日本沿岸の月平均潮位の変動

2012年11月20日発表
気象庁地球環境・海洋部

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震で観測機器の破損や地盤の変動が大きかった東北地方の地点(青森県八戸~福島県小名浜)については、診断での利用を休止しています。
また、それ以外の地点においても、潮位観測値に地盤の変動の影響が含まれている可能性があります。

下関は、所管機関が国土交通省港湾局へ変更になり、名称が弟子待検潮所となりましたが、観測は同一地点で続けており、診断への利用を継続しています。

診断(2012年10月)

2012年10月の月平均潮位は、最近5年間の同月の平均と比べ、関東地方から四国地方にかけての太平洋沿岸、瀬戸内海、九州地方の沿岸及び、北海道地方から山陰にかけての日本海沿岸でやや~かなり高い状態でした。一方、与那国島地方の沿岸ではやや低く、大東島地方の沿岸ではかなり低い状態でした。
その他の地方の沿岸は、ほぼ例年並でした。
月平均潮位偏差分布

2012年10月 月平均潮位偏差分布


月平均潮位偏差とは、最近5年間の月平均値からの差で、正(負)の値は最近5年間の月平均値より高い(低い)ことを示しています。偏差は、図の下方にあるスケールと同じ色で分類されています。

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の影響により、▲で示した地点は診断での利用を休止しています。

偏差をΔHとすると、ΔHの分類は以下のとおりです。


甚だ高い +20 ≤ ΔH
かなり高い +10 ≤ ΔH < +20
やや高い +5 ≤ ΔH < +10
例年並 -5 ≤ ΔH < +5
やや低い -10 ≤ ΔH < -5
かなり低い -20 ≤ ΔH < -10
甚だ低い ΔH < -20

解説

2012年10月の月平均潮位は、最近5年間の同月の平均と比べ、関東地方から四国地方にかけての太平洋沿岸、瀬戸内海、九州地方の沿岸及び、北海道地方から山陰にかけての日本海沿岸でやや~かなり高い状態でした。一方、与那国島地方の沿岸ではやや低く、大東島地方の沿岸ではかなり低い状態でした。

伊豆諸島の沿岸では黒潮が三宅島付近を通過した影響で、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ0.5~2℃程度高い状態でした。このため、この地域では月平均潮位がかなり高くなったものと考えられます。
東海地方から四国地方にかけての沿岸、九州地方沿岸及び、北陸地方西部の沿岸では月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ0.5~1℃程度高い状態でした。このため、これらの地域では月平均潮位がやや~かなり高くなったものと考えられます。また、瀬戸内海の海水の出入り口にあたる豊後水道および紀伊水道付近の潮位が例年より高くなったことに伴い、瀬戸内海の月平均潮位もやや~かなり高くなったものと考えられます。
北海道地方、東北北部の沿岸及び、佐渡島沿岸では月平均海面気圧が最近5年間の同月の平均に比べ1~2hPa程度低い状態でした。このため、これらの地域では月平均潮位がやや高くなったものと考えられます。また、与那国島地方の沿岸では、月平均海面気圧が最近5年間の同月の平均に比べ1hPa程度高い状態でした。このため、この地域では月平均潮位がやや低くなったものと考えられます。
大東島地方の沿岸では月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ0.5~1℃程度低い状態でした。このため、この地域では月平均潮位がかなり低くなったものと考えられます。

(参考情報:月平均海面気圧の偏差月平均表層水温の偏差海面水温・海流の月概況(関東沖海域)海面水温・海流の月概況(日本南方海域)

なお、このページにおける偏差は、潮位、水温、海面気圧ともに最近5年間(2007~2011年)のデータの平均値からの差としています。 また、月平均潮位偏差の各地点の値は潮汐概況に掲載しています。

(参考情報:潮汐概況

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