日本沿岸の月平均潮位の変動

2019年8月20日発表
気象庁地球環境・海洋部

診断(2019年7月)

2019年7月の月平均潮位は、最近5年間の同月の平均に比べ、 三宅島で甚だ高く、東海地方から熊野灘の沿岸でかなり高く、奄美地方、与那国島地方の沿岸でやや高い状態でした。また、父島でかなり低く、北海道地方の一部、大東島地方でやや低い状態でした。
その他の地方の沿岸は、ほぼ例年並でした。
月平均潮位偏差分布

2019年7月 月平均潮位偏差分布


月平均潮位偏差とは、最近5年間の月平均値からの差で、正(負)の値は最近5年間の月平均値より高い(低い)ことを示しています。偏差は、図の下方にあるスケールと同じ色で分類されています。

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の影響により、▲で示した地点は診断での利用を終了または休止しています。

所管機関が気象庁から、下関は国土交通省港湾局へ、銚子漁港は千葉県へ変更になりましたが、診断への利用を継続しています。

偏差をΔHとすると、ΔHの分類は以下のとおりです。


甚だ高い +20 ≤ ΔH  
かなり高い +10 ≤ ΔH < +20
やや高い +5 ≤ ΔH < +10
例年並 -5 ≤ ΔH < +5
やや低い -10 ≤ ΔH < -5
かなり低い -20 ≤ ΔH < -10
甚だ低い ΔH < -20

解説

三宅島では付近を黒潮が流れており、海面水位が高いところに位置していました。
東海地方から熊野灘にかけての沿岸では、黒潮から分かれた暖水の影響がありました。
父島、大東島地方では、周辺に冷水渦があり月平均表層水温が最近5年間の同月の平均と比べ低い状態でした。
2019年7月の月平均海面気圧が、最近5年間の同月の平均に比べ、北海道地方では2hPa程度高く、奄美地方、与那国島地方では1hPa程度低い状態でした。

これらのことから、月平均潮位が、三宅島、東海地方から熊野灘の沿岸、奄美地方、与那国島地方の沿岸で高い状態となった一方、父島、北海道地方の一部、大東島地方で低い状態になったものと考えられます。

(参考情報:月平均表層水温の偏差関東・東海・北陸周辺海域の深さ100mの水温分布図、深さ50mの海流分布図(7月18日)沖縄周辺海域の海面高度偏差分布図(7月18日)月平均海面気圧の偏差

なお、このページにおける偏差は、潮位、水温、海面気圧、地盤上下変動量(検潮所周辺の国土地理院のGPS観測データをもとに気象庁で計算した推定値)と最近5年間(2014~2018年)のデータの平均値との差としています。 また、月平均潮位偏差の各地点の値は潮汐概況に掲載しています。

(参考情報:潮汐概況

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