北西太平洋の底層の水温変化:補足資料

北西太平洋の底層の水温変化」の診断では、下図に示す8海域について診断を行っています。また、気象庁の海洋気象観測船以外の観測船の海洋観測データも使用して解析を行っており、海域毎の使用したデータの年とその観測を行った観測船を下表に示します。

北西太平洋の底層の水温変化の診断を行う海域について

1980·1990年代に海面から海底までの高精度な海洋観測が行われました。気象庁では、この時に行われた観測線において、2010年から海面から海底までの高精度な再観測を行っています。 「北西太平洋の底層の水温変化」の診断では、過去に行われた高精度海洋観測と比較が可能な東経137度に沿った観測線(海域A、B及びC)、千島列島の南東沖の観測線(海域D)、東経165度に沿った観測線(海域E及びF)、東経149度20分に沿った観測線(海域G)及び北緯9度線に沿った観測線(海域H)の底層の水温について診断を行っています。なお、東経137度に沿った観測線の海域A、B及びCについては、海底地形(東経137度における海底地形の特徴)を考慮して分けています。

北西太平洋における底層の水温変化の比較を行った観測線

北西太平洋における底層の水温変化の比較を行った観測線

薄い水色の矢印線は底層水の経路を、薄い灰色の部分は水深が4000mより浅い海域を灰色で示している。各海域の範囲については次のとおりです。

海域A:北緯24度·東経137度~北緯34度·東経137度
海域B:北緯20度·東経137度~北緯24度·東経137度
海域C:北緯10度·東経137度~北緯20度·東経137度
海域D:北緯39度40分·東経147度52分~北緯46度34分·東経159度13分
海域E:北緯39度·東経165度~北緯50度·東経165度
海域F:北緯3度·東経165度~北緯12度·東経164度30分
海域G:北緯8度50分·東経149度20分~北緯19度50分·東経149度20分
海域H:北緯9度·東経150度~北緯9度·東経160度

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北西太平洋の底層の水温変化の診断に使用したデータについて

北西太平洋の底層の水温変化」の診断では、気象庁の海洋気象観測船以外の観測船により観測された海洋観測データも使用して解析を行っています。各ボックスをクリックすると対応する海域毎に使用したデータの年とその観測を行った観測船を表示します。

海域A北緯24度·東経137度 ~ 北緯34度·東経137度
観測期間(年/月)観測船所属機関
19941994/7凌風丸気象庁
20102010/7凌風丸気象庁
20162016/7凌風丸気象庁
20222022/10凌風丸気象庁
海域B北緯20度·東経137度 ~ 北緯24度·東経137度
観測期間(年/月)観測船所属機関
19941994/7凌風丸気象庁
20102010/7凌風丸気象庁
20162016/7凌風丸気象庁
20222022/9 ~ 2022/10凌風丸気象庁
海域C北緯10度·東経137度 ~ 北緯20度·東経137度
観測期間(年/月)観測船所属機関
19941994/7 ~ 1994/8凌風丸気象庁
20102010/7凌風丸気象庁
20112011/6啓風丸気象庁
20122012/8啓風丸気象庁
20132013/7啓風丸気象庁
20142014/6 ~ 2014/7啓風丸気象庁
20152015/6啓風丸気象庁
20162016/7凌風丸気象庁
20172017/8啓風丸気象庁
20182018/7 ~ 2018/8啓風丸気象庁
20192019/1凌風丸気象庁
20192019/8啓風丸気象庁
20202020/1啓風丸気象庁
20202020/7啓風丸気象庁
20212021/1 ~ 2021/2凌風丸気象庁
20222022/1 ~ 2022/2啓風丸気象庁
20222022/9凌風丸気象庁
20232023/2凌風丸気象庁
20232023/9啓風丸気象庁
海域D北緯39度40分·東経147度52分 ~ 北緯46度34分·東経159度13分
観測期間(年/月)観測船所属機関
19851985/8R/V Thomas G. ThompsonUniversity of Washington
19991999/5開洋丸水産庁
20072007/7 ~ 2007/10みらい独立行政法人 海洋研究開発機構
20112011/6凌風丸気象庁
20142014/7みらい独立行政法人 海洋研究開発機構
20172017/6 ~ 2017/7凌風丸気象庁
20182018/6凌風丸気象庁
海域E北緯39度·東経165度 ~ 北緯50度·東経165度
観測期間(年/月)観測船所属機関
19921992/8 ~ 1992/9R/V John VickersUniversity of Southern California
20112011/6 ~ 2011/7凌風丸気象庁
20172017/7凌風丸気象庁
20182018/6 ~ 2018/7凌風丸気象庁
海域F北緯3度·東経165度 ~ 北緯12度·東経164度30分
観測期間(年/月)観測船所属機関
20112011/7 ~ 2011/8凌風丸気象庁
20122012/7啓風丸気象庁
20132013/7 ~ 2013/8啓風丸気象庁
20142014/7 ~ 2014/8啓風丸気象庁
20152015/7 ~ 2015/8啓風丸気象庁
20162016/8啓風丸気象庁
20172017/9凌風丸気象庁
20182018/8 ~ 2018/9凌風丸気象庁
20192019/8凌風丸気象庁
20212021/2啓風丸気象庁
海域G北緯8度50分·東経149度20分 ~ 北緯19度50分·東経149度20分
観測期間(年/月)観測船所属機関
19931993/10R/V Thomas G. ThompsonUniversity of Washington
20052005/6みらい独立行政法人 海洋研究開発機構
20112011/12 ~ 2012/1みらい独立行政法人 海洋研究開発機構
20142014/8凌風丸気象庁
海域H北緯9度·東経150度 ~ 北緯9度·東経160度
観測期間(年/月)観測船所属機関
19891989/2R/V Moana WaveWoods Hole Oceanographic Institution
20152015/8凌風丸気象庁

気象庁以外のデータはCCHDO(http://cchdo.ucsd.edu/)から取得し「北西太平洋の底層の水温変化」の診断の解析に使用しています。

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東経137度線における海底地形の特徴

下図に北西太平洋における水深4000mの海底地形を示します。東経137度線がある西マリアナ海盆の底層水は、マリアナ海嶺とヤップ海嶺の間にある狭い谷のような地形(左下図中の矢印)を通って流入していると考えられています。西マリアナ海盆に入った後の底層水の流れる経路については、まだ良く分かっていません。「北西太平洋の底層の水温変化」の診断では、東経137度線における海盆規模の水温変化をみるため、四国海盆に位置する海域A(北緯24度~北緯34度)、西マリアナ海盆に位置する海域C(北緯10度~北緯20度)、四国海盆と西マリアナ海盆の間で九州-パラオ海嶺にかかる海域B(北緯20度~北緯24度)に分けて診断を行っています。

北西太平洋の海域 海域B

北西太平洋の水深4000mの海底地形

左図は北西太平洋の海域で、水深4000mより浅い海域を灰色で示す。図中のA(北緯24度~北緯34度)、B(北緯20度~北緯24度)、C(北緯10度~北緯20度)で示した線は、東経137度線で「北西太平洋の底層の水温変化」の診断を行うにあたり分けた海域を示している。赤矢印は、ヤップ海嶺とマリアナ海嶺の間にある狭い谷のような地形の場所を示しており、底層水は矢印で示した場所を通って西マリアナ海盆へ流入していると考えられている。右図は、海域Bを拡大したもの。

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