日本近海の海流(月概況)
平成29年9月20日発表
気象庁地球環境・海洋部
診断(2017年8月)
- 黒潮は、8月下旬、東海沖で大きく離岸していました(臨時診断表(8月30日発表))。
- 黒潮は、8月を通して沖縄の北西180~190km付近を流れていました。都井岬では上旬は離岸し、中旬、下旬は接岸して流れていました。足摺岬では、上旬、中旬は離岸(小蛇行)して、下旬は離岸して流れていました。室戸岬、潮岬では、月を通して離岸(小蛇行)して流れていました。
- 東海沖の黒潮の最南位置は、上旬は北緯32度、東経136.5度付近、中旬は北緯32度、東経138度付近、下旬は北緯31.5度、東経137.5度付近となっていました。伊豆諸島付近では、上旬、中旬は八丈島の南を、下旬は八丈島付近を流れていました。
- 親潮の沿岸寄りの分枝の南限位置は、上旬は北緯40度、東経143.5度付近、中旬は北緯39.5度、東経144度付近、下旬は北緯39.5度、東経143.5度付近でした。沖合の分枝の南限位置は、中旬は北緯40度、東経148度付近、下旬は北緯40度、東経147.5度付近でした。親潮の面積は、月を通して平年より小さくなっていました。
- 対馬暖流の勢力は、上旬、中旬は平年よりかなり強く、下旬は平年より強くなっていました。
日本近海の深さ100mの月平均水温分布図(2017年8月)
解説
沖縄周辺、日本の南から関東沖にかけての海流
2017年8月の沖縄周辺、日本の南から関東沖にかけての海流の実況は、表1のとおりでした。
表1:沖縄周辺、日本の南から関東沖にかけての海流の旬ごとの経過 海域・項目 上旬 中旬 下旬 沖縄本島から北西沖の黒潮までの距離(※1) 190km付近 180km付近 190km付近 トカラ海峡の黒潮の通過緯度/向き(※1) 北緯29.9度、東南東 北緯30.2度、南東 北緯30.2度、南東 都井岬での黒潮の離岸・接岸(※1) 離岸 接岸 接岸 足摺岬での黒潮の離岸・接岸(※1) 離岸(小蛇行) 離岸(小蛇行) 離岸 室戸岬での黒潮の離岸・接岸(※1) 離岸(小蛇行) 離岸(小蛇行) 離岸(小蛇行) 潮岬での黒潮の離岸・接岸(※1) 離岸(小蛇行) 離岸(小蛇行) 離岸(小蛇行) 東海沖の黒潮流路の最南位置(※2) 北緯32度、東経136.5度 北緯32度、東経138度 北緯31.5度、東経137.5度 伊豆諸島付近の黒潮通過位置(※1) 八丈島の南 八丈島の南 八丈島付近 房総半島での黒潮の離岸・接岸(※1) 接岸 離岸 離岸 その他の顕著な現象 潮岬の南~東海沖では、上旬に北緯32.5度、東経135.5度付近、中旬に北緯32.5度、東経136.5度付近、下旬に北緯32.5度、東経137.5度付近に冷水渦がみられた
東海沖では、下旬に北緯33.5度、東経137.5度付近に暖水域がみられた
先島諸島の南では、上旬に北緯22度、東経124度付近、中旬に北緯22度、東経123.5度付近、下旬に北緯22.5度、東経123.5度付近に暖水渦がみられた
沖縄本島の南東~南では、上旬に北緯25度、東経129度付近、中旬、下旬に北緯25度、東経128度付近に冷水渦がみられた
南大東島付近では、上旬に北緯26度、東経131.5度付近、中旬に北緯26度、東経131度付近、下旬に北緯26度、東経130.5度付近に暖水渦がみられた(※)が付いている項目の見方については、「海流の診断の見方」のページもあわせてご参照ください。
- 参考図:旬別黒潮流軸図(2017年8月)
- 参考図:日本近海の深さ50mの月平均海流分布図(2017年8月)
- 参考図:日本近海の深さ50mの旬平均海流分布図(2017年8月) [ 上旬 | 中旬 | 下旬 ]
- 参考図:日本近海の深さ100mの旬平均水温分布図(2017年8月) [ 上旬 | 中旬 | 下旬 ]
- 参考情報:暖水渦・冷水渦
日本の東と日本海の海流
2017年8月の日本の東と日本海の海流は、表2のとおりでした。
表2:日本の東と日本海の海流の旬ごとの経過 項目 上旬 中旬 下旬 親潮の沿岸寄りの分枝の南限位置(※3) 北緯40度、東経143.5度付近 北緯39.5度、東経144度付近(図中A) 北緯39.5度、東経143.5度付近 親潮の沖合の分枝の南限位置(※3) なし 北緯40度、東経148度付近(図中B) 北緯40度、東経147.5度付近 その他の親潮系冷水の位置 北緯39.5度、東経142.5度付近、北緯39.5度、東経147度付近 北緯39.5度、東経146度付近 特にみられない 親潮の面積(※4) 平年より小さい 平年より小さい 平年より小さい 津軽暖流の東端の経度(※5) 東経143.5度付近(平年より東)(図中C) 東経143.5度付近(平年より東)(図中C) 東経143.5度付近(平年並)(図中C) 日本の東の黒潮系暖水の北限緯度(※6) 北緯37度付近(平年並)(経度は東経145度付近) 北緯37度付近(平年並)(経度は東経142.5度付近)(図中D) 北緯37度付近(平年並)(経度は東経143.5度付近) その他の日本の東の海流 三陸沖では、8月を通して北緯41度、東経147度付近に暖水渦がみられた(図中E) 日本海の海流 対馬暖流は、山陰沖西部を北東に流れ、隠岐付近からは東に流れ、若狭湾沖を北北東に流れていた
能登沖の北緯39.5度、東経137度付近から東に流れ、東経138度付近で北に向きを変え、北緯41度付近から東に流れ、津軽海峡に達していた対馬暖流の勢力(※7) 平年よりかなり強い 平年よりかなり強い 平年より強い (※)が付いている項目については、「海流の診断の見方」のページもあわせて参照ください。
- 参考図:日本近海の深さ50mの月平均海流分布図(2017年8月)
- 参考図:日本近海の深さ50mの旬平均海流分布図(2017年8月) [ 上旬 | 中旬 | 下旬 ]
- 参考図:日本近海の深さ100mの旬平均水温分布図(2017年8月) [ 上旬 | 中旬 | 下旬 ]
- 参考図:親潮の面積の時系列図
- 参考図:対馬暖流の勢力の時系列図
- 参考情報:暖水渦・冷水渦