臨時診断表 2005/2006年のオホーツク海の海氷について
平成18年6月23日発表
気象庁地球環境・海洋部
診断(2005/2006年)
オホーツク海の2006年の海氷シーズンの海氷域面積は1971年の統計開始以降では最小のレベルで経過し、シーズンを通しての海氷の勢力の目安となる前年12月から5月までの積算海氷域面積は過去最小となりました。
オホーツク海の積算海氷域面積の推移
積算海氷域面積は、前年12月からの5日ごとの海氷域面積の合計値。赤色の線は、2006年の推移、青色の線は、1996年(昨シーズン以前の過去最小の年)の推移、緑色の線は、平年値(1971年~2000年の30年平均値)。
解説
オホーツク海の状況
オホーツク海の2006年の海氷シーズンの海氷域面積は、1971年の統計開始以降では最小レベルで経過しました(図1)。シーズンを通しての海氷の勢力の目安となる、前年12月から5月までの積算海氷域面積(上図の右端)は、平年の64%にとどまり、過去最小となりました。また、今シーズンの最大海氷域面積は3月10日の90.30万平方kmで、1984年の85.81万平方kmについで2番目に小さい記録となりました(図2)。
これは、11月から12月にかけて、オホーツク海の気温、海面水温が平年より高く経過し(図3、図4)、初期の結氷、海氷域の拡大が遅れたこと、2月中旬から3月下旬まで北日本周辺の気温が平年より高く経過し(図5)、北海道周辺の海氷の融解、後退が例年になく早く始まったことが大きな原因と考えられます。
オホーツク海の海氷域面積には、長期的には緩やかな減少傾向が見られますが、10年程度の周期を持つ変動のほうが卓越しており、年を追うごとに減少しているというわけではありません(図6)。オホーツク海の海氷の分布は、気温だけでなく、風や海流の状況にも大きく左右されるため、現段階で、減少傾向が地球温暖化によるものかどうかを判断することは困難です。
(参考)北極域の海氷、北半球雪氷域の状況
2005年の北極域の海氷域面積は、年最大値、年最小値とも1979年の統計開始以降では過去最小を記録しました(図7)。北極域の海氷は減少する傾向にあり、年最大値、年最小値にも減少傾向が現れています(図8)。
北半球の陸域における積雪面積は、1980年代以降は平年並か少ない傾向が続いており、1990年代後半以降はほぼ平年並で推移しています(図9)。
その他
- 8月31日に、海氷域面積の長期変化傾向(オホーツク海、全球)について定期診断表を発表します。