日本近海の海流(月概況)
令和元年6月20日発表
気象庁地球環境・海洋部
診断(2019年5月)
- 黒潮は大蛇行していました。
- 黒潮は、月を通して沖縄の北西170~190km付近を流れていました。都井岬では上旬と中旬、下旬の前半は接岸し、下旬の後半は離岸して流れていました。足摺岬では、上旬は離岸、中旬、下旬は接岸して流れていました。室戸岬、潮岬では、月を通して離岸して流れていました。
- 東海沖の黒潮の最南位置は、上旬は北緯29.5度、東経137.5度付近、中旬は北緯30度、東経138度付近、下旬は北緯30度、東経137.5度付近となっていました。伊豆諸島付近では、月を通して三宅島付近を流れていました。
- 親潮の南限位置は、上旬は北緯39度、東経144.5度付近、中旬は北緯37.5度、東経142度付近でした。下旬は分枝構造がみられ、沿岸寄り分枝の南限位置は、北緯37.5度、東経143度付近、沖合の分枝の南限位置は、北緯40.5度、東経147.5度付近でした。
- 親潮の面積は、上旬、下旬は平年より小さく、中旬は平年並となっていました。
- 対馬暖流の勢力は、月を通して平年よりかなり強くなっていました。
日本近海の深さ100mの月平均水温分布図(2019年5月)
解説
沖縄周辺、日本の南から関東沖にかけての海流
2019年5月の沖縄周辺、日本の南から関東沖にかけての海流の実況は、表1のとおりでした。
表1:沖縄周辺、日本の南から関東沖にかけての海流の旬ごとの経過 海域・項目 上旬 中旬 下旬 沖縄本島から北西沖の黒潮までの距離(※1) 170km付近 190km付近 180km付近 トカラ海峡の黒潮の通過緯度/向き(※1) 北緯30.1度、東南東 北緯30.2度、東南東 北緯30.2度、東南東 都井岬での黒潮の離岸・接岸(※1) 接岸 接岸 旬の前半は接岸、後半は離岸 足摺岬での黒潮の離岸・接岸(※1) 離岸 接岸 接岸 室戸岬での黒潮の離岸・接岸(※1) 離岸 離岸 離岸 潮岬での黒潮の離岸・接岸(※1) 離岸 離岸 離岸 東海沖の黒潮流路の最南位置(※2) 北緯29.5度、東経137.5度 北緯30度、東経138度 北緯30度、東経137.5度 伊豆諸島付近の黒潮通過位置(※1) 三宅島付近 三宅島付近 三宅島付近 房総半島での黒潮の離岸・接岸(※1) 接岸 接岸 接岸 その他の顕著な現象 関東南東方では、中旬に北緯34.5度、東経143.5度付近、下旬に北緯35度、東経143.5度付近に冷水渦がみられた
東海沖では、上旬、中旬に北緯32度、東経136.5度付近、下旬に北緯31度、東経137度付近に冷水渦がみられた
沖縄本島の南東では、上旬、中旬に北緯25度、東経129.5度付近、下旬に北緯25.5度、東経129度付近に冷水渦がみられた
奄美群島の南東では、上旬に北緯27度、東経130度付近に、中旬に北緯27.5度、東経130.5度付近に暖水域がみられた
南大東島の南では、上旬に北緯25度、東経132.5度付近、中旬に北緯25度、東経132度付近、下旬に北緯24.5度、東経131.5度付近に暖水渦がみられた
先島諸島の南では、上旬に北緯23度、東経123.5度付近、中旬に北緯23度、東経123.5度付近に暖水渦が、下旬に北緯22.5度、東経123度付近に暖水域がみられた(※)が付いている項目の見方については、「海流の診断の見方」のページもあわせてご参照ください。
- 参考図:旬別黒潮流軸図(2019年5月)
- 参考図:日本近海の深さ50mの月平均海流分布図(2019年5月)
- 参考図:日本近海の深さ50mの旬平均海流分布図(2019年5月) [ 上旬 | 中旬 | 下旬 ]
- 参考図:日本近海の深さ100mの旬平均水温分布図(2019年5月) [ 上旬 | 中旬 | 下旬 ]
- 参考情報:暖水渦・冷水渦
日本の東と日本海の海流
2019年5月の日本の東と日本海の海流は、表2のとおりでした。
表2:日本の東と日本海の海流の旬ごとの経過 項目 上旬 中旬 下旬 親潮の沿岸寄りの分枝の南限位置(※3) 北緯39度、東経144.5度付近 北緯37.5度、東経142度付近 北緯37.5度、東経143度付近(図中A) 親潮の沖合の分枝の南限位置(※3) なし なし 北緯40.5度、東経147.5度付近 その他の親潮系冷水の位置 北緯39度、東経143度付近 特にみられない 特にみられない 親潮の面積(※4) 平年より小さい 平年並 平年より小さい 津軽暖流の東端の経度(※5) 東経142.5度付近(平年並)(図中B) 東経142.5度付近(平年並)(図中B) 東経143度付近(平年並) 日本の東の黒潮系暖水の北限緯度(※6) 北緯38度付近(平年より北)(経度は東経145度付近)(図中C) 北緯37.5度付近(平年より北)(経度は東経145度付近) 北緯37.5度付近(平年より北)(経度は東経145.5度付近) その他の日本の東の海流 北海道東方では、上旬、中旬に北緯42度、東経147.5度付近、下旬に北緯41.5度、東経148度付近に暖水渦がみられた
三陸沖では、上旬に北緯39.5度、東経147度付近、中旬に北緯39.5度、東経146.5度付近に暖水域がみられた日本海の海流 対馬暖流は、山陰沖西部を北東に流れ、隠岐の北の北緯36.5度、東経133.5度付近から北に流れ、日本海南部の北緯38度付近から東南東に流れ、能登沖の北緯37.5度、東経135.5度付近から北に流れ、北緯39度付近から東に流れ、佐渡沖の東経137度付近から東北東に流れ、秋田沖の北緯40度、東経139度付近から北に流れ、津軽沖の北緯41.5度付近から東に流れて津軽海峡に達していた
朝鮮半島東岸では岸に沿った北向きの流れが、朝鮮半島東方では時計回りの流れが、山陰沖東部から若狭湾沖では反時計回りの流れが、それぞれみられた対馬暖流の勢力(※7) 平年よりかなり強い 平年よりかなり強い 平年よりかなり強い (※)が付いている項目については、「海流の診断の見方」のページもあわせて参照ください。
- 参考図:日本近海の深さ50mの月平均海流分布図(2019年5月)
- 参考図:日本近海の深さ50mの旬平均海流分布図(2019年5月) [ 上旬 | 中旬 | 下旬 ]
- 参考図:日本近海の深さ100mの旬平均水温分布図(2019年5月) [ 上旬 | 中旬 | 下旬 ]
- 参考図:親潮の面積の時系列図
- 参考図:対馬暖流の勢力の時系列図
- 参考情報:暖水渦・冷水渦