日本沿岸の月平均潮位の変動

診断（２０２１年９月）

2021年9月の月平均潮位は、最近5年間の同月の平均に比べ、三宅島と東海地方の沿岸ではかなり高く、紀伊半島から四国にかけての太平洋沿岸、瀬戸内海の一部の沿岸、近畿北部ではやや高い状態でした。
一方、大東島地方では、甚だ低い状態でした。
その他の地方の沿岸は、ほぼ例年並でした。

2021年9月 月平均潮位偏差分布

月平均潮位偏差とは、最近5年間の月平均値からの差で、正(負)の値は最近5年間の月平均値より高い(低い)ことを示しています。偏差は、図の下方にあるスケールと同じ色で分類されています。

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の影響により、▲で示した地点は診断での利用を終了または休止しています。

所管機関が気象庁から、下関は国土交通省港湾局へ、銚子漁港は千葉県へ変更になりましたが、診断への利用を継続しています。

偏差をΔHとすると、ΔHの分類は以下のとおりです。

甚だ高い	+20 ≤	ΔH
かなり高い	+10 ≤	ΔH <	+20
やや高い	+5 ≤	ΔH <	+10
例年並	-5 ≤	ΔH <	+5
やや低い	-10 ≤	ΔH <	-5
かなり低い	-20 ≤	ΔH <	-10
甚だ低い		ΔH <	-20

解説

三宅島は付近を黒潮が流れていたため、月平均潮位がかなり高くなりました。
東海地方の沿岸、紀伊半島から四国にかけての太平洋側沿岸では、中旬に台風第14号や台風第14号から変わった低気圧の影響を受け、下旬に日本の東にあった高気圧によって東よりの風が続く影響を受けました。太平洋側では、東よりの風が続くと沿岸の潮位が上昇することが知られています。
加えて、東海地方の沿岸では、黒潮または黒潮から分かれた暖水の影響があり、月平均潮位がかなり高くなりました。また、紀伊半島から四国にかけての太平洋側沿岸、近畿北部では、月平均表層水温が過去5年間の同月と比べ高かったため月平均潮位がやや高くなりました。
大東島地方では、周辺の冷水渦の影響で月平均潮位が甚だ低くなりました。
（参考情報：月平均海面気圧の偏差、月平均表層水温の偏差、関東・東海・北陸周辺海域の深さ100mの水温分布図、深さ50mの海流分布図（9月16日）、異常潮位）

なお、このページにおける偏差は、潮位、水温、海面気圧、地盤上下変動量（検潮所周辺の国土地理院のGPS観測データをもとに気象庁で計算した推定値）と最近5年間（2016～2020年）のデータの平均値との差としています。 また、月平均潮位偏差の各地点の値は潮汐概況に掲載しています。
（参考情報：潮汐概況）