日本沿岸の月平均潮位の変動

診断（２０２０年１０月）

2020年10月の月平均潮位は、最近5年間の同月の平均に比べ、東海地方から西日本太平洋側にかけての沿岸、九州地方、沖縄・奄美、父島、三宅島の沿岸ではかなり～やや高く、北日本日本海側から北陸地方の沿岸ではやや高い状態でした。
その他の地方の沿岸は、ほぼ例年並でした。

2020年10月 月平均潮位偏差分布

月平均潮位偏差とは、最近5年間の月平均値からの差で、正(負)の値は最近5年間の月平均値より高い(低い)ことを示しています。偏差は、図の下方にあるスケールと同じ色で分類されています。

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の影響により、▲で示した地点は診断での利用を終了または休止しています。

所管機関が気象庁から、下関は国土交通省港湾局へ、銚子漁港は千葉県へ変更になりましたが、診断への利用を継続しています。

偏差をΔHとすると、ΔHの分類は以下のとおりです。

甚だ高い	+20 ≤	ΔH
かなり高い	+10 ≤	ΔH <	+20
やや高い	+5 ≤	ΔH <	+10
例年並	-5 ≤	ΔH <	+5
やや低い	-10 ≤	ΔH <	-5
かなり低い	-20 ≤	ΔH <	-10
甚だ低い		ΔH <	-20

解説

東海地方から西日本太平洋側にかけての沿岸では上旬から中旬にかけて、台風第14号の接近や日本海側の高気圧と太平洋側の低気圧の間で、東よりの風が続きました。 また、東海地方から紀伊半島にかけての沿岸や瀬戸内海、四国沿岸では中旬から下旬に黒潮による暖水の影響がありました。 これらの影響により異常潮位が発生しました。
奄美地方、八重山地方、大東島地方の沿岸では、月平均表層水温が最近5年間の同月と比べ高い状態でした。また、大東島地方では上旬に台風第14号の接近による影響がありました。
父島では近海に暖水渦があり、海面水位が高い所に位置していました。
三宅島では月を通して付近を黒潮が流れており、海面水位が高いところに位置していました。
これらのことから、月平均潮位が東海地方から西日本太平洋側にかけての沿岸、九州地方、沖縄・奄美、父島、三宅島の沿岸ではかなり～やや高く、北日本日本海側から北陸地方の沿岸ではやや高い状態になったものと考えられます。

（参考情報：月平均海面気圧の偏差、 月平均表層水温の偏差、 関東・東海・北陸周辺海域の深さ100mの水温分布図、深さ50mの海流分布図（10月19日）、 近畿・中国・四国周辺海域の深さ100mの水温分布図、深さ50mの海流分布図（10月19日）、 九州・山口県周辺海域の深さ100mの水温分布図（10月19日）、 沖縄周辺海域の深さ100mの水温分布図、深さ50mの海流分布図（10月19日））

なお、このページにおける偏差は、潮位、水温、海面気圧、地盤上下変動量（検潮所周辺の国土地理院のGPS観測データをもとに気象庁で計算した推定値）と最近5年間（2015～2019年）のデータの平均値との差としています。 また、月平均潮位偏差の各地点の値は潮汐概況に掲載しています。
ただし、銚子漁港は10月のデータが欠測となっています。

（参考情報：潮汐概況）