日本近海の海流(月概況)
令和元年10月21日発表
気象庁地球環境・海洋部
診断(2019年9月)
- 黒潮は大蛇行していました。
- 黒潮は、月を通して沖縄の北西180~200km付近を流れていました。都井岬では、上旬、中旬は離岸、下旬は接岸して流れていました。足摺岬では、上旬、中旬は離岸して流れ、下旬も離岸して流れていましたが、一時接岸して流れていました。室戸岬、潮岬では、月を通して離岸して流れていました。
- 東海沖の黒潮の最南位置は、上旬は北緯30.5度、東経138.5度付近、中旬、下旬は北緯31度、東経137.5度付近となっていました。伊豆諸島付近では、上旬、中旬は三宅島と八丈島の間を流れ、下旬は三宅島付近を流れていました。
- 親潮の南限位置は、上旬、下旬は北緯41度、東経146.5度付近でした。中旬は分枝構造がみられ、沿岸寄り分枝の南限位置は北緯41.5度、東経143.5度付近、沖合の分枝の南限位置は北緯40.5度、東経146.5度付近でした。
- 親潮の面積は、月を通して平年より小さくなっていました。
- 対馬暖流の勢力は、上旬は平年より弱く、中旬、下旬は平年並となっていました。
日本近海の深さ100mの月平均水温分布図(2019年9月)
解説
沖縄周辺、日本の南から関東沖にかけての海流
2019年9月の沖縄周辺、日本の南から関東沖にかけての海流の実況は、表1のとおりでした。
表1:沖縄周辺、日本の南から関東沖にかけての海流の旬ごとの経過 海域・項目 上旬 中旬 下旬 沖縄本島から北西沖の黒潮までの距離(※1) 180km付近 200km付近 200km付近 トカラ海峡の黒潮の通過緯度/向き(※1) 北緯30.0度、南東 北緯30.1度、東南東 北緯30.1度、東南東 都井岬での黒潮の離岸・接岸(※1) 離岸 離岸 接岸 足摺岬での黒潮の離岸・接岸(※1) 離岸 離岸 離岸、一時接岸 室戸岬での黒潮の離岸・接岸(※1) 離岸 離岸 離岸 潮岬での黒潮の離岸・接岸(※1) 離岸 離岸 離岸 東海沖の黒潮流路の最南位置(※2) 北緯30.5度、東経138.5度 北緯31度、東経137.5度 北緯31度、東経137.5度 伊豆諸島付近の黒潮通過位置(※1) 三宅島と八丈島の間 三宅島と八丈島の間 三宅島付近 房総半島での黒潮の離岸・接岸(※1) 離岸 接岸 接岸 その他の顕著な現象 東海沖では、上旬に北緯33度、東経138度付近、中旬に北緯32.5度、東経137.5度付近、下旬に北緯32.5度、東経137度付近に冷水渦がみられた
沖縄本島の南東では、上旬に北緯25.5度、東経129.5度付近、中旬、下旬に北緯25.5度、東経129度付近に冷水渦がみられた
四国沖では、上旬に冷水域がみられた
南大東島の南東から南では、上旬に北緯25度、東経132度付近、中旬、下旬に北緯25.5度、東経131.5度付近に暖水渦がみられた
先島諸島の南東では、上旬に北緯23度、東経127度付近、中旬に北緯23度、東経126度付近、下旬に北緯23度、東経125.5度付近に暖水渦がみられた
奄美群島の南東では、下旬に北緯27.5度、東経131.5度付近に冷水渦がみられた(※)が付いている項目の見方については、「海流の診断の見方」のページもあわせてご参照ください。
- 参考図:旬別黒潮流軸図(2019年9月)
- 参考図:日本近海の深さ50mの月平均海流分布図(2019年9月)
- 参考図:日本近海の深さ50mの旬平均海流分布図(2019年9月) [ 上旬 | 中旬 | 下旬 ]
- 参考図:日本近海の深さ100mの旬平均水温分布図(2019年9月) [ 上旬 | 中旬 | 下旬 ]
- 参考情報:暖水渦・冷水渦
日本の東と日本海の海流
2019年9月の日本の東と日本海の海流は、表2のとおりでした。
表2:日本の東と日本海の海流の旬ごとの経過 項目 上旬 中旬 下旬 親潮の沿岸寄りの分枝の南限位置(※3) 北緯41度、東経146.5度付近(図中A) 北緯41.5度、東経143.5度付近 北緯41度、東経146.5度付近(図中A) 親潮の沖合の分枝の南限位置(※3) なし 北緯40.5度、東経146.5度付近 なし その他の親潮系冷水の位置 北緯40度、東経143.5度付近から北緯39度、東経143度付近にかけて 北緯40度、東経143度付近、北緯38.5度、東経143.5度付近 北緯39度、東経143度付近 親潮の面積(※4) 平年より小さい 平年より小さい 平年より小さい 津軽暖流の東端の経度(※5) 東経143度付近(平年並) 東経143.5度付近(平年並)(図中B) 東経143.5度付近(平年並)(図中B) 日本の東の黒潮系暖水の北限緯度(※6) 北緯37.5度付近(平年より北)(経度は東経145度付近) 北緯37.5度付近(平年並)(経度は東経145.5度付近)(図中C) 北緯37.5度付近(平年並)(経度は東経146度付近) その他の日本の東の海流 北海道南東方では、上旬、下旬に北緯40.5度、東経146度付近、中旬に北緯40.5度、東経146.5度付近に暖水渦がみられた
三陸沖では、上旬に北緯37.5度、東経142.5度付近に暖水渦がみられた
本州東方では、上旬に北緯38.5度、東経148度付近、中旬、下旬に北緯38.5度、東経147.5度付近に暖水渦がみられた日本海の海流 対馬暖流は、山陰沖西部を北東に流れ、隠岐の西の北緯36度、東経133度付近から北に流れ、日本海南部の北緯38度付近から北東に流れ、日本海中部の北緯39.5度、東経135度付近から南東に流れ、能登半島の北の北緯38度、東経137度付近から北東に流れて津軽海峡に達していた
津軽沖からは北に向かう流れがみられた
若狭湾沖の北緯37度、東経135度付近では反時計回りの流れがみられた対馬暖流の勢力(※7) 平年より弱い 平年並 平年並 (※)が付いている項目については、「海流の診断の見方」のページもあわせて参照ください。
- 参考図:日本近海の深さ50mの月平均海流分布図(2019年9月)
- 参考図:日本近海の深さ50mの旬平均海流分布図(2019年9月) [ 上旬 | 中旬 | 下旬 ]
- 参考図:日本近海の深さ100mの旬平均水温分布図(2019年9月) [ 上旬 | 中旬 | 下旬 ]
- 参考図:親潮の面積の時系列図
- 参考図:対馬暖流の勢力の時系列図
- 参考情報:暖水渦・冷水渦