臨時診断表 東海沖の黒潮流路の南下について(続報)
平成25年8月29日発表
気象庁地球環境・海洋部
診断
黒潮が東海沖で大きく離岸して流れている様子が、気象庁海洋気象観測船「啓風丸」による観測から確認されました。
今後も、黒潮の流路は、東海沖で離岸した状態が継続する見込みです。
矢印は気象庁海洋気象観測船「啓風丸」が8月25日に観測した海流で、赤い矢印は2.5ノット(*)以上、緑の矢印は1.5ノット以上の流れを示しています。啓風丸の観測データで2.5ノット以上の流れが観測されているところが黒潮の流れの中心と推定され、黒潮の流れの指標として利用される深さ200mの水温 15℃付近の等温線が混んでいるところとよく対応しています。
なお、この図の水温は速報値です。診断の発表後も、後から入手した観測値によって更新されることがありますので、最新の資料は、海洋のデータバンクをご利用ください。
|
解説
黒潮流路の実況
黒潮は、8月上旬から東海沖で大きく離岸して流れています。
気象庁海洋気象観測船「啓風丸」による観測から、8月25日現在、黒潮が北緯31.6度付近まで南下し、八丈島の西を北北西に流れ、三宅島の南から北東に流れている様子が確認されました。また、この観測では、黒潮の最南位置で深さ300m付近まで強い流れがみられ、強い流れの北側では深さ300mより下層で周囲より水温が低くなっている様子もみられます(図1)。気象庁では、以下の2つの条件を共に満たしている場合に黒潮大蛇行と判定します。
・潮岬で黒潮が離岸した状態で安定していること
・東海沖で黒潮流軸が北緯32度より南に位置していること東海沖での黒潮流軸は、現在、北緯32度より南に位置しています。
*黒潮が潮岬で離岸して流れているときは、串本と浦神の潮位差は小さく変動幅も小さくなります。
潮岬での黒潮の離岸、接岸の指標である紀伊半島沿岸の串本と浦神の潮位差(*)は、変動が大きく、安定していない状態となっています(図2)。今後の見通し
黒潮は、東海沖で南下した流路が継続する見込みですが(図3)、大きく南下した状態で安定するか、引き続き注意深く監視していきます。
気象庁では日本近海の海面水温・海流についての1か月予報を10日ごとに発表しています(次回の発表は8月30日です)。また、本診断発表後の最新の状況については定期診断をご覧ください。参考情報:海面水温・海流1か月予報
参考情報:定期診断表 日本近海の海流その他
東海地方では沿岸の西向きの流れに伴い潮位が高くなる可能性がありますので、地元気象台から出される高潮警報や注意報、潮位情報にご留意ください。
なお、本診断は8月6日に発表した臨時診断「東海沖の黒潮流路の南下について」の続報です。