臨時診断表 2014年3月から4月の北海道南東方の低い海面水温および海氷の襟裳岬南東沖への流出について
平成26年4月23日発表
札幌管区気象台
診断
- 北海道南東方では、3月以降、海面水温が平年よりかなり低くなっています。
- 4月上旬から中旬にかけてオホーツク海から太平洋に流出した海氷は、4月22日現在、襟裳岬の南東約100kmに達しています。4月に襟裳岬以南に海氷がみられるのは、1971年以来初めてです。
- 船舶は海氷の動きにご注意ください。
図1 旬平均海面水温分布図(2014年4月中旬)
内湾域等は、薄い灰色で示しています。 また、海氷のために海面水温のデータがない海域は、灰色の網掛けで示しています。 |
図2 海氷解析図(2014年4月22日)
海氷解析には、沿岸海氷観測資料及び人工衛星、航空機、船舶による観測資料を利用しています。
凡例:
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解説
海面水温
北海道南東方(北緯40度~45度、東経140度~150度)の海面水温は3月以降、1985年以降の30年で最も低いかそれに近い状態が継続しています(表「旬平均海域平均海面水温」参照)。
4月中旬は、襟裳岬南東沖の北緯41度付近まで海面水温が2℃以下の海域が広がっており、この時期としては平年(約5℃)より3℃前後低くなっています(図1、図3)。
要因としては以下のことが考えられます。
- 3月以降、北海道南東方では寒気や強風の影響を受けることが多く、平年では海面水温が上昇する時期にもかかわらず、上昇しにくい状態が続いた。
- 親潮の面積(深さ100mの水温が5℃以下の領域)が3月中旬に平年より大きくなり、3月下旬以降はかなり大きい状態となっている。
- 4月にオホーツク海の西側で北よりの風が続き、オホーツク海の低温の水が(海氷とともに)流出してきている。
海氷
4月上旬から中旬にかけて太平洋に流出した海氷は、4月22日現在、襟裳岬の南東約100km付近に達しており、現在の手法による海氷解析の開始(1971年)以来、4月としては最も南まで達しています(図2、図4)。
要因としては以下のことが考えられます。
- 4月上旬から中旬にかけて、低気圧が北海道付近を周期的に通過し、その後冬型の気圧配置が続いたため、気温が平年より低く経過し、海氷の融解が遅れた。
- 北よりの風の日が多く、オホーツク海から太平洋へ海氷の流出が続いた。4月18日から19日にかけて北東風の場となったため、急速に南下した。
- 釧路沖で海面水温が平年より低い状態が続いた。
見通し
北海道南東方の海面水温は、向こう1か月、平年よりかなり低い状態が続く見込みです。
海氷は今後1週間、引き続き太平洋に流出しますが、次第に融解するでしょう。船舶は海氷の動きにご注意ください。
参考情報:海面水温・海流1か月予報
問い合わせ先
札幌管区気象台 気象防災部 地球環境・海洋課 電話 011-611-6174
気象庁 地球環境・海洋部 海洋気象課 海洋気象情報室 電話 03-3212-8341(内線5127)
参考資料
表:北海道南東方(北緯40~45度、東経140~150度)の旬平均海域平均海面水温(*1)
2014年 | 海面水温(℃) | 平年差(順位) (℃)(*2,*3) |
---|---|---|
3月上旬 | 2.6 | -0.9 (2位) |
3月中旬 | 2.3 | -1.3 (1位) |
3月下旬 | 2.6 | -1.1 (2位) |
4月上旬 | 2.8 | -1.3 (2位) |
4月中旬 | 2.9 | -1.7 (1位) |
図3 旬平均海面水温平年差分布図(2014年4月中旬)
内湾域等は、薄い灰色で示しています。 また、海氷のために海面水温のデータがない海域は、灰色の網掛けで示しています。
この図の海面水温平年差は速報値です。
図4 「静止気象衛星ひまわり」による北海道周辺の可視画像(2014年4月20日)
海上で白く見えるところが海氷や雲を示します。