気候リスクを認識する

気候はさまざまな産業等に影響を与えます

  • 多くの産業等で気候の影響を受ける
  • 季節はずれの気候が続くと影響は大きい
  • 同じ時期の気候も年ごとの変動は大きい

気候とはある程度長い期間における気温や降水量などの大気の状態のことをいいます。 大雨や台風など短い時間に大きな被害を与える現象とは違いますが、気候も生活や産業に様々な影響を与えます。

異常気象のような平年との隔たりが大きい現象が持続する場合にはその影響は特に大きくなります。例えば長期間気温の高い状態が続いて猛暑となった 2010年の夏は様々な影響を与えました。(図1)
また、年ごとの変動も大きく、同じ時期の気候であっても大きく異なるときがあります。(図2)

2010年夏の気温経過

図1 2010年7~9月の地域平均気温平年差の5日平均の時系列

福岡の9月中旬の年々変動

図2 1991~2012年の福岡における9月中旬(9月11~20日)の気温の年ごとの変動

<参考リンク:過去の国内の気候・異常気象>

気候リスクとは?   気候リスク=(異常気象などの起こる可能性)×(その影響の大きさ)

  • 気候リスクとは"気候によって影響を受ける可能性"のこと
  • 気候リスクはリスクの当事者によって異なる
  • 温暖化等の気候変動により気候リスクは増大している

異常気象などによりこのような影響を受ける可能性のことを「気候リスク」といいます。 気候リスクは「異常気象などの影響を与える気候が起こる可能性」と「その影響の大きさ」の掛け算と考えるとイメージしやすいのではないでしょうか。 影響を与える気候が起こる可能性が小さくてもその影響が大きければリスクは大きくなります。また、リスクという言葉から連想される悪い影響だけではなく、好影響も含まれます。

2010年夏の影響

  図3 2010年夏の猛暑の影響(新聞報道等から作成)

また、気候により影響を受ける可能性やその影響の大きさは当事者によって様々です。すなわち気候リスクも当事者によって異なるといえます。例えば2010年の猛暑という同じ現象に対してもその影響は個々の産業分野によって大きく異なりました。(図3)

さらに地球温暖化等の気候変動の影響により、過去に比べて異常気象などの発生の可能性が高まっていることから気候リスクは増大しているといえます。

気候リスクを軽減するために   ~気候リスク管理のプロセス~

  • 気候リスク軽減のためには気候リスク管理のプロセスが有効です
  • まず身の回りの気候リスクを認識してみましょう
  • 事前に異常気象の発生などがわかれば、それに対してどのような対策ができるでしょうか

気候リスク管理のプロセス

   図4 気候リスク管理のプロセス


気候情報(過去の統計値や季節予報など)などを用いて気候リスクを把握し対応することを気候リスク管理といいます。
気候リスクの軽減のためには上の図4にある3つのプロセスが有効です。
リスクは当事者によって様々ですがこのプロセスは同じです。気候リスク管理の主役はリスクの当事者です。

まずは、身の回りの気候リスクを認識することが必要です。

  • どのようなことで気候の影響を受けているのか
  • その影響に対して何らかの対策はあるのか
  • 対策のためにはどの程度の時間が必要か

を考えることで、気候リスクを軽減できる可能性が見えてきます。

続いては気候リスクの評価です。漠然と認識した気候リスクをよりはっきりと把握します。
⇒ 詳しくは気候リスク評価の解説

最後はいよいよ気候リスクへの対応です。様々な気候情報等を活用して気候リスクへ対応します。
⇒ 詳しくは気候リスクへの対応の解説

このページのトップへ