日本近海の海面水温(月概況)

令和3年10月20日 気象庁発表

診断 (2021年9月)

  • オホーツク海南部では、海面水温が平年より高い海域がみられました(図中A)。
  • 日本海では、広い範囲で海面水温が平年より高く、平年よりかなり高い海域もみられました(図中B)。
  • 北海道南東方、本州東方の東経145度以東では、海面水温が平年より低い海域がみられ、本州東方では、平年よりかなり低い海域もみられました(図中C)。
  • 関東南東方では、海面水温が平年より低い海域がみられました(図中D)。
  • 四国・東海沖では、広い範囲で海面水温が平年より高く、平年よりかなり高い海域もみられました(図中E)。
  • 東シナ海、沖縄の東、沖縄の南、父島近海では、広い範囲で海面水温が平年よりかなり高くなっていました(図中F)。
  • 南鳥島近海では、海面水温が平年より高く、平年よりかなり高い海域もみられました(図中G)。

日本近海の月平均海面水温平年差分布図(2021年9月)
日本近海の月平均海面水温平年差分布図(2021年9月)

海面水温の平年値(1991〜2020年の30年間の平均値)からの差を示しています。 平年差は、図の右にある0.5℃ごとのスケールと同じ色で色分けされています。 内湾域等は、薄い灰色で示しています。また、海氷のために海面水温のデータがない海域は、灰色の網掛けで示しています。

この図の海面水温平年差は速報値です。日本近海のデータの図は、診断の発表後も、後から入手した観測値によって更新されることがあります。

解説

日本近海の海面水温

オホーツク海南部では、海面水温が平年より高い海域がみられました(図中A)。この海域では、上旬は平年より風が弱く、日射量が多かった影響により、広い範囲で海面水温が平年より高くなっていましたが、中旬には寒気や平年より風が強かった影響により、海面水温が平年より高い海域が縮小し、平年より低い海域がみられるようになりました。

日本海では、広い範囲で海面水温が平年より高く、平年よりかなり高い海域もみられました(図中B)。日本海中部・南部では、上旬と中旬は海面水温が平年より低い海域がみられましたが、下旬には暖かく湿った空気の影響により、海面水温が平年より高い海域が拡大し、平年より低い海域はみられなくなりました。

北海道南東方、本州東方の東経145度以東では、海面水温が平年より低い海域がみられ、本州東方では、平年よりかなり低い海域もみられました(図中C)。これらの海域では、上旬と中旬は寒気や平年より風が強かった影響により、広い範囲で海面水温が平年より低くなっていましたが、下旬には平年より日射量が多かったことや風が弱かった影響により、海面水温が平年より低い海域は縮小しました。一方、三陸沖では、暖水渦の影響により、海面水温が平年より高い海域がみられました。

関東南東方では、海面水温が平年より低い海域がみられました(図中D)。この海域では、中旬に寒気と平年より日射量が少なかった影響により、海面水温が平年より低い海域がみられるようになりました。

四国・東海沖では、広い範囲で海面水温が平年より高く、平年よりかなり高い海域もみられました(図中E)。遠州灘から熊野灘にかけては、黒潮や黒潮から分かれた暖水の影響により、海面水温が平年よりかなり高くなっていました。

東シナ海、沖縄の東、沖縄の南、父島近海では、広い範囲で海面水温が平年よりかなり高くなっていました(図中F)。東シナ海、沖縄の南では、上旬は広い範囲で海面水温が平年よりかなり高くなっていましたが、中旬は台風第14号の影響により、東シナ海では平年よりかなり高い海域は縮小しました。下旬には、暖かく湿った空気と平年より日射量が多かった影響に加え、平年より風が弱かった影響もあり、海面水温が平年よりかなり高い海域が拡大しました。沖縄の東と父島近海では、上旬、中旬を中心に平年より日射量が多く、風が弱かったことが要因と考えられます。東シナ海北部、東シナ海南部、沖縄の東、沖縄の南の海面水温は、解析値のある1982年以降で9月として最も高くなりました。

南鳥島近海では、海面水温が平年より高く、平年よりかなり高い海域もみられました(図中G)。


海面水温の診断にあたって

  • 1991〜2020年の30年間に出現した海面水温の上位1/3以上を「平年より高い」、下位1/3以下を「平年より低い」とし、それらを除いた中央1/3の範囲を「平年並」としています。また、上位(下位)1/10以上(以下)を「平年よりかなり高い(低い)」としています。

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