日本沿岸の潮位の年概況(2016年)

平成29年2月20日発表
気象庁地球環境・海洋部

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震で観測機器の破損や地盤の変動が大きかった東北地方の地点(青森県八戸~福島県小名浜)については、診断での利用を終了または休止しています。
また、それ以外の地点においても、潮位観測値に地盤の変動の影響が含まれている可能性があります。

下関は、所管機関が国土交通省港湾局へ変更になり、名称が弟子待検潮所となりましたが、観測は同一地点で続けており、診断への利用を継続しています。

月平均潮位

2016年の月平均潮位と最近5年間(2011~2015年)の同月の平均値との差(ΔH)を図に示します。各月の特徴は以下のとおりです。なお、ΔHの区分は次のとおりです。

甚だ高い +20cm ≤ ΔH
かなり高い +10cm ≤ ΔH < +20cm
やや高い +5cm ≤ ΔH < +10cm
例年並 -5cm ≤ ΔH < +5cm
やや低い -10cm ≤ ΔH < -5cm
かなり低い -20cm ≤ ΔH < -10cm
甚だ低い ΔH < -20cm

1月

南大東島でかなり高く、西日本の沿岸でやや~かなり高く、東北地方から北陸地方の日本海沿岸と父島、石垣島でやや高い状態でした。一方、三宅島でかなり低い状態でした。

2月

北陸地方から山陰にかけての沿岸と父島、奄美大島でやや高い状態でした。一方、三宅島でかなり低く、種子島、与那国島でやや低い状態でした。

3月

父島でかなり高く、三宅島でやや高い状態でした。一方、南大東島でかなり低い状態でした。

4月

東日本および西日本の広い範囲の沿岸、八重山地方の沿岸でやや~かなり高く、北日本の日本海側でやや高い状態でした。

5月

北海道の一部沿岸、瀬戸内海東部の一部沿岸及び石垣島でやや高い状態でした。一方、三宅島でかなり低い状態でした。

6月

北海道太平洋側東部の沿岸でやや~かなり高く、北海道から九州北部地方にかけての日本海沿岸でやや高い状態でした。一方、三宅島ではかなり低く、八重山地方の沿岸ではやや~かなり低い状態でした。また、南大東島ではやや低い状態でした。

7月

父島でやや高い状態でした。一方、三宅島で甚だ低く、八重山地方の沿岸でやや低い状態でした。

8月

南大東島で甚だ高く、父島でかなり高く、北海道太平洋側東部の沿岸、関東地方から東海地方の一部沿岸及び沖縄本島でやや高い状態でした。一方、三宅島でやや低い状態でした。

9月

沖縄本島、南大東島でかなり高く、対馬、紀伊水道、四国地方太平洋側の一部沿岸、奄美大島、父島でやや高い状態でした。一方、三宅島でかなり低く、石垣島ではやや低い状態でした。

10月

南大東島でかなり高く、父島と紀伊水道、瀬戸内海、四国地方の太平洋沿岸でやや高い状態でした。一方、三宅島でやや低い状態でした。

11月

東海地方から九州南部にかけての太平洋沿岸及び瀬戸内海の一部沿岸、南大東島でかなり高く、関東地方及び九州北部地方の沿岸、沖縄本島、石垣島でやや高い状態でした。一方、三宅島でやや低い状態でした。

12月

奄美地方から沖縄地方にかけての沿岸でやや~かなり高く、対馬でやや高い状態でした。一方、三宅島で甚だ低く、近畿地方の一部の沿岸でやや低い状態でした。

月平均潮位偏差分布

2016年の月平均潮位と最近5年間(2011~2015年)の各月の平均値との差(ΔH)


は例年より高いことを、は例年より低いことを示します。

白黒の図はこちら


2011年3月11日に発生した平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震に伴う津波によって潮位観測施設が被害を受け、2015年3月16日まで従前の観測点と場所が異なる臨時観測点で観測を行っていた宮古は、最近5年間の平均値算出に必要なデータが不足しているため、グラフを掲載していません。

高潮

2016年に最大潮位偏差50cm以上の高潮は14回発生しました。大きな潮位偏差を記録した地点及び最大潮位偏差と主な要因は次のとおりです。なお、同一現象により発生した最大潮位偏差50cm以上の高潮が5地点を超えた場合は、潮位偏差の大きい上位5地点及び最大潮位偏差50cm以上の高潮を記録した全地点数を記載します。*は当該現象時に欠測があったことを示します。

1月17日~21日

能登106cm、花咲86cm、名古屋69cm、大船渡68cm、釧路68cm等、計22地点(低気圧及び冬型気圧配置)

2月14日~15日

能登56cm、舞鶴55cm、境50cm(低気圧及び冬型気圧配置)

3月1日

能登72cm(冬型気圧配置)

4月16日~18日

能登74cm、浜田67cm、境64cm、大浦63cm、長崎61cm等、計18地点(低気圧)

5月3日~4日

大阪66cm、神戸57cm、境56cm、長崎54cm、松山50cm(低気圧)

5月11日

大阪54cm(低気圧)

8月17日

釧路81cm(台風第7号及び台風第7号から変わった低気圧)

8月22日

三宅島(坪田)60cm(台風第9号)

8月29日~31日

三宅島(坪田)80cm、大船渡77cm、鮎川76cm、銚子漁港67cm、函館60cm等、計11地点(台風第10号及び台風第10号から変わった低気圧)

9月8日

能登50cm(低気圧)

9月17日~20日

串本88cm、御坊88cm、与那国*78cm、油津76cm、室戸岬64cm等、計13地点(台風第16号)

9月27日

石垣55cm(台風第17号)

10月5日

対馬比田勝53cm(台風第18号)

12月22日~24日

能登84cm、境55cm、花咲52cm、浜田52cm(低気圧及び冬型気圧配置)

津波

2016年に観測された津波は次のとおりです。なお、津波の高さとして、津波情報で使用されている「最大の高さの波」(津波がなかったとした場合の海面からの高さが最大となる波)を掲載します。括弧内には最大波高(全振幅)を併記します。*は観測精度0.1mの巨大津波観測計によって観測された値を示します。

9月23日

9月23日に発生した関東東方沖の地震に伴い、八丈島八重根で0.2m*(0.3m)、三宅島(坪田)で10cm(16cm)など、関東地方及び伊豆諸島の沿岸で津波を観測しました。

11月22日~23日

11月22日に発生した福島県沖の地震に伴い、鮎川で73cm(138cm)、小名浜で60cm(103cm)など、北海道地方から近畿地方の太平洋沿岸及び伊豆諸島の沿岸で津波を観測しました。

異常潮位

2016年に記録された顕著な異常潮位は、次のとおりです。

8月上旬~8月下旬

大東島地方の沿岸で、海水温が周囲に比べて高く、海面の盛り上がりを伴う「暖水域」が接近したことが原因とみられる異常潮位が観測されました。最大で+38cm(台風第10号の影響も含む)の潮位偏差を観測しました。

副振動

2016年に観測された最大全振幅が100cm以上の顕著な副振動は、次のとおりです。

4月6日

長崎100cm

4月18日

枕崎102cm

4月23日

長崎100cm

6月25日

長崎100cm

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