日本沿岸の月平均潮位の変動

平成30年2月20日発表
気象庁地球環境・海洋部

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震で観測機器の破損や地盤の変動が大きかった東北地方の地点（青森県八戸～福島県小名浜）については、診断での利用を終了または休止しています。
また、それ以外の地点においても、潮位観測値に地盤の変動の影響が含まれている可能性があります。
下関は、所管機関が国土交通省港湾局へ変更になり、名称が弟子待検潮所となりましたが、観測は同一地点で続けており、診断への利用を継続しています。

診断（２０１８年１月）

2018年1月の月平均潮位は、最近5年間の同月の平均に比べ、三宅島、南大東島でかなり高い状態でした。一方、近畿地方・四国地方の太平洋沿岸及び瀬戸内海でやや低い状態でした。
その他の地方の沿岸は、ほぼ例年並でした｡

2018年1月月平均潮位偏差分布

月平均潮位偏差とは、最近5年間の月平均値からの差で、正(負)の値は最近5年間の月平均値より高い(低い)ことを示しています。偏差は、図の下方にあるスケールと同じ色で分類されています。

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の影響により、▲で示した地点は診断での利用を終了または休止しています。

偏差をΔHとすると、ΔHの分類は以下のとおりです。

甚だ高い	+20 ≤	ΔH
かなり高い	+10 ≤	ΔH <	+20
やや高い	+5 ≤	ΔH <	+10
例年並	-5 ≤	ΔH <	+5
やや低い	-10 ≤	ΔH <	-5
かなり低い	-20 ≤	ΔH <	-10
甚だ低い		ΔH <	-20

解説

2018年1月の月平均海面気圧は、最近5年間の同月の平均に比べ全般に0～3hPa低い状態でした。

三宅島では、付近を黒潮が通過したため、海面水位が高い状態でした。

南大東島の沿岸では、近海に暖水域がみられ、海面水位が高い状態でした。

黒潮が、室戸岬および潮岬で離岸して流れており、近畿地方・四国地方の太平洋側の沿岸および瀬戸内海では海面水位が低い状態でした。

これらのことから、月平均潮位が三宅島、南大東島でかなり高い状態になった一方で、近畿地方・四国地方の太平洋沿岸及び瀬戸内海でやや低い状態になったものと考えられます。

（参考情報：月平均海面気圧の偏差、月平均表層水温の偏差、近畿・中国・四国周辺海域の深さ50mの海流分布図、深さ100mの水温分布図（1月30日）、海面水温・海流（沖縄周辺海域）（1月上旬））

なお、このページにおける偏差は、潮位、水温、海面気圧、地盤上下変動量（検潮所周辺の国土地理院のGPS観測データをもとに気象庁で計算した推定値）と最近5年間（2013～2017年）のデータの平均値との差としています。また、月平均潮位偏差の各地点の値は潮汐概況に掲載しています。

（参考情報：潮汐概況）