏差とは、最近5年間の月平均値からの差で、正(負)の値は最近5年間の月平均値より高い(低い)ことを示しています。偏差は、図の下方にあるスケールと同じ色で分類されています。

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の影響により、▲で示した地点は診断での利用を終了または休止しています。

偏差をΔHとすると、ΔHの分類は以下のとおりです。


甚だ高い +20 ≤ ΔH  
かなり高い +10 ≤ ΔH < +20
やや高い +5 ≤ ΔH < +10
例年並 -5 ≤ ΔH < +5
やや低い -10 ≤ ΔH < -5
かなり低い -20 ≤ ΔH < -10
甚だ低い ΔH < -20

解説

2017年7月の月平均海面気圧は、最近5年間の同月の平均に比べ全般に±2hPa以内でした。

父島や南大東島は、付近に暖水渦が見られ、海面水位が高いところに位置している状態でした。
黒潮は、九州東方から室戸岬にかけて小蛇行し、潮岬では接岸して流れており、紀伊水道、西日本太平洋側の沿岸には、黒潮から暖水が波及している状態でした。
一方、奄美地方、沖縄本島地方は付近に冷水域、八重山地方では付近に冷水渦が見られ、海面水位が低いところに位置している状態でした。

これらのことから、月平均潮位が父島で甚だ高く、西日本の沿岸でかなり~やや高く、北海道地方、北陸地方、東海地方の一部沿岸、伊豆大島及び南大東島でやや高い状態になった一方、沖縄本島地方、八重山地方でかなり~やや低く、三宅島、奄美地方でやや低い状態になったものと考えられます。

(参考情報:月平均海面気圧の偏差月平均表層水温の偏差海面水温・海流(沖縄周辺海域)(7月上旬)近畿・中国・四国周辺海域の深さ50mの海流分布図(7月9日)地盤上下変動量

なお、このページにおける偏差は、潮位、水温、海面気圧、地盤上下変動量(検潮所周辺の国土地理院のGPS観測データをもとに気象庁で計算した推定値)と最近5年間(2012~2016年)のデータの平均値との差としています。 また、月平均潮位偏差の各地点の値は潮汐概況に掲載しています。

(参考情報:潮汐概況

このページのトップへ