日本沿岸の潮位の年概況(2014年)

平成27年3月20日発表
気象庁地球環境・海洋部

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震で観測機器の破損や地盤の変動が大きかった東北地方の地点(青森県八戸~福島県小名浜)については、診断での利用を終了または休止しています。
また、それ以外の地点においても、潮位観測値に地盤の変動の影響が含まれている可能性があります。

下関は、所管機関が国土交通省港湾局へ変更になり、名称が弟子待検潮所となりましたが、観測は同一地点で続けており、診断への利用を継続しています。

月平均潮位

2014年の月平均潮位と最近5年間(2009~2013年)の同月の平均値との差(ΔH)を図に示します。各月の特徴は以下のとおりです。なお、ΔHの区分は次のとおりです。

甚だ高い +20 ≤ ΔH
かなり高い +10 ≤ ΔH < +20
やや高い +5 ≤ ΔH < +10
例年並 -5 ≤ ΔH < +5
やや低い -10 ≤ ΔH < -5
かなり低い -20 ≤ ΔH < -10
甚だ低い ΔH < -20

1月

大東島地方の沿岸ではかなり高い状態でした。一方、三宅島の沿岸では甚だ低く、関東地方から伊豆諸島北部にかけての一部沿岸と津軽海峡の沿岸ではやや低い状態でした。

2月

大東島地方の沿岸と九州地方の一部沿岸ではやや高い状態でした。一方、三宅島の沿岸では甚だ低く、北海道地方から東北地方にかけての日本海側の沿岸、津軽海峡の沿岸及び石垣島地方の沿岸ではやや低い状態でした。

3月

北海道のオホーツク海沿岸から太平洋沿岸の東部でかなり~やや高く、北陸地方から山陰及び九州地方の西部から南部の沿岸でやや高い状態でした。一方、大東島と石垣島の沿岸ではかなり低く、三宅島と与那国島の沿岸ではやや低い状態でした。

4月

北海道のオホーツク海沿岸から太平洋沿岸の東部、近畿地方、瀬戸内海、四国太平洋側の一部沿岸、九州地方の西部の沿岸でやや高い状態でした。一方、三宅島、大東島、石垣島の沿岸ではかなり低く、奄美地方の沿岸ではやや低い状態でした。

5月

北海道オホーツク海側から太平洋側東部の沿岸でやや高い状態でした。一方、沖縄・奄美地方の沿岸ではやや~かなり低く、三宅島、父島の沿岸ではやや低い状態でした。

6月

南大東島の沿岸ではかなり高く、四国太平洋側から九州南部の一部沿岸でやや高い状態でした。一方、三宅島と石垣島の沿岸ではやや低い状態でした。

7月

石垣島の沿岸ではやや高く、津軽海峡から東北日本海側にかけての沿岸、東海地方の一部沿岸、山陰、九州地方西部の一部沿岸および南大東島でやや低い状態でした。

8月

近畿中部・南部、瀬戸内海、および四国太平洋側の一部沿岸でやや高く、東海地方、北陸西部および近畿北部の一部沿岸ならびに南大東島・石垣島・与那国島の沿岸でやや低い状態でした。

9月

父島の沿岸でかなり低く、沖縄本島の沿岸でやや低い状態でした。

10月

四国太平洋側東部、石垣島の沿岸でやや高い状態でした。台風の影響により、九州南部から奄美諸島の沿岸でやや高くなりました。一方、三宅島、父島、南大東島の沿岸でかなり低く、北海道日本海側から山陰の沿岸でやや~かなり低く、関東南部、東海の一部沿岸でやや低い状態でした。

11月

八重山地方の沿岸でやや高く、三宅島及び南大東島の沿岸で甚だ低い状態でした。 また、津軽海峡から北陸地方にかけての沿岸、関東地方から東海地方の沿岸及び伊豆諸島北部の沿岸でやや~かなり低い状態でした。

12月

三宅島の沿岸でかなり高く、父島の沿岸でやや高い状態でした。 また、東海地方の一部沿岸でやや~かなり低い状態でした。

月平均潮位偏差分布

2014年の月平均潮位と最近5年間(2009~2013年)の各月の平均値との差(ΔH)


は例年より高いことを、は例年より低いことを示します。

白黒の図はこちら


2011年3月11日に発生した平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震に伴う津波によって潮位観測施設が被害を受け、従前の観測点と場所が異なる臨時観測点で観測を行っている宮古はグラフを掲載していません。

高潮

2014年に最大潮位偏差50cm以上の高潮は15回発生しました。大きな潮位偏差を記録した地点及び最大潮位偏差と主な要因は次のとおりです。なお、同一現象により発生した最大潮位偏差50cm以上の高潮が5地点を超えた場合は、潮位偏差の大きい上位5地点及び最大潮位偏差50cm以上の高潮を記録した全地点数を記載します。

1月1日~2日

能登50cm(低気圧と冬型気圧配置)

2月8日~9日

銚子漁港61cm(低気圧)

3月13日~14日

東京57cm、布良55cm、舞阪54cm、赤羽根54cm(低気圧)

3月30日

東京56cm、大阪55cm、神戸52cm(低気圧)

4月4日~5日

大阪54cm、能登50cm(低気圧と冬型気圧配置)

5月16日~17日

網走55cm(低気圧)

7月8日~10日

苓北86cm、御坊55cm、石垣51cm(台風第8号)

8月1日

奄美68cm(台風第12号)

8月7日~10日

御坊135cm、大阪123cm、神戸120cm、高知116cm、室戸岬104cm等、計22地点(台風第11号)

10月4日~6日

南大東150cm、御坊149cm、赤羽根139cm、種子島130cm、串本129cm等、計26地点(台風第18号)

10月11日~14日

土佐清水107cm、御坊105cm、奄美98cm、枕崎78cm、油津75cm等、計34地点(台風第19号)

11月3日

稚内58cm、能登54cm、小樽50cm(低気圧)

11月13日

能登65cm(低気圧)

12月1日~3日

能登101cm、稚内51cm(低気圧)

12月17日~19日

能登124cm、花咲117cm、網走86cm、釧路73cm、深浦52cm(低気圧と冬型気圧配置)

※平成28年6月30日 高潮の再評価に基づき、期間及び記録の一部を更新しました。

津波

2014年に観測された津波は次のとおりです。なお、津波の高さとして、津波情報で使用されている「最大の高さの波」(津波がなかったとした場合の海面からの高さが最大となる波)を掲載します。括弧内には最大波高(全振幅)を併記します。

4月2日

チリ北部沿岸の地震に伴い、大洗(臨時)で22cm(38cm)、宮古(臨時)で21cm(42cm)など、北海道地方から九州地方の太平洋沿岸、南西諸島の沿岸で津波を観測しました。

7月12日

福島県沖の地震に伴い、鮎川で17cm(41cm)、大船渡で9cm(15cm)の津波を観測しました。

異常潮位

2014年に記録された顕著な異常潮位は、次のとおりです。

7月中旬~下旬

宮古島地方と石垣島地方の沿岸で、海水温が周囲に比べて高く、海面の盛り上がりを伴う「暖水域」が接近したことが原因とみられる異常潮位が観測されました。最大で+20~25cmの潮位偏差を観測しました。

副振動

2014年に観測された最大全振幅が100cm以上の顕著な副振動は、次のとおりです。

1月15日

枕崎102cm

3月20日

長崎106cm

7月13日

長崎105cm

9月21日

長崎103cm

10月6日

御坊138cm、石廊崎114cm

12月15日

土佐清水102cm

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