外洋波浪図及び沿岸波浪図の解説

気象庁では、漁船や商船などの船舶、海上で気象や海水象を観測するブイ、沿岸に設置された波浪計、地球観測衛星などによる観測資料を用いて協定世界時の00時(日本時間午前9時)及び12時(日本時間午後9時)の1日2回、北西太平洋と日本沿岸域の波浪の実況解析を行い、北西太平洋については外洋波浪実況図(AWPN)として、日本沿岸域については沿岸波浪実況図(AWJP)として気象無線模写通報(JMH)等により速報的に発表しています。これらの実況図に後日入手した観測資料を加えてさらに解析して確定した図が、外洋波浪図及び沿岸波浪図で、実況図発表から約6か月後に気象庁ホームページに公開しています。

外洋波浪図について

外洋波浪図

外洋波浪図では、波の高さ(有義波高)の分布を等高線で表示しています。また、波の向き、高気圧・低気圧の中心位置と中心気圧、前線の位置、船舶・ブイによる観測値及び、冬期には海氷域が示されています。解析には図の領域内を航行する船舶から通報された全ての観測値を利用していますが、視認性を考慮し、図にはそのうちの30個前後の船舶の観測値を表示しています。また、観測データの精度や空間代表性、前日からの波浪の推移(伝播、発達、減衰)等を総合的に判断して波高を推定しているため、個々の観測値(合成波高)と等高線の値が一致しない場合があります。台風が発生している場合には、波浪図の左上に台風情報(台風名、台風番号、中心気圧、中心位置)が表示されます。

沿岸波浪図について

沿岸波浪図

沿岸波浪図では、外洋波浪図では表現できない日本沿岸のより詳しい波浪の状況を解析したもので、半島や島による影響(遮へい)を考慮しています。沿岸波浪図では、波の高さ(有義波高)の分布を1メートル毎に実線で、0.5, 1.5, 2.5, 3.5メートルの等高線を破線で表示しています。また、海上の緯度・経度2度(約200km)間隔で、波の向きを表す矢印、周期(秒)を表す数字、そして海上の風向・風速(ノット※)を表す記号(矢羽)も表示しています。波浪図の左上の2つの表には、それぞれアルファベットA~Zで示す全国26ヶ所の沿岸代表点における波浪の推定値(波の向き・周期・高さ)と海上風の推定値(風向・風速)、及び気象庁が全国6ヶ所に設置している沿岸波浪計の観測値もあわせて掲載しています。なお、沿岸波浪図中に記載された波の向き・周期、及び風向・風速は、いずれも実際に観測された値ではなく、数値予報モデルで計算した推定値です。

※ノット
1ノットはおよそ0.5メートル毎秒で、風や船舶が1時間に1海里、すなわち緯度で1分を進む速さです。